「地図と拳」を読んだ。その感想
ネタバレを含みます
「地図と拳」この本を読み終えた時私は素直に面白かったと言えなかった。
面白かった、面白かったと思えたが、地図と拳という作品に対して「面白かった」と口に出す事が、自分の中で何か違うと思った。
この感情についてはよく分からないのだけれどそういう感じがした。
いつも通り感想を書こうと思ったが、正直なところ私ではこの本の感想を上手く書けそうにないと思ってしまった。
色々なことを感じて、色々なことを纏まりなく考えた。
壮絶な武術の修練の中に神を見出すことってあり得るのかもしれない。
とか。
知略と殺戮の半世紀の中で一生懸命取り組んでいた事が無駄だったと気づく人、解せぬ心を持ちながら大きな力に従順になる人、解せぬ心を御しきれず大きな力に立ち向かう人、大きな力に忠誠を誓った従となり立ち向かう人に対する人、極限的な状況で理性を失う人、使役し理性を失わせる人、色々いるな。
とか。
広島に落とされた原子爆弾が数ある兵器の内の一つである「新型爆弾」でしかなかった瞬間が確実に存在したことに対する戦慄。
とか。
中盤に差し掛かった頃(第十章321ページ辺り)から私はこの本から何をどう受け取ればいいのかが分からなくなってしまった、物語として面白いのはもちろんの事だけれど、この本を全て受け入れようと思う事自体が不自然なことと言うか、私は「地図と拳」を収める分の心の容量を持ち合わせていないような気がした。
もっと本を読まねばと、そう思った。