「シャーロック・ホームズの凱旋」を読んだ。その感想
ネタバレを含みます
小学生の頃に学校の図書室でシャーロック・ホームズの冒険を読んで、それ以来シャーロック・ホームズに触れたことは無かった。
覚えている物語と言えばまだらの紐くらいで、当時はその気味の悪い殺人トリックに衝撃を受けた事を覚えている。
そしてこの度読ませていただきました「シャーロック・ホームズの凱旋」
初っ端からなにやら様子がおかしい。
なにがおかしいのかと言うと、私はシャーロック・ホームズシリーズはロンドンのベイカーストリートが舞台の物語だと認識していた、現にそうなのだが、このシャーロック・ホームズの物語はどうやらヴィクトリア朝の京都が舞台となっているらしい。(ヴィクトリア朝の京都??)
おまけにワトソンは傲慢な口ぶりで読者に語り掛けてくるし、ホームズは私が見たことがないほど人間的に堕落している。
ちょっとこれはすごいなと思った。
第三章を読み終えた時、私は放心してしまった。
喪われたと思われていた存在が超常的なちからによって息を吹き返す、素晴らしく感動的で喜ばしいことだ。
なにが引き金となってそうなったのかを考える前に大きな喜びで私はひとつ柏手を打ち、手放しに歓喜した。
しかし、よくわからないが良いことが起こった、と言うのには大抵の場合すでに代償が支払われている。
それはすぐ後に思い知らされることになる。
よく知るはずの世界が探求の中で徐々に姿かたちを変えていくそのロマン。
この本は最高に面白い、第三章を読み終えた時私はそう確信した。
「非探偵小説的事件」正しくその名にふさわしい物語を「ジョン・H・ワトソンは書いていた」
ミステリーにて、物語の根幹となるような謎が謎のままで在り続けることも別にありなのかもしれない、そう思ってしまった。
月並みな感想だけど、全てがひっくり返るような気分だった。
私はシャーロック・ホームズについての知識をあまり持っていないのでこんな事を言える根拠も何も無いけど、それでも筆者のシャーロック・ホームズへの愛はとてもよく感じ取れた。
最高に面白い本だった。