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終わりに

T.N

 現代シルクロード紀行、渤海国異聞をお読みいただきありがとうございました。最後にこの7編の記事を書いたJ.Nのプロフィールと公開に至った経緯を記しておきます。

 著者J.Nは1935年に群馬県で誕生、東京大学理学部を卒業後、三井金属鉱業に奉職。鉱山技師として世界各地の非鉄金属を探索する専門家でした。鉱脈探査がミッションなので、当時の日本人がほとんど足を踏み入れたことのない発展途上国の奥地が活躍の場でした。今回の記事は中国東北部、新疆ウイグル地区が舞台でしたが、その他にも南米アンデス山脈やアフリカなどでも活躍しています。定年後は東京の自宅でのんびりした余生を過ごし、2006年にこの世を去りました。

 私はJ.Nの長子にあたります。
一昨年、母が逝去した後、実家を整理する必要があり、本棚の奥に1996年から1997年に雑誌掲載された記事のコピーを見つけました。コピーは10部近くあり、父はこの記事を多くの人に配布したいと考えていたようでした。一読したところ、単なる鉱物探査の記録にとどまらず、中国奥地の地理、歴史、気候、生活、政治、ビジネス慣習、日中関係など広く網羅しており、このまま廃棄するのは惜しいと思い、noteに公開することにしました。特に経済開放前後の中国の生き生きとした様子を記述した点で貴重だと思います。また、40年前に中国社会に内在する矛盾点を指摘しており、現在の中国の困難を予言したかのように思える記述もあります。

 この記事で多くの方々が楽しんでもらえれば幸いです。ご購読ありがとうございました。

(追記)これらのnoteをFacebookにて紹介したところ、90年代にウイグルへの学術調査団に参加された方がおり、いつ父がシルクロードを旅したのかを聞かれました。父の文章はいずれも精緻な内容なのにもかかわらず訪問日時の記載がないことに私も不思議に思っていました。何か理由があったのかもしれません。
ただ、「現代シルクロード紀行」は、その内容から正確に父がウルムチ方面を旅した年がわかります。文中に「前年、コングル峰(コングール山)で日本人3名が遭難」とあり、Wikiで調べてみると、1981年京都カラコルムクラブ隊員3名が遭難した記録がありました。なので父が行ったのは82年ということになります。
 ご参考まで。


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