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【読書の時間】事件に隠された潜在意識とは?

〈題名〉彼女は頭が悪いから
〈著者〉姫野 カオルコ

〈概要〉
著者が実際に起きたある事件に着想を得て書いたフィクションの小説。
2016年に起きた東京大学学生による集団強制わいせつ・暴行事件を題材にしている。
題名は、被害者女性について、加害者学生のひとりが公判で実際に口にした言葉から取られている。

▪️感想

この事件のこと記憶になくて、情報もないまま読んだんが、
途中、苦しくて読むのをやめようかなという気持ちにもなった。

この本のキーワードは、東大男子学生。

『東大は男だらけなのか』という本に通ずるものがある。
東大男子をどのように描いているのかそこが気になり読み始めた。

事件の内容だけをとりあげると、他にも似たような事件はたくさんあり。

だけど、著者が着目したのは、東大生だからという点。

単なる男子学生の性欲による集団わいつ行為ではない。

その背景には、
男女格差、貧富の差、学歴の差、理系と文系など、
いろんな格差が少しずつ重なって引き起こされた事件である。

後半になって読むスピードが上がった。

男子学生達の目的、欲求はなんだったのか。

読んでいくうちになんとなくその心情は読み取れるけど、はっきりとしたことがわからない。

久々に読んだ小説の巧みな文章術にはまり込んでいった。
そして最後にこう言語化されていた。

「東大でない人間を馬鹿にしたい欲」

これが事件の背景に隠された潜在意識である。
あー、そっかとやっと腑に落ちた。

しかし、全編スムーズに読めたわけではない。
途中読むのが苦しくなった部分もある。

それは、被害者の女性が加害者に恋をして心を弾ませているシーン。1番辛かった場面だ。

なぜかというと、
被害者の女性が普通の女の子だから。

普通の女性が普通に恋をして、計算し過ぎるわけでもなく、かと言って何も考えていない純真無垢でもない。

普通の幸せを求めていた女性の末路を知りながら見る笑顔はなんとも言えない辛さを感じる。

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