Googleがこれからの働き方を発表!徹底解説
シリコンバレー人事のTimTamです。
日本でいう子供の日(5/5)に、GoogleのCEOサンダーピチャイが社員に向けて発表した、今後の働き方についての内容をまとめたいと思います。
コロナ後の今後の働き方については、各社が色々と検討・模索中です。これに関するバーチャルコンファレンスなどが頻繁に開催されています。一般的には、FOW(Future of Work)という用語が使われます。
What is your Future of Work strategy?
とかいう感じで聞かれたときに困らないようにしたいですね。
Googleが発表する内容は、いつもシリコンバレーおよび、その他の会社のトレンドに大きく影響するので、正しく理解したほうが良いです。もとの記事はこちらです。
それによると、過去一年間に既に、Googleでは様々な働き方の試みについて試行錯誤してきたとあります。例えばオフィスに社員が来ても、一人で集中して作業できるスペースを確保したり、オフィスからの参加者と、リモートワークの参加者がまったく同じように参加して議論できる方法を検討したりしてきたそうです。
例えば上の写真は、キャンプファイヤーと呼ばれる実験的な試みで、オフィスから参加してもリモートで参加しても、まったく同じように参加できるかどうかを試した例。
上の写真は、アウトドアスペースで比較的大きな人数を集めて何かをやるための場。
そしてこちら(上)は、何かを集中して行ったり、コラボワークを行うためなど、目的に応じて多少つくりやレイアウトを変更できるスペース。(写真はすべてグーグルのオフィシャルブログから拝借)
社員の所属する部署や、プロジェクト、プロダクトなどによって、具体的にどのようなフレキシビリティを実現させていくのかの詳細は、6月中旬をめどに共有したいとしつつも、大きな方向性として以下の内容が発表されています。以下、大まかにですが内容を翻訳したものを記載します。
ハイブリッド型になります
約3日はオフィス、残り2日はリモートワークを基本のスタイルにします。オフィスでの時間は、基本的にコラボレーションにフォーカスするためなので、具体的に週のいつごろがオフィス勤務日になるのかは、所属するチームやプロダクトによってあらためて決定されます。また職務によっては、3日以上オフィス勤務が必要になる場合もあります。
更に広がるワークロケーションの選択肢
グーグルの一つの強みは、世界中にオフィスがある事です。詳細のプロセスはこれから共有していく予定ですが、グーグルの従業員は、世界のオフィスどこからでも働ける機会を与えられるようにしていきたいと思います。ただし、承認が必要です。承認するにあたっては、ちゃんとビジネスゴールが達成できるのかや、新たなロケーションに、あなたが仕事をするにあたって必要なサポートがあるのかどうかなどを考慮したうえで決定されます。
さらに、100%リモートワークという機会も設けたいと思います。もともとコロナになる前から、コアチームのロケーションとは異なる場所より働くケースがありました。今後はその割合がさらに増加していくと予想しています。これについても、応募制にします。所属するチームのヘッドが、リモートにしてもビジネスゴールが達成できるのかなどを検討します。
違う勤務地への異動する場合や、100%リモートの役割に移行する場合、いずれのケースも、給与は新しいロケーションに併せて調整されます。
これらにより、60%の社員は3日程度オフィスで過ごし、20%の社員はあらたなグーグルの勤務地に移動し、残りの20%は完全リモートの体制になると想定しています。
そして更なるフレキシビリティ
上司の承認があれば、1年間につき4週間まで、自分のメインとなるオフィス以外のオフィスから働いてもよいこととします。夏休みや、ホリデーシーズンの旅行などと併せてフレキシビリティを設けるためです。(筆者注:夏休みやホリデーシーズンなど、家族の近くで働くことで長く一緒に時間を過ごせますし、ピークシーズンよりも早くフライトチケットを取れたりすると、非常に安くなったりしますので、色々なメリットがあると思います)
Focus Time(集中タイム):社員がプロジェクトに集中するために、ミーティングの時間に制限を設ける時間帯をつくります。
Reset Days(多忙な日々から解放し、リセットできるための日):2021年も、従業員がリチャージできるようにエクストラなReset Days(つまり会社休日)をグローバルに設けます。今年は5/28(金)です。もし、5/28にすでに休日を計画していた場合には、次の勤務日をオフにしてください。Enjoy!(筆者注:米国では5/31がメモリアルデーという国民の休日なので、5/28が休みになると4連休です。ちなみに、5/28は米国だけでなく、グローバルにGoogleはお休みです)
補足解説
さすがグーグル。世界の勤務地の好きなところから働ける機会があるなんてワクワクしてしまいます。私がグーグルジャパンで働いていたとしたら、きっとシリコンバレーに異動(移動)したいー!ってなると思います。
上記のようにグーグルは、勤務地に併せて給与を調整する、と明記しました。勤務地に併せて、給与を調整するかどうかというのは、米国ではFoWの大きな話題になっています。私のように、報酬の専門家の間でも、大きく議論が分かれるところになります。Googleの本社があるベイエリア/シリコンバレーは、世界でも一番給与の高い地域です(ですが家賃や物価も高い)。という事は、ここから州税もなく家の値段も安いテキサス州に引っ越した場合、テキサスのマーケットレートに併せて、給与が下がるという事を意味します。同様に、米国外の地域、例えば、カナダにいけば、カナダの相場にあわせた給与になるという事です。ベイエリアのレートを維持したまま、東京オフィスで働けたらこんなにおいしいことはないですよね、でもそうはならない、という事です。
でも逆に言えば、今私が東京のグーグルで働いていたとして、カリフォルニアのマウンテンビューのオフィスに移動したい!と希望し、認められれば、シリコンバレーの給与になるという事ですよね。ワオ。(テクニカルには、日本のグーグルで一年以上の正社員として勤務歴がないと、Lビザという、inter company transfer VISAは取れませんので、日本のグーグルに入社してすぐに移動というのは無理です)
現実問題として、ビザ/労働許可証の問題もあって、簡単に移動できない国もあると思います。例えば、ニュージーランドなどは絶対無理です。米国のように、Inter company Transfer VISAは存在しません。また現在は、コロナに関連した様々な旅行規制があります。でも同じ国内でなら、そこに複数オフィスがあれば、ビザの問題はありませんので、例えば広いアメリカ国内であれば、色々なところに存在するグーグルオフィスに移動できるという事ですね。
グーグルと違う選択肢はあるのか、それは何なのか?というと、同一国内は給与調整をしない、だが国を超えた移動の場合は、給与を調整するというものです。もっともらしく聞こえるかもしれませんが、米国のような広い国の場合は、場所によって、給与レートに大きく差があります。一番高いのがカリフォルニア州のベイエリア/シリコンバレーです。NYCも似たような水準です。同じカリフォルニア州内でも、LAやサンディエゴになると約10%ほど水準が下がります。(トップエグゼクティブは別。あまり場所は関係ありません)テキサスなどは更に水準が低くなります。
給与調整をしない根拠は、仕事内容が同じだから。社員が紐づけられたメインオフィスのロケーションでのレートに基づく給与がオファーされますが、「どこに住むのかは社員の勝手。その代わりミーティングがあれば出社義務があり、それにかかる旅費は会社は持たない」、というアプローチです。
サンフランシスコオフィスがメインとされた社員が、仮に州税のないラスベガスに住んだとしても、招集がかかれば自腹でサンフランシスコまで行かないといけない、という事ですね。
ここから、他社がどのように反応していくのかを見るのも面白いでしょう。
では、また。