真面目に不真面目(短歌も)
最もへぼいロボットを決める選手権「ヘボコン」があったり、仮装の対象にならいような人物をあえて取りあげ仮装する地味ハロウィンがあったり、「これは意味あるんか?」という大会がある。いかに技術力が無いかを競ったり、渋谷の賑わいには行けないから裏番組みたいな大会を催したり。そう言うおふざけは真面目にやればやるほど面白い。だいすき。
ヘボコンは出場者が互いにがんばって作成したぎこちなく動くロボット(ロボット...?)を戦わせるのだが、決まり手は「自滅」らしい。また出場者の一人が電車にロボットを忘れ、捜索をするも見つからず、諦めて角打ちをしていると連絡が入ると「究極のヘボさだ!」と会場中で称賛。技術以前に人間のヘボさが讃えられるのだ。キャタピラにビスコの箱をくっつけ、パッケージの男の子の目を赤く光らせて威嚇するロボもいた。意味はなかったとのこと。
地味ハロウィンはすでに1つの文化になっている。わたしのお気に入りは、「キオスクの壁で履歴書を書く人」、「自分の番でシュレッダーのクズがいっぱいになった人」、「インク漏れしてる人」。決して派手ではない、でも確かに見たことがあってクスリとくる人を見つける観察眼がすごい。
岸本佐知子さんのエッセイを読んでいたら、文学にもおふざけ大会があることを知った。「日本タイトルだけ大賞」。字の如く、本の内容は一切関係なしにタイトルのインパクトのみで勝負する。
例えば2009年度の大賞は『ヘッテルとフエーテル−本当に残酷なマネー版グリム童話』。
他にも、『項羽と劉邦、あと田中』、『今夜もカネで解決だ』、『【至急】塩を止められて困っています【信玄】』、『月刊円周率2月号』、『放屁という覚醒』等々がノミネートされている。
大仰な会議室に偉い大人たちが集まって首をひねった結果「これで行きましょう!」のGOサインが出てるのも、また別の偉い大人たちがウンウン唸ってその年のノミネート作品を決めてる図も味わい深い。毎年必ず下ネタが入るのも良い。夢眠ねむ賞に『おしっこもらスター』が選ばれ、残念賞には『エロスでよみとく万葉集 えろまん』、『殺人うんこ』などがある。前者に至っては賞を与えていいのか。
シリーズものも受賞していた。『借金お嬢クリス 42兆円耳を揃えて返してやりますわ』。「借金お嬢クリス」の字面から先に進めない…。国家予算並みの借金を抱えて何でそんな上から目線でいられるんだ。『借金お嬢クリス2 42兆円踏み倒してやりますわ』。『借金お嬢クリス3 令嬢はいかにして42兆円を返済したか?』。2巻目で雲行きが怪しくなったけど、無事に令嬢の名を取り戻せてよかったね。
『ゲロが止まらない』っていうのもあった。(小岩の路地裏放浪記か?と思ったら現代における生き方の指南書だった。)「ゲロが止まらない」って誰がどの状況で言っても面白すぎちゃう。
表参道へ向かう電車の中で笑いが止まらなくなり、街中の良い匂いのする道を歩いていてもずっと、ゲロをしながら「止まらないよお」って四つん這いになっている人の事を考えていた。吐くのってすごく辛いのに冷静に「止まらない」って実況してくるので、唇を噛みしめながら歩く羽目になった。
わたしの友だちでお酒にめっぽう弱い子がいる。鳥貴族でレモンサワーを半分くらい飲んだところでトイレに駆け込みゲロゲロしていた。一応お水とか持って様子を見てたんだけど、「ごめんねオロロロありがオロロロ」となっていて、声を殺しながらめちゃくちゃ笑ってた事がある。酔ってたからセーフ。
愛すべき真面目な不真面目をもっと探そうと思った。
USBケーブル道に落ちており
誰かがへその緒を探す夜
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