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突然、エコロジカルなお香を作りはじめる。
どもども、蒸留家のエフゲニーマエダでっす。
最近激病み期間来てましてですね、更新しようにもネタがない期間を過ごしてました、いや過ごしています。
どうも自然といいますかグリーンや花々の生気が恋しくなってしまい、外を眺めたり外へ出ても一面真っ白の世界。
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と思うくらいThe北海道!な景色。
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さすがに冬もうエエわ…ってアンニュイになってしまっているおいらです。
(花とともに生きるとついつい暖かい季節が味方となってしまうか…と悲哀を感じてしまう)
北海道外にお住いの方からしたら白の世界も幻想的で素晴らしい景色!と思えるのでしょうが、同じ景色が2、3ヶ月も続いててかつ植物無しの環境だとさすがに鬱っぽくなってくるんですよ…。冬季鬱ともいうらしい。
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で、日中なにもしてないのもあまりに退屈で辛いので読書を攻めてみることにしたワケなんですよ。
特に「ナチュラリストの系譜」はおもしろかったですよ。
中学高校の社会・公民で呪文のように唱えていたロック、ルソー、モンテスキューのうちジャン・ジャック・ルソーがまさかの植物学者かじっていたとは驚きでしたね。
暇さえあれば植物観察と収集。その押し花的な標本は今もパリ植物園に大切に保管されているそうなんですよ。
分類学の父リンネの次にルソーの章がくるぐらい重要人物として紹介されていました。
が、分類学の世界に名を残すそんな植物学者たちでも冬の間何していたかは書かれておらず、、、冬の間の自然の愛し方というヒントは得られないようでした。
さてさて蛇足でしたが本題のお香づくりのお話やっていきます。
■水蒸気蒸留で出た残り物を使って簡単なお香をパッと作ってみる。
実は2年ほど前にも同様の手順で三角コーン型お香と線香をつくったことがある、つくっていた時期がある。
蒸留器を導入した年の、ラベンダーを蒸留したあとの香りを抜き出した蒸留残渣をどう再活用するかを考えてのアイデアだった。
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ブログ記事にしていたと思ったんだけれど書かずじまいでそれから2年経ってしまっているようだった。
記事にしてない理由は今となってはわからない…(笑)
製法は【植物粉末】と【水】を練り混ぜて形づくり乾燥させるだけのとびきり簡単なモノなのでノウハウは1,2度作ればそう簡単に忘れるものではない。と思う。
■お香素材は粉末素材をひたすら用いる。
それから2年も経つと、柑橘果皮やら木材の木っ端やらといつか再利用を図ろうと乾燥させて捨てずにとっておいた素材の種類が増えている。
まだ詳しいことは述べられないんだけれど、最近ドカッと新たに蒸留素材というか残渣が出た。
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ラベンダーお香のときは乾燥素材を粉にして水とで練り固めたものだった。
なので感覚的に、木材も粉末状にしてしまえば同じだろう!と踏んで蒸留して香りを抜き出した後の木っ端を製粉してみる。
が、思いのほか繊維質が残ってしまったよう。
そして地味に元の香りが香ってくる。まぁこえはこれでインセントとして役割を果たすだろう!と見込んで良しと捉えておく。
これで今回のお香ベース素材は確保完了。
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今回はわりと"お香"っぽく作ってみたかったので、誰しもがお香アロマ!と感じられる安息香という材料と素材を繋ぎ留めるタブ粉という本格的な香材を加えてみることにした。
さらに小スプーン2杯分くらいのラベンダー残渣も香るかな〜?と試しに加えてみた。
about 安息香
安息香はいわゆるアロマ業界でも目にするベンゾイン(Benzoin)という樹脂系精油のいわば精製抽出前の姿。
エゴノキ科アンソクコウノキ(Styrax benzoin)の樹液が固まったものを粉末状にしたものがこのお香材料の安息香となっている。
まぁ、お香といえばほぼこのベンゾインの香りがすると言っても差し支えないので、お香や寺社仏閣の香り=安息香/ベンゾインという認識でも間違いではないと思う。
それぐらいお寺!お香!といった芳醇でエキゾチックな香りがする。
ちなみに安息香樹脂から生成抽出した精油はというとさらに甘くコーラっぽい香り(精油メーカーにもよる?)。香り成分のいくらかが蒸留残渣に残されるんだと思う。
さらにちなみに、ベンゾイン精油は2グレード存在するらしく、どのタイプの相場もお値段がそれなりにする。ラベンダー精油より2,3倍高いイメージ。
about タブ粉
タブ粉はいわば"糊材"といえば字面でその役割がわかるだろう。
素材元はクスノキ科タブノキ(Machilus thunbergii)の枝葉を粉末状にしたシンプルなもので、粘液質を多く含む植物素材のため水で解くとすごい粘り気が出る。その性質がお香を固めて形作るのに適しているそうな。
ちなみに2年前のタブ粉を使わないお香を作るなら代替の繋ぎ材として「ヤマト澱粉糊」が候補だった。
それらを混ざりやすいようにお湯で粘度を調節しつつ混ぜ合わせていく。
指で成形するので、水気が多すぎてベチャベチャにならない程度、紙粘土ぐらいの質感にするのを心がけて混ぜ合わせていく。
ちなみに母材となっている木の匂いは安息香のTheオリエンタルな香りで覆いつくされている。それくらい安息香はしっかり香る。
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ストーブ熱量の微小設定でも半日置いておけば乾燥完了するようだ。
あまりに簡単に作れてしまうので、ついつい調子に乗っていろんなタイプを製作。
それぞれ精油をいくらか滴下して練り合わせてみたり、母材の構成をいくらかチェンジしてみたりとこの機にいろんなタイプを検証してみることに。
いやこれ全部消費しきれるのいつになるんだろうか。。。
ちなみにみかん果皮素材タイプも製作。
蒸留マガジンを見てもらえばわかると思うのだが、冬に蒸留シーズンが来る素材がある。みかん等の柑橘系果皮蒸留だ。
これらも蒸留し終えた後に残渣を回収しストーブ熱で乾燥させ、粉末にして保存している。
なので…
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もれなく柑橘果皮ベースのお香も製作。
今回の香材は安息香ではなく、リッチなお香のイメージがある白檀を使ってみることに。いわゆるサンダルウッド、インド原産の高級高木だ。
シトラスアロマと上手く合うかな〜という淡い期待もあって。
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柑橘果皮は乾燥→粉砕するとかなりキメ細かいパウダー状になる。そのためラベンダー粉末や木粉ベースに比べかなり密度の高いお香になるようだ。
上手く燃えるかな〜とちょい心配。
■そして後日、お楽しみの点火実験!
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見ての通り、結果は上々!乾燥には熱源近くで一晩おいとけばしっかり燃えて終われるくらい乾燥してくれるようだ。
お香としては、いろいろ香材やら精油やらを添加してみたけれど、火をつけて燃焼させてしまうと香りは消失してしまうようだった。
お香ってそういうもんだったっけ??
煙の出かたにもタイプがあることにも気付かされる。
どうやらお香の胴体下部からは美味しい香りを含んだ低温の煙が流下してくる。これは白い。
で面白いのが、おそらくは光の当たり方なんだろうけど誰がどう見ても青く色づいて見えるような見た目通りの青白い煙が熱気とともに上に立ち昇る。この色彩差というか色彩美がどうしてもおもしろく感じられて、この青い煙を眺めているときにあるアイデアを思いつく。
それは青の探求なんかで紹介できると面白いのかな。
■自然美を感じられるお香ベースの制作と改良案。
せっかくお香を蒸留素材のゴミから作り出したんだから、お香の土台/ベースも余った自然素材でつくりたいと思いついたおいら氏。さすがはエコロジストである。抜かりない。
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自然との融和・還元、エコロジカルを極めていくとお香の使用スタイルもより自然に近づけたくなり、ついこういったものを生み出してしまった。
三角コーン型お香を針葉樹の樹冠に見立て、空中で燃焼させるというナチュラリストの凶行に及んでしまった。笑
本音としては、受け皿なんかに置いて燃焼させるとどうしてもお香の底面にヤニが蒸着する。
これを防ぎたかったという動機あってのこの形態にたどり着いたというワケだ。。。
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つぎに画鋲を受け皿としたことで燃え落ちることは回避成功。
ということで、いくらか前のイベント出店の際に値札として使っていた白樺の枝輪切り(小さい穴開き)を持ってきた。
つまようじをちょうどまっすぐ刺して固定できる穴のサイズだったので、つまようじの持ち手部分を白樺ベースの穴に差し込み、とがった先端をお香のケツにプスッと刺して固定。これで点火してみることに。
結果としては、終盤に燃焼部がつまようじ部分に差し掛かるとやはり熱で燃えて残火とともに落下、ベース土台もろとも燃やしてしまいかねない脆い設計であることが判明…都合よく底面を残して消沈してはくれなかった。
そこで次の改良案。
無難に入手できる平皿画鋲を両面貼り合わせて、片面の針をつまようじに刺して合体。
画鋲2つを貼り合わせてるので上面にも針があるので、そこにお香をプスッと設置。これで万一揺すられてもそう簡単には落ちない設計に!
今度は完全燃焼するまで土台ベースはちゃんと耐え切ってくれたようす!
画鋲部分は残り火でいくらか焦げてしまうが、お香を点火する毎度交換する必要がなくなったのは工夫の賜物といったところだろうか…!
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