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個人メモ[青の探求-3]
身のまわりの植物素材から抽出した精油の性能・性質について化学探求するこのシリーズも前回アズレンブルーの物理的な試験から、今回ついに有望な赤色のオイルの発見へと至りました。
いままでのおさらい
いつの日か完全植物材料で、「紫色のラベンダーオイル」などを制作するために色褪せにくいラベンダーカラー(紫色)の天然色素の探求を開始。
論文などから色素の化学構造などをリサーチしはじめた。
やや別口の角度だが、トドマツ、ニオイヒバやラベンダーの精油抽出と同様の方法で北海道に多く生える外来種雑草から青色のオイルが得られることを知る。で翌年実行、無事GET。
青色の油をGETしたことで、透明あるいは薄黄色や茶色が普遍的な天然植物精油に青色系の色を着ける事が可能となった。青色は紫色を作る上で必須となる色なので必要要件の1つをコンプリッシュした事となった。
青は奇跡的にすぐ見つかったが、赤色の油というのがなかなかの難題であった。
▶︎赤パプリカから赤色素をエタノール抽出して青精油と混ぜた失敗実験。
6月に野菜の赤パプリカに含まれる赤色成分カプサンチン色素はエタノールやオリーブ油などの油に色を移すことができると知った。
で知った翌日に即試した。より明るい赤に輝く新鮮なパプリカを買ってきて、表皮を重点的に多く刻み、1週間ほど純エタノールに漬け込んだ。
すると、真っ赤とはならなかったが赤オレンジのような溶液をGET。
さっそく青色オイルと混ぜると、なんとグレーに染まり失敗。。。
どうやら赤色のカプサンチン色素は化学構造が炭素数40コのモル質量584.87g/molというどデカイ物質で、一方の青色Chamazuleneは炭素数14コのモル質量184.28g/molという月と地球ほどサイズの違う物質同士であることが判明した。
「H2Oと油脂を混ぜると白濁する」ことを知ってる人はわりと多いと思うが、それと同様に大小の分子液体を混ぜるとそりゃ乱反射して光を透過せず微妙な暗色になってしまう。。。
この実験では惜しくも紫色のオイルは作ることができなかった。
■青の探求成果 (23.10/31)
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冬の乾燥肌荒れが気になりはじめ、2023年はじめの1月にシアバター、ミツロウを揃え初製作。
この青色の根源となるcommon yarrow精油は抗炎症性や傷創治癒に薬効を発揮する精油であると欧米圏(特にドイツ)でリサーチされており、都合がいいので自前用スキンケアアイテムを青くしてやることにした。
しかし、冬の寒さによって質感が硬くなり肌患部に塗り込むのにやや時間がかかるという難点を抱えた。
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特に乳化剤(レシチンなど)などは不使用なのでしばし待つと蒸留水層とスクワラン層に分離する
①再び冬が近づき表皮のヒリつきかゆみが気になるようになったこと、②仕事でも洗い作業が多いこと、③ハンドバウムだけでは肌への水分供給ができずガサつき対策にコミットできていないこと、、、などから10月半ばに水分を含む保湿乳液を初制作。
水基材(ラベンダー蒸留水など)を使う事で乳液とし、
①肌への水分供給と保湿コーティングを同時にこなせる
②製作に加熱工程が無く液体素材を振り混ぜるだけなので簡単に作れる
③比較的サラサラの液体質なので肌患部に塗り込むのもスムーズに行える
といったメリットを獲得した。
スキンケアジャンル本来の使い方をすれば、こちら乳液で保湿したのちハンドバウムで長時間コーティングをしてしまうという使い方になる。
ブログ書くのに疲れて香水作りはじめました。
— エフゲニーマエダ| ラベンダー農家🌱 (@DIYpolca) July 15, 2023
おいらの香水は必ず"青い”です。 pic.twitter.com/aOKlvEQWE0
お遊び段階ではあるけれど、夏手前には青い香水も作り始めていた。
こっちでは青色精油common yarrow精油の独特な甘重いハーブ香を実用的な良い香りにするため、香水をつくって調香を勉強開始。
(同時にL.angustifolia精油の香り繊細さも知る)
というところがここ最近の精油関係モノづくりの探求成果だろうか。
■ついに赤色の油を発見。
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最近エセ調香師的なお遊びをしているので、その途上でオリジナルブレンド香水作り体験ができるウワサのコチラを探索。なにげSHIROの大型店舗は初めて。
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なが〜〜〜〜らく探していた、赤色の油(これは美容オイル的ジャンルだそう)といえるオイルスキンケアアイテムを発見!
「セントジョーンズワートオイル」というらしい。
セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ)をググってみたけど、美容オイルとしてではなくハーブティとかの健康食品が大多数HITするほどニッチなインフューズドオイル(素材浸漬油)らしい。
▶︎なぜこんなに赤い?
オトギリソウ属セイヨウオトギリソウの生花をキャリアオイルなどにひと月ほど浸漬しておくと、花に含まれる炭素数30 モル質量504.44 g/molのヒペリシン(hypericin)という暗赤色のアントラキノン系天然色素がオイルに浸出してくるようだ。
前回実験失敗したパプリカの赤色カプサンチンはモル質量584.87g/molだったが、この美容インフューズドオイルの赤色ヒペリシンはモル質量504.44g/molなのでややコンパクトになっている。
が、分子サイズが大きめであることは変わりないので、ブレンドしてみると濁ったり光が透過しなくならないか心配ではあるが、果たして…?
▶︎人体使用にも安全な紫色のオイルとなるか…?
1.市販メーカー品の安いセントジョーンズワートオイルを買い寄せてみた。プラス市販のヤロウ精油も。
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英国に本社を置く国際的なスキンケアブランドのMeadowsでは青い精油のヤロウ精油と赤いオイルのセントジョーンズワートオイルをそれぞれ買える。
が、赤いオイルは赤さをウリにはしていない為か赤くなかった…。
そしてヤロウ精油も北海道で生産できる精油ほど青くはなかった…。(カマズレン濃度7.74%)
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言葉を裏返すと、ロットによって精油の香りと品質が大きく異なる事を意味する
何より驚いたのは、英国事業者が東欧ブルガリアより買い付けたヤロウ精油の成分組成を見るに、北米モンタナ州で報告されていたツヨンケモタイプ(アブサンやニオイヒバで著名な芳香成分)であることだった。
ウチにストックしてある地場産ヤロウ精油と比べて明らかにミント、ハッカのような強いハーバルなアロマを纏っていたディフェレントに驚かされた。(下記・モンタナ州で採取調査されたThujoneケモタイプA.millefolium精油の論文)
と、これらMeadowsで買い揃えた2アイテムでは紫色オイルの実現を達成する事はできなかった。これぞ安物買いの銭失い…‼︎
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![エフゲニーマエダ(平成林業。)](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/8203116/profile_f140f0e27e32fd00ae68f0a10241bc18.png?width=600&crop=1:1,smart)