【論文要約】ドイツトウヒ蒸留水を、ラベンダーにぶっかけてみた!研究。
はい、本日のお勉強テーマです。
平成林業では、毎年ドイツトウヒ(Picea abies)を何かしら蒸留しています。
ヨーロッパから遠く離れてる北海道/日本ですが、西洋化と開拓の歴史ありきで北海道にはアメリカやヨーロッパの針葉樹がたくさん植えられています!
ゆえに、私の身の回りの自然資源として、今回勉強に使う研究論文で扱っているドイツトウヒとコモンラベンダーの双方が揃っているのです!
なんと恵まれていることでしょう…!!
論文の中身をまだじっくり読んでないんですが、蒸留抽出物をラベンダーにぶっかけてみるとどんな成長活性効果があるか?オイルは増収につながるのか?を調べた論文のはずです!
主に近所に生えている大木ドイツトウヒの地面付近まで枝垂れた枝葉を収穫させてもらい精油を抽出していますが、ともに芳香蒸留水も抽出されます。水蒸気蒸留における精油生産の副産物とみなされる芳香蒸留水/フローラルウォーター(Hydrosol)も読んで字のごとく、植物芳香成分を含んでいて、精油ほどではありませんが主に精油の1/100~1000ほどの成分濃度で芳香物質が含まれているとされます。
なので、濃縮物である精油よりかは弱く・緩やかに生物生理活性を与えることのできる溶液であるとして注目を集めている蒸留抽出物です。
蒸留1回ごとに3,4リットルは生産されるこの芳香蒸留水を有効な農業資材に転用しよう!というのがおそらくのこの論文のテーマ・主軸だと思って読み進めます。
ちょうどこの論文をしっかり読みこんで、4月よりウチのラベンダー栽培事業に応用するつもりで勉強していきたいと思います!
本研究での材料選定(ドイツトウヒ、ヨーロッパブナ、ラベンダー)の理由。
本研究がなされた大学は、ルーマニアのトゥルグ・ムレシュ市にある国立ジョージエミルパラデ大学医学部発の研究成果のようですね。
なので近年、医薬品としての需要とマーケットが拡大しているラベンダー産業に、ルーマニア国内での林業施業上で残材が多く出てしまう針葉樹部門:ドイツトウヒ(Picea abies)と広葉樹部門:ヨーロッパブナ(Fagus sylvatica)を実験対象材料として選出しているようです。
ヨーロッパ大陸の内陸部に位置するルーマニアでは、森林を主に構成する主要樹木〜ひいては林業において主要な樹種はドイツトウヒとヨーロッパブナであるということが本文中に書かれていました!
具体的な実験材料。
16ページに及ぶ本論文を読み砕いていくと、使用している試験溶液は5種類存在。
うち1種類は対照実験要素として水道水:C~Controlでした!
一般的な農法を模した実験項目ですね。
ざっと何を用意したかというと、ブナとドイツトウヒの乾燥樹皮(dried bark)10グラムを、85~90℃で45分煮込みまして、これを3回繰り返したっぽいです。(3回の意味・ニュアンスを読み解ききれてない)
樹皮や不純物をろ過した溶液原液をさらになるべくキレイな水で濃度調整して最終的に、
ドイツトウヒ樹皮成分0.5g分に対し100mLの溶液①(SBE500)、
ドイツトウヒ樹皮成分1g分に対し100mLの溶液②(SBE1000)、
ブナ樹皮成分0.5g分に対し100mLの溶液③(BBE500)、
ブナ樹皮成分1g分に対し100mLの溶液④(BBE1000)、
水道水(Control)の5種類を用意したそうです。
本稿ではブナの実験内容(BBE test)は割愛しておきます。
・・・お気づきでしょうか?タイトルでは芳香蒸留水と書いてて、当初私も芳香蒸留水を用意したのかと思ったら、樹皮のお茶(濃度調整済)をさまざまな場面でぶっかけていたという内容でした。わらわらf^^;;;;;;;;;;;;;;
主な試験(データ取りポイント)項目。
ざっと大まかの上のような項目に結果を各章に分けていました!
単に1つの調査項目でデータを取って述べたわけではないんですね。メタ的な要素(複合的)な記述による内容充実は本当に大事なことですね、学んでいきましょう。
結論。実は…
じっくり読み込んでみた結果、そもそもの部分で、観察対象作物:ラベンダーにぶっかけていた実験溶液は、芳香蒸留水ではなくドイツトウヒとヨーロッパブナの樹皮を浸漬させた水溶液でした!笑 (わらじゃねぇw)
つまり、芳香蒸留水をラベンダーにぶっかけていたワケではなく、樹皮を単に水にうるかして樹皮のフェノール類を浸出させただけの水が今回の試験溶液(濃度差2タイプ)ということに。。。
実験材料制作の箇所で、実験溶液(SBE500 &1000, BBE500 &1000)を作る際に、精製水としての蒸留水(キレイなH2O)を誤読していたようですね、この男は。。。あーーーららららら。。。
勉強した感想!!
全体的な流れを掴むと、結果的に広葉樹の樹皮フェノール水より針葉樹:ドイツトウヒの樹皮フェノール水の方がラベンダー作物の成長に良い刺激を与えるということがわかって嬉しかったですね〜!
なんせ北海道ではこのヨーロッパでの研究と同じドイツトウヒがたくさん生えているので、いますぐにでもラベンダー栽培に応用することができるからです!
そして、なんでも高濃度であれば良いというワケじゃなく、フェノール成分濃度の薄い(適切と表現したい)溶液のほうが、より高い効果を出せるということも大きな学びポイントでしたねぇ!
ただ残念なことに、芳香蒸留水をぶっかけたわけではなかったので、フェノールをあまり含まず精油成分を低濃度含む芳香蒸留水(Hydrosol)の方だとどうなるか?みたいな研究例を探したいと思っています。
まぁこっちの方が本命ですしね…w
念には念を押す。
いいか?エフゲニーマエダよ。
ハイドロゾルをぶっかけた論文を探すのだ。
『『『ハイドロゾルを』』』ぶっかけた論文だ。
https://www.researchgate.net/publication/382989065_Evaluation_of_aromatic_plants_hydrosols_on_the_growth_of_Trichoderma_harzianum
〜併せて読みたい関連研究〜
タイトル「バイオ精製所で貴重な抗酸化物質を得るためのアプローチとして、環境に優しいトウヒの樹皮からの抽出.」
タイトル「ヨーロッパトウヒ(Picea abies)の揮発性化合物は季節によって大きく変化する.」