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スマホが色々な意味で小さくなった話
以下の記事にて、スマホのスクリーンタイムを削減した話、スマホそれ自体をコンパクト化する試み、そして最終的に iPhone SE 第3世代 (2022年) に至るまでの道のりを記した。
第1編
第2編
第3編
…
本編はその最終章だ。
厳しい審査プロセス
少し遅れて中古の iPhone SE 第3世代 (以下 'SE3') が無事に到着。Refurbished 品なので新品のバッテリーがついており、Battery Health は 100% だ。
前編の iPhone SE 第1世代のときと同様、シンプルさを優先して初期設定する。通知は電話とメッセージ以外全てオフ、メールの同期もオフ、音が鳴るのは電話着信とメッセージ通知だけ。5G もややバッテリーを食うらしいのでオフに。
加えて、スマホそれ自体をミニマムに保つため、3rd party のアプリのインストールに際し、以下の順序で審査することにした。
1. 標準アプリで対応できる場合はアプリを追加しない。
2. それでも必要なアプリがあれば、Chromebook (ラップトップ) に Android アプリをインストールする
3. 上記のいずれも叶わない場合のみスマホにアプリをインストールする。仮に用途が重複する標準アプリがあれば、標準アプリを削除。
これら全ての関門を通過するアプリはほとんど無い。
・LINE, Facebook Messanger, WhatsApp といった Messaging Apps: 基本的にどれも電話/メール/メッセージと重複するため使わない。LINE だけは 1 の関門を通過し、Chromebook にインストール。他はアカウントごと削除。
・Uber, Venmo, Mobile banking, クラウドストレージといったサービス類: どれも Safari (ブラウザ) で動くのでアプリは不要だ。
・Note,「みてね」といった SNS:「みてね」は Chromebook にインストール。Note は Chromebook のブラウザで利用。
結果、全ての関門を通過したアプリは以下だけだった。
・Google Keep: Chromebook や仕事用 Windows との連携を考えて導入。代わりに標準の Notes をアンインストール。
・All Trails & Trailforks: オフライン登山地図。スマホのシンプル化と引き換え山で道迷いするのは本末転倒なので当然か…。
・Authenticator: 仕事で必要な 2段階認証アプリ。外出中に再ログイン等が必要になると困るので仕方ない。
・myBridge: 名刺管理。これは実質的に仕事の電話帳。
・iRobot & Kasa: スマート家電のリモコン類。さすがにこいつらは外出先から操作できないと意味ないので。
やはり、前述の審査手順を踏むと、アテンションエコノミーとは無縁な実用品だけが残る。
思惑通りだ。
スマホが… 小さくなった!!
Pixel 6a と比べて新しいわけでもないし、画面は小さく、カメラの画質もイマイチ。パソコンとの連携も悪く、全体的にフレキシビリティも低い。バッテリー容量も半分以下。
Pixel 6a から iPhone SE 第3世代への機種変更は、完全なるダウングレードだ。
しかし、既にスマホの用途を最低限に削ぎ落とした今、「小さくて軽い」というその 1点だけで大きな勝利に思えてくる。
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既にスマホの利用時間それ自体が激減しているので、懸念していたバッテリー持ちも全く問題なさそうだ。余裕で2日持つし、充電パッドに置くだけで充電できるようになって便利になった。
スマホが物理的なサイズ、存在感の両方において、すごく小さな存在になった気がする。
全3編のまとめ
一連の試みは新しい発見に満ちていた。
・スマホへの要求を下げてゆくと、基本的には標準アプリだけで事足りるということ。
・ガラケーまであと1歩だが、どうしてもスマホが必要な用途がいくつか出てきてしまうということ。
・型落ち中古端末の市場は iPhone の独擅場ということ。
・スマホは何でもできるようで、何も得意ではないということ。
そして、様々な良い変化があった。
日常生活が変わっていない以上、潰す暇の総量は変わらない。結果、些末なことに振り回される時間が減り、静かで、退屈で、内省的な時間が増える。
これは非常に内向的な私にとって、日常生活の大きな質的改善だった。
…
関連して、Facebook や Twitter といった SNS が、「スマホで暇を潰す」という習慣と強く紐付いていることも判明した。
これらを Chromebook のブラウザから利用すると、驚くほどに退屈なのだ。製品開発においては当然、「いつでも手元にあり、毎日何時間も見てもらえる広告媒体」が優先されているのだろう。
どちらもそれなりに長い期間使っていたはずなのに、急に色褪せて見えてきて、「まあ良いか」と思ってアカウントを削除してしまった。残った SNS は LINE と Note と「みてね」の 3つだけ、いずれも Chromebook で利用している。
…
だから、一度家を出ると、電話とメッセージ以外の全てから「落ちて」しまう。
どんなに会話が盛り上がっても、夜遅くなると順番に参加者が Skype のチャットから「落ちて」いったあの頃のようだ。誰が今オンラインか/オフラインかという概念自体、今となっては懐かしい距離感だ。
最初は時代に逆行するような違和感と、不安が入り混じったような感覚があった。
しかし、それは僅か1週間足らずで、軽やかな開放感へと変わった。
ただ家を出て職場に行くだけなのに、手ぶらでふらっと旅に出て来たかのような感覚で、病みつきになる。
今となっては元の生活に戻れる気がしない。
…
さて、Pixel 6a を初期化して、eBay に出品しよう。
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完
※後日談:FacebookはPCで開き、Feeds → Friends を選択すると、友人の投稿のみが一覧で表示される。このページをそのままBookmarkすることができることが分かったので、アカウントを復元し、Chromebookのブラウザから開くことにした。