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詩 「 繭の中 」




浅はかなものを 深みだと

喚き散らして約三千里

歩いているようで歩いていないような気がした

道のりを潰して何に抗がおうか

くすぶった白い言い訳

振りかざした羊毛

痛みをもっと切り裂いて

バラバラにしてまったく見えないものにしてしまった

ただこれだけを見てくれと

他には何も見えないようにした

強引な横っ面が朝日に重なった

綱引きのような魚の眼が

語らないようにフタを壊して

枕をもっと高くしようとしただけだ

柔らかさは掴みようがないから

流し込むのをやめて

巡らないようにして

硬化することを目指した

囁きは点にもならない

煌めきは線なのに

それは白紙にしか見えないのだ

巨大な廃墟が唸り声をあげて奇妙な歩き方をする

輩がカサカサと音を立てて

いつの方向を見ているのかわからない

目玉はただのトンネル

どこをどう見ても異様な形をした図形が

転がり落下し走り回り噛みついて吠えて

バケツの水をひっくり返した

波打ち際へと逃亡して海と一緒に走っていたいのに

立ちはだかるメモリをなぎ倒して

走っていたいのに

不自由の自由がガラスのような厚さで

透明な牢獄になって囲い込むのだ

逃げ場は失われた

砂場は干しあがった

世界は砂

埃の上で成り立っている

自由は不死身 羽は飾り物

壁は存在する嘘で塗り固めるために

橋は渡さぬように存在する

川は流れて奪われた未来に注がれた

金色のダムが笑っている




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