詩人高瀬賢太郎

詩人、写真家。 熊本県玉名郡和水町在住。妻は画家。主に花、人物写真に、我流の筆文字で、詩を綴った作品を 創作しています。注文制作をします。ブログをご覧ください。 http://kentarotakase.jugem.jp/

詩人高瀬賢太郎

詩人、写真家。 熊本県玉名郡和水町在住。妻は画家。主に花、人物写真に、我流の筆文字で、詩を綴った作品を 創作しています。注文制作をします。ブログをご覧ください。 http://kentarotakase.jugem.jp/

最近の記事

詩「 狂詩曲・教科書 」

雨の一粒の呼吸が 白々しく感じられたら お芝居が続けられた 台本通りだ まったくもって台本通りだ 口をふさいで耳をふさいで目を閉じたまま 右と左の動きが巧妙にそろっている苦悩をする輩が 万歳三唱をしながらそのまま 崖から崩れ落ちていく崩れ落ちていく 清らかで美しき世界が この手の中で逃げ場を失い うごめいている 封じ込めて正解 血が通わないまま曲解 膜が割れて他界 思い通りの世界で もがいていることが マラソンランナーの脳みそ 努力が報われ

    • 詩「 あまりにも裏返し 」

      行間は何もならない目玉 ふくれあがるだけ なのに価値をみいだせる ぶつかるように 自由自在に変換しすぎて 訳がわからなくなった 困難と混乱の履き違え 定位置の定義の配置換え 枠に数本の釘だけでは 差したことにならない   行っていることと 口に出していることが 違いすぎて シグナルのように反応して どう名前をつけていいのかわからず どう説明しても通らない 看板は役割を終えて 岩盤はその意味を失う いっそのこと もっと含ませてほしい と

      • 詩「 蒼く染まる明日の行き止まり 」

        記号を差し押さえて離合 対向車線の過去 すぎさることに固執して張り裂ける 夕暮れを感じて キリがない 振り返らないことの美学 振り返れないことが痛く 壊れた時計のコレクション 何にもおぼえていないふりをしたくせに すれ違いの言葉と 入れ違いの期待 今日が終わってしまった 取り残されてしまった 追いかけたその場所には何にもなかった 世界にとじこもった おぼれた 糸が刻んでいる 景色がただ遠ざかる 時々締め付けられる 意識がただ埋もれてく

        • 詩「 正義という名の暴力の下で真実の花が散った 」

          涙はただ流れずに そこいらじゅうに留まって 模様になった 寒い寒い朝に ちぎれそうになった 鳥たちの鳴き声は とろけるようにクリームになって 甘味におぼれてドロドロした断言がつきさす薄っぺらなハートは 拗ねた態度で手紙を破り捨てた 最初からすべてわかっている しわくちゃに丸まった 並んだ手の施しようのない傷痕 ボロボロになる ピンク色の花咲き乱れて 映し出されたものは砂の嵐 周波数がすれ違う 季節はそこにあるのに ズレていく かすれた喉はす

          詩「 あなたにそこにいてほしい 」

          そんなふうに途中で止めるのは やめてほしい その先がどんなふうになるのかを見たいから 不完全なのか完全なのか 見分けがつかないようなものを見せてほしい 相当統率が効かなくなっていたとしても 責めるつもりはないから 永遠の中の一部をそこで 刻んでほしい 二度と繰り返せないのは知っていたから どこのページにものってはないから 馬鹿々々しくても ずっと続いていくことが なぜか 愛おしい 切り裂いたフィルムを新たにつなぎ合わせて再構築するストーリーですら

          詩「 あなたにそこにいてほしい 」

          2021年早春ポストカードセット発売のお知らせ

          2021年早春ポストカードセットの販売を 始めます!! まだまだ、寒い日が続いていますが、 そんな中でも、水仙の花が咲いていたり 梅の木の新芽も膨らみ始め、花もちらほらと、つきだしています。 地面からは、小さな芽が次から次へと 伸び始めています。 そんな春の兆しを感じ、切り取った写真と 筆文字でオリジナルの詩を綴った作品集。 コロナ禍の影響で、熊本和水町に住む 私も、どことなく遠慮がちに 日々を過ごしています。 県境を越えて 人に会いに行くことも

          2021年早春ポストカードセット発売のお知らせ

          詩「 網 」

          静けさの始まりはさみしさの故障 差し障りだらけの日常の上等さを知るべきだなんて 信じたくもないけど手ごたえを認識して 永遠に続き終わることもないであろう化学式の過程のように 過ごしてみないかと問いかけていた 花はすべてカットされてしまった 闇の中浮かぶ今が照らされて どことなく愛おしいのに なぜかひとつになれない 街はただ黄昏てそこにあるだけ 無言のまま月とともにいるだけ 響きだ。 まじわって響くのが海 ゆらゆらと不機嫌で くずれかけの橋をのみこん

          詩「 dolls 」

          感電したみたいに痙攣して 夢遊病者になって そして白紙の明日が早く来ればいいんだと 泥のように眠る夜 テレビジョンが嘘をついて 信じるものが馬鹿をみて ながい影がうつりこむ シャッターだらけの街を睨む朝になった 操作されて魂をぬかれて 注射の針が注入する今日は 無色透明の明日であるはずがない ほこりにまみれた人形 目を開くことはない 眠りについた指先は 曲がらない足とは出会わない 静かなる衝動は衝突して 火花を散らしうめき声をあげて 暴走して

          冬のポストカードセット2021発売のお知らせ

          冬のポストカードセットができました。 今回は、6枚セットで、お届けします。 寒い冬が、やってきました。 今年は特に、いつもよりは、寒さが厳しく感じます。 全国的に寒波で、大雪も降り、 私が住む、熊本和水町も、 厳しい寒さに覆われています。 そんな寒さ極まるなかでも、 密やかに、咲いている花があったり、 また、枯れている植物たちの姿も美しく、冬の景色を彩っています。   今回のポストカードセットは、そんな冬の造形美を捉えた写真と オリジナルの筆文字の詩と

          冬のポストカードセット2021発売のお知らせ

          日記「 nothing 」

          早速日記をつけようと思ったけど 書くことがない。 何も書きたいと思わない。 ただ静かで、正月という特別な一日なのに いつもと変わらない田舎町の光景が 目の前に広がり それが何かほどよい安心感。 生きていて楽しいとすら感じてしまう。 一年が365日あったら、そのうちの8割くらいは、 何も発信したくないと思うのであろう。 文章書くのが苦手なので、こんな感じです。 だけども、文章で表現することに 何か執着心があって それで、昨年は、毎日のように詩を書いたわ

          日記「 nothing 」

          日記「2021」

          あけましておめでとうございます! 今年からこのブログで、日記をつけてみようかと思っています。 日記の書き方って、小学生のころ習ったかなあ。 忘れてしまったけど。 まあ、でも忘れてしまったとしたなら好都合だ。 いわゆる 日々何があって、何をして、何を感じて どうしようと思ったとか、そういった類の日記ではなく、 心象風景というか 目の前で起きていることではなく 心の中で起きていること 目には見えていないようなこと もしかしたら嘘八百 そういったものを、日

          日記「2021」

          詩「 結晶 」

          心と体がバラバラの私 アフターテイストにいつも苦しむ 平面にならぶ積み木 見え透いた名言など 聞いてあきれる フィルターをすべて焦がした 吸うことができなくなって しなびてしまう 出来ないことなど何ひとつない すべてを成功させてしまう まったくもって自信なさげな態度で 優しく愛撫する 鬼のような形相で 枯れたままで渇いたままで流れゆく川 硬直した図面が夜空を散歩して嘘ばかり言う ポーズばかりの上等なやせこけたコガネムシ 髭のように恒久的に伸ばし

          詩「 夜明け前のストレンジャー 」

          迷路はやはり はじめから迷路だった だからもう迷うしかない 順路はやはり はじめから順路だった だから順番を守ってくれと懇願する 存在しないものを存在していることにして 混乱を極めた世界は 黒地に白い亡霊がとびまわっている壁紙みたいだ 頂点の裏側にある 病弱なるペテン師 黒と白の細胞の黒と白が入れ替わって 意識にゴチャゴチャとはいってきて よくわからないことを唱え始めたと思えば 突如として呼吸困難におちいって頭をかかえて レインボーにダイブ 気

          詩「 夜明け前のストレンジャー 」

          詩「 パラレルワールド 」

          その表情はよくわからない 絶妙な寸法の隙間 静かなる動き ほんの一瞬で見逃す 二度目があるとはとても思い難い 一度目を悔しがる 姿形がいつも違う 同じ夢は繰り返さない 次はきっと違う化け物だ 秒針が刻んだものは コップからこぼれ落ちた水だ 味なんてものがまったくない ただ記憶に残る もう記録できない 言葉にすれば つかみどころがない 誰にも捕まえられない なのになぜか生き物のように 確かにその息吹を感じる   何の話をしているのかわからな

          詩「 パラレルワールド 」

          詩「 ドライフルーツ 」

          喉の渇きのその先の 突き抜けた黄金の森の隙間 誰も足を踏み入れていない 呼吸の殴打 体験が経験を越えてそこに見参する めくることのないページは 永遠の秘訣だと誰が言った 崩れ行く正論の仲間 支え行く異論 唱えていた集まりは 閉じ込めて教会の中 縦横無尽に存在する 安堵した面々はどれほどの楽天家なのかわからない 知らない思想の始まりは やっとの思いでその先端に触れた 伝染したみたいに同じポーズで トンネルを埋め尽くし 無意味な行動で真夜中を無駄

          詩「 ドライフルーツ 」

          詩「 針のむしろ 」

          つついては壊し 壊してはつついて を繰り返す ノイズの半減と体重の増加 生まれしものは 数値化するには言葉になりすぎた 感覚の違い 数ミリの誤差 押しつぶされる 押し付けられる 押し売りされる モチベーションがだれる 有名になりすぎた 無名なものは 無名のままでよかった 荒らされた清涼感 喉元には一部の残留した要素 張り付く前に培養した 拡がっていく偽り 騙される有形無形 いびつな山脈に陽が昇りかけて 食べかけの残りものが輝き始めた

          詩「 針のむしろ 」