詩「 向日葵 」
知らんぷりの解読
難しさだけが残って
後味が捻じ曲がる夜
錯覚を作曲したカタツムリが
眠りにつくことはない
バイオリンの音が不憫に響く
耳鳴りと軒並みの区別がつかないまま
さまよい歩けば腐敗が進化して
何にも見えなくなってしまった
白い白い夜に
雪は降らない
まとめてあった枯れたものたちは
息を吹きかえす
おそいかかる
逃げなくてもいい
守ってもらえなくていい
街灯の明かりがすべえ消えてしまっても
そこにあるものは潰れないから
空回りは本当は意味があること
嘘のような本当の話は
嘘だったのに
空箱の中には空気がいっぱいに詰まっているのだ
テレビジョンの画面に日々がはいる
無数のニュースペーパーが腐っていく
戯言を吐いているご趣味の悪いネクタイが
淡い夜に飛び回って
コウモリが吠える
ハンマーみたいな警告が
静かに振り下ろされたらいいのに
文字が全部あぶりだされたらいいのに
いくつもの扉をあけたら
どこにも空白がないのに
まるで何にも存在しないみたいに振舞っている人たちのパーティーが
すべてロボットの集団だったらいいのに
闇夜に光る眼がちゃんと見てくれていたらいいのに
枯れる喉
緑色の匂い
茶色の匂い
息が湯気になる
消えない生命
いつか覆される