SIIFと一緒にシステムチェンジ(社会構造の変革)共に社会課題解決を探索してくれる目指す事業者・団体を公募します。 【後編】2つのテーマ「機会格差」と「地域活性化」
2023年10月、SIIFは共に社会課題の根本的な解決を目指す、志とアイデアを持った仲間を公募します。ターゲットとする社会課題は「機会格差(世代をまたいだ経済格差の拡大と固定化)」と「地域活性化(地域の経済衰退とコミュニティ消失)」。1団体あたり最大6000万円の資金を提供し、互いに意見を交わしながら協働していきたいと考えています。
ここでは、事業を担当するSIIFインパクト・オフィサー加藤有也とSIIF常務理事工藤七子が、今回の公募の主旨をご説明します。後編では、公募のテーマである2つの社会課題について掘り下げます。(前編はこちら)
「機会格差」という根深い社会課題のレバレッジ・ポイントを探る
加藤 今回の公募は、SIIFが注力する3つの社会課題のうちの2つ「機会格差」と「地域活性化」をターゲットとしています。それぞれ、取り組みの方向性は異なっていくだろうと想定しています。
まず「機会格差」ですが、ビジョンペーパーの作成を通じて、非常に広範で根の深い課題構造だということが確認できました。親から子へ、世代をまたいで経済格差が引き継がれ、しかも拡大していく現実があります。この課題を解消できれば、どんな将来が描けるのか。私たちが目指すべき社会、その理想像を共有するために、10のムーンショットを掲げました。
私たちはまず、この巨大な課題領域の中でも特に重要なカギを握る部分、人・モノ・金を投入するべき「レバレッジ・ポイント」を特定しなければなりません。そのために、上記の10のムーンショットにつながるようなビジネスやサービスに取り組んでいる方々と繋がり、投資家にできることを探りたい。共に議論し、実践を重ねることで、課題への理解を深めたいと考えています。その過程で、ムーンショットそのものが修整されることもあるでしょう。
工藤 機会格差の課題領域はとにかく広大で、そこに含まれる個別の課題もそれぞれに広い。投資家としてはひとまず、あえて遠い目標を掲げてみたわけです。このムーンショットに共鳴してくれる人たちと協働していきたい。
加藤 取り組みを進めて相互理解が深まり、レバレッジ・ポイントが見えてきたら、その後はそこにより大きな資金を投入したり、他の投資家とも協調して、さらに大きな枠組みをつくってシステムチェンジを目指していきたいと思っています。独力では到底太刀打ちできない課題なので、より多くの取り組み、より多くの投資家や企業家と連携していこう、というのが、「機会格差」の領域における大きな方向性です。
▶ビジョンペーパー「機会格差」
地域活性化を目指す多様な活動にインパクト投資を組み込む
加藤 一方、「地域活性化」の領域については、ある意味、「機会格差」とは正反対のアプローチを取る必要があると思っています。国内に約1800の自治体がある中で、おのおのが抱える課題は大きく異なることが分かってきたからです。
この課題に関しては、より小さな地域やコミュニティを対象として、そこですでに課題解決や活性化に取り組んでいる方々との協働を考えています。地域で行われるさまざまな事業にインパクト投資を掛け合わせることで、どんな相乗効果を生むことができるのか。それが、この課題で探りたい問いです。
工藤 地域は絞ることになりますね?
加藤 全国からご応募いただけますが、その中から私たちとシステムチェンジの志を共有できるプレーヤーを見付けて、対象地域を特定することになります。ただ、その地域については、必ずしも自治体単位とは限らないと思います。
「自分たちのエリアをよりよくしたい」という熱意と行動力を持った皆さんが主導する、「地域に根差したインパクト投資」の実現を目指す試みです。今回の事業を通じてそのプロトタイプをつくり、他の地域にも展開できるようにすることが目標です。今後、たとえば休眠預金を投融資に活用できるようになったときにも、参照される事例になればいいと考えています。
ご自身のアイデアにインパクト投資を掛け合わせれば、より根本的な社会課題の解決に近づける、とお考えの方は、是非一度ご応募いただければ嬉しいです。
▶ビジョンペーパー「地域活性化」
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