初夏の避暑地で昼間から飲む最高の一杯
数年前ランニングを始めた。
汗をかいた後のビールは旨いとは、誰もが言うことだ。
走った後のビールは確かに旨い。ただその旨さは一定ではない。
達成感もビールの味を大きく左右する。今日は頑張ったぞという満足感は、走り始めたころは、とにかく決めた距離を走りさえすれば必ず得られ、その後のビールが旨かった。だがやがて自分の走る力が分かってくると、走っただけでは達成感が得られなくなってくる。
目標タイムをクリアできたか?途中でダレなかったか?自分を十分追い込んだか?様々な形で内容を問うようになるのだ。
だがマラソン大会はやはり特別だ。成績が今一つでも、大会に向けて行ってきたトレーニングなどの道のりが、完走することに特別な意味を持たせてくれる。
多くのランナーが大会のかなり前から禁酒をする。私の場合、レース前1ヶ月間、アルコールを完全に断つ。これもまた完走後のビールの意味を高めてくれる。
個人的には、フルマラソンよりもハーフマラソンの後の方がビールは旨い。
水分も塩分も糖分も出し切るフルマラソンの後は、味覚も変わっており、ビールをあまり旨く感じられない時がある。その点、ハーフは完璧だ。
さらにフルマラソンが終わって飲むのは早くても夕方近くになってしまうが、ハーフの場合、まだ昼前後だ。ゴール近くで真っ昼間からビールを飲む人たちは全員完走したばかりのランナーである。互いに会話を交わさなくても、全ての乾杯に全員が共鳴し、いつまでも達成感がリフレインして、ビールの味を高め続けてくれる。
そんな理想のビールが飲める大会として、私が気に入っているのは5月のGW明けの日曜日に行われる軽井沢ハーフマラソンである。東京から新幹線で来て、駅に隣接する会場でスタート、ゴール。初夏の軽井沢を気持ちよく走って、楽しく飲んで、日帰りで東京に戻れる。
大会の楽しさはぜひ、公式HPの動画を見て感じて欲しい。
まるでエキストラを雇って撮影したプロモーションビデオのようだが、まぎれもない記録映像で、この楽しい時間と、その後のさらに楽しい真っ昼間の乾杯が、毎年奇跡のように繰り返されて来たのだ。これまでは。
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