サイカ/フレデリック/さんかく窓の外側は夜
はじめに
6月29日(水)何の日でしょう!!!
フレデリックのライブ!!!!!
ミュージックジャンキー!!!!!!!
行きます!!!!!!!!!!!
イェーイ!!!!!!!!!!!!!!!!
フレデリックのライブには初めて行きます。
ちょっと怖いけど、フレデリズム3というアルバムがあまりに好きなのでチケット買いました。
不可抗力すぎる。
フレデリズム3は本当にいいアルバム。
チケットはまだ絶賛販売中です19時スタート原宿/渋谷なので行きやすいね!是非!!!
(Q. なぜ私が宣伝を?
A. フレデリズム3があまりにいいアルバムだからです)
*
フレデリズム3の6曲目、サイカはアニメ「さんかく窓の外側は夜」のオープニングとして制作された。
大好きになったサイカ、
どの言葉がどこから来ているのかを探るべく1日かけて映画とアニメを視聴した。
「こういうことか?」と曖昧な部分も多いが、備忘録。
とりあえず記事を開いてみたが読む気がしないぞ?という方は
そのまま目次の終わりにをクリックして、リンクを踏んでください。
私はそれで満足です。
あらすじ
冷川 理人(岡田将生)◎除霊士。アニメでは金髪のお兄さん。
三角康介(志尊淳)霊が見える。眼鏡を外すと人や景色がぼんやりする中、霊だけはくっきり見えるので逃げることができる。
非浦英莉可(平手友梨奈)◎呪い屋の女子高生。
半澤(滝藤賢一) 刑事。霊は信じないタイプ。
逆木 エリカの用心棒
迎 ◎エセ占い師だが、心霊系の問題解決も行う。(霊感はホンモノ)
先生 ◎協力な力を操る。エリカの力を利用している団体トップとして現れ、後に離婚して行方をくらました三角の父であったと判明。(アニメキャラ)
◎霊的能力を利用した稼業を行っている人物
(三角くんは物語開始時点でただの書店員なので除外)
ジャンルはミステリー、ホラーで映画のキャッチコピーは「心霊探偵バディが呪いの怪奇事件に挑む、新三角ミステリーエンターテインメント」
元々冷川は一人で除霊の仕事をしていたが、霊がよく見える三角と出会い、彼を助手として雇うことに。
半崎刑事に持ち掛けられた依頼(貯金箱の項で後述)で見つけた霊たちは「非浦英莉可に騙された」と語る。
この先、映画とアニメでは尺も違ってかなりストーリーが異なるので以下アニメをメインに語る。
映画の話を知るには、こちらのサイトがわかりやすかった。
Wikipediaを参照すると、
除霊の演出として、除霊師が魂に触れる能力を持ち、主人公と接触を持つことで霊視能力を共有して除霊するが、魂が触れ合うと失神するほどの快感を得るなどボーイズラブ要素を取り入れている事が特徴。
との記述がある。映画ではここがかなり綺麗にすっぱ抜けている印象。
アニメ予告PVではBL要素を前面に押してきているけれども、本編を見るとそこまでハードではない。
作品のキーワード
運命以外はサイカとは直接関係ない。
運命
冷川は三角に触れるとより霊が明瞭に見えるようになり、仕事をやりやすくなった。
魂が触れ合う際の相性(※)も良く、冷川はこの出会いを
「運命の出会い」
と称した。
(※エリカと逆木が魂に触れるシーンがあるが、互いに痛みを生じている。冷川ー三角は快感になり、エリカー逆木は痛みとなるのは、冷川と三角の霊的能力の違いかもしれない)
「君のような才能のある人と出会うことができたのは運命だ」
後に明らかにされるが、運命は宗教団体に力を利用されていた冷川自身がかけられてきた言葉でもあった。
「運命というのは共鳴して多くの人たちを惹きつけ強い力で私たちの命を引き上げてくださる」
貯金箱
3人の女性が殺害され、バラバラになった遺体の一部がそれぞれ見つからない事件が発生し、これが物語の掴みになっている。
遺体の不足した箇所を合わせるとちょうど人間一人分になるのだった。
犯人は自白したのち自殺したが、死体の残りの部分の場所は決して明かさなかった。
遺体の捜索依頼を受けた冷川、三角は霊たちからヒントを得て遺体の継ぎ接ぎにたどり着く。
これは、エリカが呪いを使うエネルギーの根源、呪いの装置として作られたのだった。
呪いの力の根源として、穢れを溜めるダムのような場所は貯金箱と称される。
アニメではエリカと、彼女の力を利用する二代目研究会の"先生"が貯金箱を作るシーンがあり、貯金箱は複数存在する。
最大の貯金箱は冷川が利用されていた初代研究会,の跡地で、今は先生の住まいとなっている。
先生によって冷川がここに閉じ込められ、三角たちが救いに向かうのが作品のクライマックスとなっている。
映画では複数の失踪者が最後に目撃された店の跡地をメインの貯金箱として、クライマックスでは三角とエリカがこれを除去しようと立ち向かう。
研究会
幼いころの冷川は手のひら研究会という宗教団体で会員たちの呪いを祓っていた。
教祖を務めるのは母の冷川トウコである。
抑圧からの解放を望む冷川は呪いの力を使い、
その時研究会の建物にいた人たちは、冷川を除いて全員が殺し合い、自殺により死亡した。
新聞に戦後最悪の集団自殺と記載された大規模な事件であった。
初代である手のひら研究会は一時分解したが、二代目が台頭し、エリカはそこで呪い屋をさせられている。
二代目を率いるのは"先生"と呼ばれる人物。
この事件の際現場に立ち入ったのが半澤刑事で、以来冷川との付き合いが続いている。
映画では、冷川の母は一般教徒として息子を研究会に差し出している。教祖は石黒という男。
エリカを利用する二代目も、初代と同じ石黒が教祖を務める団体である。
憎しみ・万華鏡
映画・アニメともクライマックスで貯金箱に向かうが、これらの貯金箱に隠されていたものが異なる。
映画では幼い頃冷川が母に授けられた万華鏡が中心にあり、彼の過去が核になっていたことが暗示される。
アニメではモノに頼らず、そのまま「憎しみの核」(と言っていた気がする)。
かつて冷川が研究会の自室に隠した「憎しみ」を、先生が拾い利用する。
さんかく
タイトルでもある三角形は度々出てくる。
霊能力の形が三角形として描かれる。
契約
冷川と三角が書面で雇用契約を結ぶと、三角の背中には三角形の烙印▼が現れる。
アニメでは、三角がこの烙印を起点に霊能力者たちにだけ見える紐で犬のように縛られていることになっている。
結界
強力な貯金箱に立ち入る際、冷川は入口にチョークで三角形を描き半澤に「三角形の辺を踏んでここで待っていてください」と依頼する。
もしものことがあったときの安全な逃げ場所、結界を三角形で作りだしたのだ。
三角形の結界は迎も使っており何度か登場する。
さんかく窓
タイトルでもある三角形の窓を操るのは冷川の能力である。
9話、三角と口論した冷川が、三角を三角形の窓を通して「一度入ると出られない家」(3話で登場)へと送り込む。
家の主との問答の後、三角はなんとか家を出ることが出来た。
冷川との再会を試みた三角は、先生の家の前にて
先生と冷川が対峙しているところへたどり着く。
更に先生が分裂して危険な状況になったところへ
騒ぎを聞きつけ隣人が駆けつける。
「俺はこの人を助けるから冷川さんは逃げてくれ」
と言った三角に対し冷川は「なぜ自分ではなく無関係の人を助けるのか」と
怒る。
冷川は再びさんかく窓を通して三角、隣人を出られない家へ飛ばそうとする。
三角は隣人を「途中で安全な場所に放り出してきた」ため、三角一人が出られない家へ。
*
タイトルのさんかく窓が、冷川の操る窓とイコールでいいのかは微妙なところだ。
ブログやコメントをいくつか拝見したところ
さんかく窓=冷川の結界(家に繋がるところに限らず)
という解釈が複数見受けられた。
この解釈で先に進むと、
結界は「守られている場所」であり、霊力者たちの作り出した空間である。
逆に言えばその結界(さんかく窓)の外側は「守られていない場所」である。
そして、作り出された空間ではない、あるがままの現実である。
こう考えると第一に、さんかく窓の外側は死霊の跋扈する危険な世界である。
しかし、あるがままの現実には霊が見える/見えないは関係がない。
私たちの住む普通の現実世界のことだ。
さんかく窓の外側=現実の世界が、夜で。
恐らくここでいう夜は綺麗なものではなくて、恐ろしい暗闇のような場所。
1話、三角は「生きてる人間の方がよっぽど怖いかも」「霊はかつて人間だった」と語っている。
霊のいる世界と人間の住む現実世界は別物ではなく、
どちらも同じ夜として存在するのだ。
サイカ
アニメと歌詞(引用部)のリンクを示した。
日常の単語やバンドの文脈から来た言葉もあると思うけれども、
判断がつかないのでアニメに重なりそうなところはできるだけ抜いた。
あなたから見えるその景色と私から見えるこの景色が
混じり合うことで輝いてく
冷川と三角二人分の景色が混じり合うことで輝く。
混じり合う:魂の触れ合い、核心に触れることで感覚を共有
輝いてく:より明瞭に見えるようになる?
願いや運命を掴んだのさ
願い:三角「呪うのを止めたい」(9話)
→人を傷つけさせるのを止めたい
運命:運命は物語のキーワード。
冷川「君のような才能の持ち主に出会えたことは、誇張ではなく運命だと思います」(1話)
掴んだ:11話先生の腕を三角が掴むシーン、12話幼少期の姿の冷川の腕を三角が掴むシーン。
先生ー三角は血縁、冷川ー三角は運命の出会いという繋がりがある。
ジャケットで「月」と並んで目立つモチーフ、「手」はここからきているのではないかしら。
感情も運命も一切の愛情さえも
感情:9話で冷川と三角が口論になるシーン。
凄惨な過去を持ち、真っ当な教育を受けていない冷川は一般的な感情、感覚がわからない。
三角「俺にはアンタが自分の感情に気づいていないように見える。そういうのはすげー悲しいし、嫌だ」
冷川「感情を自覚するのは良いことですか?」
三角「だって悪い感情をずっと抱えてるなんてさ…」
感情に欠陥がある登場人物が人と出会い、感情を獲得していく物語に私は弱い(うるせえ)
愛情:作品的に色々な愛情が考えられるので「一切の愛情」となるのだと思う。
・母からの愛情を受けることができず憎しみを生んだ冷川
・妻の愛を息子に奪われたと感じている先生(三角父)
・冷川を救い上げてくれる三角に対する感情は愛情?
純情 感情 論争(スキライズム)みたいに三単語で畳みかけてくるのもすごく好きだけど、
感情、運命、一切の愛情と劇的に語りかけてくるのもいい、、
予告PVでサイカのこの部分が流れ始める。良すぎた
だから燦々と夜が明けたら
夜が明けたら:さんかく窓の項で書いた通り「夜」を、恐ろしい現実世界と仮定する。
夜が終わりになる、現実の世界が「怖くない」状態になるということ。
1話 冷川「私といれば怖くなくなりますよ」
12話 三角「アンタ俺といたら怖くなくなるぜ」
このアニメのオープニングに、高らかに夜が「明けたら」と前向きな言葉をつけてくれるの大好きです。
曖昧な感情も純情も愛し合ってよ思い出も
曖昧な感情:先述の通り。冷川は自身の感情にまだ無自覚。
純情:?
思い出:過去の確執?
もう一回最後まで笑い合おうよ
最後まで:三角から冷川「最後まで聞く。最後まで言えよ」(9話)
12話で三角は部分的に「拒絶するかもしれないけど」と前置きしつつ、総じて冷川を受容する姿勢を見せる。
良し悪しを切り取った一部分ではなくて、全てひっくるめて、という意味なのだろう。
翳りゆく日々を照らすことで鮮やかな華が芽吹きだした
翳りゆく日々:災禍;天災や事故によって受けるわざわい
華:才華;はなやかに外に現れた才能
簡単に傷つけあって単純に思われたって
傷つけあって:冷川「呪いは耳と目から入って口から出ていく」(3話)
言葉で人を傷つけること
三角「誰かを見捨てたり傷つけたりしなきゃいけない日が来るなんて」(10話)
純粋なあなたにとって繊細なあなたにとって
魂がオープンで冷川、迎、エリカそれぞれに触れられるのを許したことがある三角を純粋
霊力稼業をしている冷川よりも目がよく、感じやすい三角を繊細
と称しているのだと思った。
また、9話出られない家の主と三角の対話で
「呪いを止めたい」と言った三角のことを主は「無垢で傲慢」と言った。
三角が純粋無垢で間違いなさそう。
ただ、繊細は冷川にもかかるかもしれない。
葛藤も真相も一瞬の表情さえもこの話の続きを超えて
葛藤:トロッコ問題
書店員の同僚とトロッコ問題の話をしていた回想が挟まれる。(9話)
常にその場で一番弱い人を選んで助けると答える三角
→隣人を助け、冷川を見捨てる選択は葛藤
真相:?
一瞬の表情:?
三角「俺あのとき、冷川さんからの始めての大事なサインを見逃した」(10話)?
最後まで笑いあえる日々を繋ぎ止めて
繋ぎ止めて:10話~12話
先生の家の中は時空が歪み危険な状態になる。
様々な部屋が出現する。
エリカと逆木は居間に残り、以下の二人が戻ってこられるように繋ぎ止める。
・先生の元へ向かった三角(三角両親が4歳まで共に暮らしていた部屋)
・冷川の元へ向かった迎(冷川がかつて閉じ込められていた、窓のない白っぽい部屋)
迎と入れ替わりで冷川の元へ向かった三角にカラビナを引っかけて、迎はエリカたちの元へ戻る。
カラビナをエリカに引っかけ、更に半澤がエリカを支えることで
まだ部屋の中に残っている三角を繋ぎ止める。
そんな感情も表情も才能も分かり合えたら
この先の未来も最後まで笑い合えるよ
冷川を救い上げる際、三角は冷川から「そばにいて欲しい」という言葉を引き出す。
「冷川は何を考えているかわからない」と度々皆に言われてきたが、
三角を筆頭に人々と出会い、これからもっと感情、表情を少しずつ獲得していくことが予期される。
この先の未来も:ラスト、無事に冷川を救出して戻ってきた一行。
三角は契約書を破り捨てるが、翌日も変わらず冷川の事務所に足を運んだ。
「もう来ないのかと」思った冷川に対し
三角は「最初から(契約で縛ることなど)必要なかった」と答える。
信じることで繋がって笑い合えればいいんだね。
ハッピーエンド!!!
才華と災禍
サイカMVに「才華」の漢字が登場するが、
カタカナ表記にしているのはダブルミーニングのためだろう。
霊が見える、呪いを操る才能は彼らに深い災いももたらしてきた。
「才能」という言葉は作中でも度々登場するが、これをサイカに転じさせた三原康司さんのセンスには脱帽するばかりである。
アニメの言葉と歌詞を見比べてみて、作品に寄り添った言葉が浮かび上がるのと同時に作品にはない、作詞者自身の持ってきた言葉も鮮明に見えてきた。
夜が明けるのを太陽の輝く様で形容し、「燦々と」を繰り返す印象的なサビ
作品から来た感情、運命、一切の愛情さえもに続く「心の奥を灯せ」
「夢を見るんだ/正夢を描いて」、夢の表記は確かアニメにはなかった。
逆に、「信じる/信じない」はアニメで多用されるが、これを除いて別の言葉で表現していることも、サイカという楽曲の独立性を保ち魅力を生んでいるのではないだろうか。
終わりに
さんかく窓の外側は夜
映画:岡田将生の顔がいいのでおすすめできる。
しかし、全体的に「よくわからない」評が多いのも頷ける。
映像がグロいところも多々あるので、苦手でなければ!くらい。
アニメ:映画で絞られてしまった要素がいくつもあるので楽しめた。
12話完結なので気軽。
絵が綺麗だけど、グロ表現も丁寧な作画なのでこちらも苦手でなければ。
PVからBLを期待したグロ苦手派がいたらキレていいと思う。
BLに懸念のある人は多分平気です。
作品をまとめるのを放棄した割に歌詞を拾うところでかなり具体的なことも書いたので
曲と作品を知っている人にしかわからない駄文になってしまったと反省している。
最後までお読みいただいてくれた方がいたらありがとうございました。