数歩の回り道
シェイプアップ目的でホットヨガで汗だくになりながらバシバシとポーズを決めていた20代。
さて、30代の今。再び同じポーズを挑戦してみる。
20代の頃、あれだけ足がパッカーと開いていたのに、手をグイ―っと上げられたのに、半分もできない。
そして、このしんどさは何だろうか。
20代の時よりも頻繁にヨガをしていても、いざポーズを決めようとすると身体が言うことを聞いてくれない。
じゃあもう20代の頃のように、ポーズを決められないのか?
そんなことはない。
ポーズの最終形に到達するまで、数歩の回り道をすれば再びできるようになる。
「数歩の回り道」とは、身体を温める「ウォーミングアップ」と30%くらいの力量で初めてポーズを取る・解くを繰り返しながらポーズを深めて、最終形に至るという「慣らし」。そして最終形から一気にポーズから離れるのではなく、ひとつずつ「丁寧に解く」。
個人的な体感として30歳を超えてくると、いきなり動くことを身体が拒絶する。そうしようものなら、痛みという形で反応を示してくる。その後の回復にも時間がかかる。
これはどうしようもない変化として受け止めていきたい。
最終形に到達するのだからいいではないか。
若さゆえの瞬発力や力強さからは遠ざかっていくが、代わりに気品のある優雅な所作を習得することができる。
これまで私は背中を丸めて肩で風を切るようにガシガシ歩き、ドスッと音を立てて座るようなタイプだった。
品のかけらもない。
しかし、30代中盤から本格的にヨガを学び始め、「数歩の回り道」の練習をしていくことで普段の生活においても、鎖骨を横に広げ背筋を伸ばしながら歩くようになり、物を取ったり置いたりする動きも丁寧になるという変化が起きた。
20代は力強さ、30代は気品。年代ごとにヨガの恩恵が変わってくる。
これから年を重ねながらヨガをしていくのが楽しみになってきた。