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忙しいが生き甲斐
忙しいことが素敵、ダラダラした生活をするのはダメ人間だ。
そういう思想を持っている人の下で育ってきた。
朝5時頃に起きてニュース番組、新聞を読みつつ朝食を作ってメイクをして掃除をして仕事に出かける。夕方帰ってきて夕飯を作り、資格の勉強をして寝る。仕事では営業成績が支店トップで表彰されることもしばしば。「ノルマがある方が燃える」と言っていた。
実際に忙しい日々を送っていたが、とても充実しているようだったし「あぁ忙しい」と発する顔は何だか生き生きしていた。
定年を迎えて仕事がなくなった後、数年後にこの世から旅立った。
決して長寿ではないが、しっかり人生を生き抜いたなと私は思う。
就活していた時は激務を熱望していたわけではなかったが、自然と激務な環境を選んだ私は、20代は死ぬほど働くことを決意した。
「忙しいでしょ?大変だね。」
「仕事と俺、どっちが大事なの?」
こういう言葉を人から投げかけられてドヤ顔をしていた、と思う。
国内海外問わず出張したり、時差勤務したり、終電を逃してタクシー帰りを続けたりしていた日々。
働いた分だけ(個人的にはそれ以上に)ガッツリ報酬をいただいていたが、使う暇もなくお金は貯まる。
仕事がひと段落して長期休暇を取れた時には、お金を気にせず行きたい所へ行き食べたいものを食べていた。
家族の支えにより色々なチャンス・選択肢を与えてもらい、その中から自分で選んで挑んだことなので、全く後悔していない、むしろ良い経験をさせてもらったと思う。
忙しいって実際どういうことなのか。
忙しい中に置かれると人はどんな状態になるのか。
忙しく働くことで何が得られるのか。
もう十分わかった。
むしろ最近は失うものの方が増えてきた気がするので、
忙しいを生き甲斐にする生活は終わりにしよう。
そう思って、コンサルを辞めた。