私達の考えるシナジー
こんにちは、シダスnoteです!
本日は、ビジネスプランナー安西洋之さんと立命館大学デザイン科学研究センター長 八重樫文さんの共著、『デザインの次に来るもの』より得た気づきをコラムとしてお届けします。
隠れた意味を「再発見」する
電気のない時代、ロウソクで夜、灯りをともしていましたよね。でも電灯が普及するとロウソクは不要になりました。もちろん停電になったときの緊急用としてのロウソクは必要です。でも、それ以外の目的にいまもロウソクは使われています。なぜでしょう? ─『デザインの次に来るもの』
2010年、EUのイノベーション政策の一つとして採用された「デザイン・ドリブン・イノベーション」というアプローチがあります。市場に“新しい意味”をもたらす。これが「デザイン・ドリブン・イノベーション」の狙いです。では、“新しい意味”とは何でしょうか? 冒頭に挙げたロウソクの場合、「電灯の普及により夜の明るさが当たり前になったことで、揺れる火のムードを演出する効果が前面に出てきた。」つまり、ロウソクの意味を「再発見」することが出来た。と、著者の安西さんは述べています。
私達の考えるシナジー
本書の冒頭で安西さんは、ビジネスの「広さ」ではなく「深さ」で独自の位置を築きたい、と考える方たちの力になりたいのです。と書かれています。
この一節を読んだ時、「私達シダスも同じではないか?」と思いました。シダスは、カスタムインソールのパイオニアとしてスタートしました。ですが、現在は多くの専門家やエキスパートとの協働により足周りの総合的なソリューション(問題解決)を提供しています。例えばランニングの場合、これまではインソールによる足裏のサポートのみでしたが、ランニング専用のソックスやカーフも同一のシダスブランドとして用意することで、足周りをより自然に、より「深い」サポートが提供出来るようになりました。
シダスがソックスに求められる機能として、インソールとのマッチングがあります。一般的にソックスは単体で足裏にクッション性を加える場合がありますが、シダスはクッション性はインソールに任せ、足裏の鋭敏さを増す為に、薄手のソックスを主体に作っています。走行時の蹴り出しの動きを考慮し、足のズレを防止するシリコン・グリップバンドがインソールとのマッチングを高め、シューズとの一体感を生み、ランナーの能力を引き出すことが出来ます。我々はシナジーソックスと呼んでいます。
「なぜ、ソックスにクッション性が必要だったのでしょうか?」──改めて考えてみると、剛性の高いシューズと柔軟に動く足の隙間を埋める緩衝材としての役目を果たしていたからです。ですが、現在のスポーツシューズの考え方は、剛性を持たせつつしなやかに動く、足の靭帯や腱を思わせるような構造を目指しています。特にランニングシューズでいえば、シューズ自体がソックスを思わせるようなフィット感を志向しています。そこで、足周りの一体感を目指すシダスは足裏感覚と3本のシリコン・グリップバンドを備えた薄手のソックス『ラン・フィール』を開発しました。では、ソックスのクッション性はもう必要無くなったのかというと、トレイルランニング用ソックス『トレイル・プロテクト』において部分的なクッションが必要だと判断しました。なぜなら、トレイルランニングでは通常のランニングの動きには無い、不整地の下りのセクションや横方向への移動があるからです。前足部、くるぶし、踵のみ部分的に配置したクッションは不規則なトレイルの動きに対応します。
フットソリューションと意味のイノベーションを両輪で進める
シダスは、シューズを履いている足について、徹底的に向かい合ってきたブランドです。すべてのシダス製品は、これまで集めた膨大なデータを基に開発されています。(ランニングソックスは400,000足のデータを基に開発しています)
ですが、インソールもソックスも最後に良いと決めるのは数値ではなく人の感覚です。特にインソールは、シューズの本来の形や機能に、好みの特性を与えて別の「意味」を付与するものです。シダスの製品はその人の感覚を経て、ユーザーの足へと辿り着きます。現状、数値や計測といった「情報」だけでは、製品の持つ魅力がこぼれ落ちてしまうからです。人の感覚を経て、一人一人に対し異なった「意味」を見出すプロセスが必要です。その為には、専門家やエキスパート(もちろんショップの方々も含みます)と一緒に考えていきたいと思います。
我々が変わらない点は、これまで通り「情報」を基に確かなフットソリューションを提供すること。変わり続ける点は、フットソリューションを推進するために、市場に“新しい意味”=「意味のイノベーション」をもたらし続けることだと思います。それがインソール業界のパイオニアであり、リーディングブランドとしての誇りです。
(了)