増殖する本
我が家の七不思議の一つに「本が勝手に増殖する」というものがあります。
この七不思議は「トイレットペーパーの減りが早すぎる」「私の収入が少ない」に並ぶ怪奇現象の一つで、私たちはこの謎の現象に日頃悩まされています。
この「本が勝手に増殖する」現象は、去年から始まりました。私が古本屋で本を買ってきて、読み終わった本を部屋の片隅に置いていたのです。それが、数日経つとなぜか1冊そこに重なり、更に1週間経つと3冊重なり、やがて1ヶ月経った頃には10冊以上そこに重なっていたのです。私はそこに本を置こうと決めたわけではありません。それなのになぜかそこに重なるのです。
他の場所でも同じような事がありました。
リビングで本を読んでいる時、読み終わった本をテーブルにぽんと置いていると、数日後にはなぜかそこに5冊重なっていました。
そして、恐ろしいことにこの積まれた本は縦ではなく横に増殖していったのです。
5冊重なった本は、1ヶ月後にはその隣にもう5冊のタワーが出来上がり、さらにその1ヶ月後にはまた同じように5冊のタワーができるという現象が何回も繰り返し起きました。
そしてついにテーブルの端を住宅街みたいに立ち並んだ5冊の本のタワーは、横に並べられなくなったせいか、縦に成長し始めていったのです。
日を追うごとに1冊、また1冊と重ねられ、本の住宅街がタワマン郡へと成長しつつある時、同居人から「もう本のせいでテレビあんま見えんのやけど、片付けてくれ」と、あろうことかこの怪奇現象をなぜか私のせいみたいに言うのです。
私は決して、本を増やそうと思っている訳ではありません。重ねようと思っているわけでもありません。ただなぜか重なっていくのです。もしかしたら、本は2冊ぐらいそこに置いておくと、我々が知らないうちに繁殖行為をし始め本の子供が生まれるのではないかと思っています。そうだとすればものすごい繁殖能力です。2冊置いていたらそれはいずれ10冊になるのです。計8冊の子を生んでいることになります。
そんな怪奇現象の起こる私の家ですが、本棚だけは絶対に買わないと決めています。
読んでいておわかりかもしれませんが、本が増え続けるということは、本棚さえも増える可能性があるということです。
本棚の中で本が繁殖行為をしまくると、いずれ本棚そのものが増えてしまいます。
それは絶対に防がないといけません。我が家が本棚まみれになって生活がままならなくなる可能性があるからです。
では一体私はどうすればいいのでしょうか。
私にできることと言えば本が繁殖しないために本の近くにコンドームを置いておくことぐらいしか思いつきません。ですが置いたとしても使ってくれるとは限りませんし、もはや神職の方に頼んでお祓いしたほうが早いのかもしれませんね。
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