長野凱旋・1
全然終わんない。
行ってみよう
9月。なんとなく有給を取得したので旅行に行くことにした。金土日の3日間。「さてどこに」と考えると、頭にある場所が浮かんだ。そうだ、長野に行こう。
実は僕の苗字には発祥の地がある。それが長野県。長野市の住宅街の中にとある神社があって、そこが僕の先祖達の発祥の地とされている。父親が以前、先祖のルーツにまつわる事を調べ上げてファイリングした色々な資料を僕に渡してきていた。そういうのが好きらしい。「お前もいつか行ってこい」そんな父親の言葉を思い出した。よし、じゃあそこへ行こう。
ネットで宿を探すにあたり「どうせなら温泉宿にとまるか」と考え、長野市の温泉地を色々調べてみる。長野市は温泉が多いな。どこに泊まるか全く決まらない。一応レンタカーを借りる予定ではあるからそれなりに距離があっても問題は無いけど、夕方には宿でゆっくりしたいし、あまり遠い温泉は嫌だな。ということで宿を湯田中・渋温泉街に取ることにした。長野市内から車で約1時間。遠いじゃねぇか。
宿の予約を済ませ、次は新幹線のチケットを取る。8時発12時着の所要時間約4時間。二列席の通路側。いつものパターン。水分を取るとトイレが早い体質なので、窓際の席を取った時の気まずさを回避するための策。手刀を小刻みに振りながらの「アッスイマセン.…スイマセン.…」は勘弁だぜ。東北から向かうと大宮で北陸新幹線に乗り換えるらしい。初めての北陸新幹線だ。というか新幹線の乗り継ぎも初めてじゃん。テンションが上がる。帰りのチケットも予約しておく。そうだ、帰るついでに大宮でなんかしよう。ハライチのターンリスナー(通称ターン生物)なので、たまにラジオで話題になる東大宮のラーメン屋に行ってみよう。大宮から二駅らしいし、駅からもまぁ歩ける距離。店主が勝手に貰っちゃったハライチ岩井のエッセイ本ポスターも見たい。あとマヂラブANNリスナーでもあるので、大宮のよしもと劇場のチケットも取った。マヂラブ相席スタートZAZY他何組か出演するお笑いライブ。奇しくもラヴィットレギュラーが3組だ。楽しみ~。
いざ長野へ
前の夜に荷造りを終えてゆっくり家を出るはずだったが、早々に酔っぱらってしまい全てを朝にやるハメになった。この世に酒があるのが悪い。シンクにぶち込んだ空き缶と洗い物を片付けてシャワーを浴び、荷物を適当にケースへ詰め込む。当方、着替えは一日分多く詰めるタイプです。バスの時間まで7分。微妙~。金曜の朝、まだ静かな住宅街の中、ケースをゴロゴロ鳴らして歩く。
バスに揺られ、駅に着いた。新幹線の時間までは少しあったので、朝食代わりに売店で駅弁をゲット。やったぜ。しかしこの後の運転のせいでビールは買えず、割と本気でレンタカーを後悔した。
新幹線で大宮駅へ。途中、窓側に座るおっちゃんが僕よりトイレの回数が多くて辟易した。今後は通路側を取ってくれ。大宮駅は初めてだし乗り換えの時間もシビアだったので、駅構内マップを調べて動線を確認した。アレ結構分かりづらいっすね。階を跨ぐと良く分からなくなりますわ。ちょっと緊張してきたな。手汗が凄いぜ。
実際、東北新幹線から北陸新幹線の乗り換えは拍子抜けするくらいスムーズで、エスカレーターを下りたら正面のエスカレーターで上に行くだけだった。なんじゃい。北陸新幹線かがやき。白地に金と青のラインが金沢感を匂わせてくる(個人の感想)車体が格好良かった。しかも車内は赤と黒と来たもんだ。はぁ~上質な感じ出してくるじゃん。はやぶさも見習ってくれ。
北陸新幹線に乗り換えてから約1時間。信州の風景を見たかったからわざわざ窓際の席を取ったのに、発車してから10分程度で寝てしまった。起きたら長野の手前。勿体ない。前日までの天気予報では、接近する台風の影響で到着時刻と雨が降り出すタイミングがばっちり合っていたけど、僕が日頃積んできた徳の力で空は薄曇り程度になっていた。レンタカーの予約までまだ時間がある。飯だ飯だ。
レンタカー会社の送迎車に乗りこむ。運転手が「昨日までは長野もすっごい暑かったんですよ」なんて教えてくれた。もう日本のどこにも逃げ場は無い。着いたレンタカー会社の事務所はトレーラーハウスを改造した造りになっていて、中からちょい悪のおじさんが出てきた。いや事務所内でグラサン掛けてるじゃない。レンタカーを借りた。とりあえずは善光寺に行こう。
一生に一度は参れ善光寺
なんて言われておりますけども。実は当初目的にしていた神社を見てから宿に向かうと、到着してから夕飯まで結構時間が空いてしまう事が分かった。宿でぐったり過ごすのも悪くは無いけど、どうせなら定番の観光地も見ておきたい。以前からなんとなく『善光寺』というワードを知っていたので、ちょっと身に行ってみたかった。ということで着きました、善光寺。
まずは仁王門。駐車場から歩いてくると仲見世通りの真ん中に出てしまったので、境内の入り口まで歩いて行き、改めて仁王門をくぐった。凄い。地元の寺の門とはスケール感も荘厳さも桁違いだ。インターホンとか付いていないし。
仁王門を通り抜けると仲見世が続いている。平日だからかそれほど観光客は多くない。団体でなくそれぞれ個人旅行で来ている様子だ。程よく静かで、程よく賑わっている。丁度良いね。スマホで調べると『この通りから本堂へ続く石畳はおよそ7,777枚あると言われ』と書いてある。7,777枚なら”およそ”では無いだろ。誤魔化すな。
仲見世を抜けるとさらに大きな門が建っていた。二階に人がいるじゃん。どうやら登れるらしい。きっと眺めも良いだろう。登ってみるか。配られていたパンフレットをゲットして山門へ向かうと、若い男女の4人組に写真を頼まれた。「写真撮ってください」なんて何年ぶりに言われたんだ。あまりにも久しぶりだから恥ずかしくて「ハイチーズ」が言えなかった。一人旅の途中いきなり若者から頼まれて元気良く「ハイチーズ!」って言える奴いる?いねぇよなぁ。「アッ撮りまーす.…ッハイ~」でやり過ごし、そそくさとスマホを返して門をくぐった。自意識に小ダメージ。門の裏、右の階段から上に行けるらしい。有料だった。諦めた。
山門の二階を諦め、本堂を眺めた。これもまた凄い。歴史に黒く染められた木材に、金の装飾が重い威圧感を与えてくる。棒立ちで本堂を眺めてただ「ハァ”~」と漏らすだけの人になった。もう少し見ていたかったけど、さっき写真を頼んできたグループが追いついてきそうだったので、足早に前へ進んだ。
束ねられた線香を100円で買い、炭で着火、どデカい香炉の中に落とす。結構熱い。高校生くらいの男子が煙を顔に仰いでムセこんでいた。何してんだ。階段を上ると、かの有名なびんずる尊者像が鎮座している。木でできた坊さんの像で、自身の調子が悪い箇所と同じ部分を撫でるとそこが治ると言われるアレ。こういうタイプの像多いよね。もう何百年も撫でられ続けてきたんだろう。顔の部分がすり減り、口だけ残ったのっぺらぼうの様になっていた。普通に怖い。僕は特に治したい箇所が思いつかなかったので、「APEXで勝てますように」との願いを込めて両目を撫でておいた。1フレームが見えるようになりたい。しかしご時世のアレでアルコール消毒を促された。ご利益が消毒されていく。
全然終わらなかったんで2個目に続きます。
「脱獄してるんか」
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