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詩2篇「出番」「6月11日」

出番

彼らはきっと
即席の愛を貪りに来たんだろう
カドカドしいE.B.
粗の目立つハイ・ハット
狭い狭い宇宙いっぱいに

光を満たす
構造を重ねる
腕を鳴らす
日常を黙殺する

たまに無茶をしてみる
時に甘い囁きを入れてみる
敢えて慣れないステップを踏んでみる
(例えるならそう、寝覚めの水道水のようなピアノソロ)
醜いまでに顔を歪ませ、初めて歌える歌だ
私は自分自身にアドバイスをした
無知への恐怖を棄て続けること
そして
自他の境界線を忘れ続けること


6月11日

罪悪感
「私を殺すな
 寧ろ育てよ
 関係が音を立てて軋んでいる
 聞けなくとも感ずることが要
 私は理屈を拒絶するリマインド
 それ故に、誰かが私を弊害と呼んだ」

朝もや
「しることは
 そのさきの
 しらぬこと
 そのあとの
 しりつくす
 ぶきみさを
 わたしたち
 いつかまた
 わすらるる」

救急車
「正義が走る
 誰よりも寛大な心で
 何よりも純真な精神で
 君を守るということ
 こんなにも誇り高い私だ
 それなのに、少しだけ、
 嘘をつけるあいつが羨ましいんだ」

イージーモード
「過ちもあれば
 妥協もあるし
 少しだけ卑怯でいたいという
 自分の気持ちも嫌いじゃない
 気付かなければ
 気付かないまま
 別にそれでも構わない
 私の恐れるものはただ一つ
 退屈という毒物である」

母親
「永劫の中では
 ほんの瑣末な出来事に過ぎないが
 私は私を賭して
 私でない何かをつくったということ
 それはひとつの創世
 不遜を承知で言えば
 神とは
 かくも心細いものか、と」


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