タクシー運転手の悲鳴

40歳を迎え、わずかながらに
落ち着きと言う物を獲得し
ほどほどな田舎に生きる、岩﨑です。

十数年前に結婚し
外のお店にお酒を飲む
機会はかなり減りましたが
去年からのコロナ過で
より一層外に行けなくなりました。

最近いつ酔っ払いを見たっけ?
町にもいかず
近い友人や知り合いとしか
飲まない行動範囲では
へべれけに酔った姿の
人すら見ることないと
ちょっと悲しく思う。

そうだ、最後にへべれけを
見た記憶が掘り起こせた。

おそらく平成26~7年
6、7年も前なのか・・・

仕事の研修で東京に行ったとき
渋谷あたりで呑んでいると
まだ20時だと言うのに
若い女の子がへべれけで
道端に転がっていた。

東京恐ろしい。
東京でへべれけになったら
財布もスマホも
男でも女でも
関係なく貞操を
無くしそうで本当に怖い。

東京でへべれけになって
発展場に連れ込まれ
男祭りデビューなんて
怖すぎる。

なので、僕は東京で
深酒はしない。
お尻を守りたいからだ。

そんな僕も
20の頃は友達と
無茶な酒盛りをし
前後不覚で道端に
倒れた事も有った。


今考えると恐ろしい事だ
お尻以前に
車に引き殺されなくて
良かった。

そんな若かりしある日
専門学校関係の新歓があり
先輩たちからしこたま飲まさせる。

今から約20年前・・・
浜崎あゆみが激カワで
桃の天然水のみながら
「ヒューヒューだよ」
って女の子に声をかけていた
世紀末な時代だった。


確か、テンガロンハットやニューヨークハットが
流行った時代でもあって
私も流行にのってテンガロンハットを
毎日被っていた。
ああ、懐かしいテンガロンハット。

画像1

お店を出る事には
前後不覚、意識朦朧
多分、飲み屋を出て
すぐにぶっ倒れたと思う。

意識を失って
そんなに時間は立っていないと思う
おそらくは数十分。

道端の喧騒に目を覚ました。
頭が痛い、こりゃ流石に飲みすぎた
お尻ポケットに手をやる
良かった、財布はある
もう帰ろう、先輩に見つかると
三件目四件目と連れていかれて
自分がどうなるかたまったものではない。

自分が一体何をどれだけ
飲んだのかすら定かでない・・。

道端にへたりこんでいる
自分の前にそろりそろりと
徐行しながらタクシーが
やってきた。

さっと手を挙げ
タクシーを止めた
もう帰るぞ
このままではやばい。

タクシーに乗り込むと
一気に睡魔が襲ってきた
やばい、これは寝てしまう
やつだ・・・・・・

う・・・・
とにかくタクシーに行先だけは
伝えねばならぬ・・。

「〇〇まで・・・・」

タクシー運転手は行き先を
復唱し車は走り出した。

タクシーの心地よい振動とは別に
私の睡魔と酔いがハウリングし
酔い→酩酊に進化した。

酔い岩﨑は
酩酊岩﨑に進化した。
やかましいわ

酩酊状態でもわかる
胃袋の奥から
流動物の氾濫、そう、逆流だ。
やつがくる

自分の意思とは関係なく
ゲロパーティーの始まりだ。

酩酊状態でも
かすかな冷静な一部の
大脳真皮が警報を鳴らしてくる。

大脳「ここ、タクシーの
中だよ?
ゲロパーティー始めたら
運転手さんに迷惑かけるよ?」

自分「迷惑かけるよね
吐きたくないけど
ゲロが勝手にでるんだよお」

大脳「そんなこと
タクシー運転手さんには
関係ないよ?
次乗る人の事かんがえなよ?」

自分「わかってるよお
ゲロをとめてくれよおお」


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ゲロ「我らは止められん。」

自分「むぐうう・・・・」

大脳「ダメだよおおおお」

タクシー運転手「お客さん?」


自分「もごお・・・・・」

大脳「(機能停止)」

タクシー運転手「もしかして?」


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「始めちゃうかあああ!????」


自分、大脳「もう・・無理」

せりあがる喉元

もう止められないやつら
しかし、固く口を閉じ
最後の結界を我が肉体に
我が口に、口内に
封印!!!

封印!!

封印!!・・・で
できませえええええええんんn

大脳「ごめんなさあああいいい」



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テンガロンハット「俺がいるぜ?」

私は気が付けば

自分のテンガロンハットの中に
ゲロを放出していた。

自分「んぼぼぼぼぼぼ」

タクシー運転手の悲鳴を
僕は生涯忘れる事は無いだろう。

タクシー運転手
「お、お、おきゃくさああんん」

私はんぼぼぼぼしながら
急速に大脳が回復していく事を
感じ取っていた。
なんだろうこの感覚?
これがニュータイプか?
私の頭は凄くクリアーだ

はは、これがハイってやつか!?

私はんぼぼぼしながら
運転手に声を掛けた

自分「んぼぼ
大丈夫、テンガロンがあるから
んぼぼ」

この時自分は天才じゃないのか?と
んぼぼしながら思った。

車にも被害なく
ゲロパリピの勝手な
訪問も難なく受け入れ
大脳で解決できなかった
問題をテンガロンハットで
回避することが出来た。

お陰でテンガロンハットに
ナミナミに注がれた
ゲロをこぼすことなく
自宅までチャプチャプさせながら
緩やかに酩酊に戻っていった。

運転手さん
あんまり急にハンドルきると
おいらのテンガロンハットから
ゲロがこぼれちゃうよ。

自宅に付くと
まず、タクシーの運転手に謝り
財布の中の札は迷惑料で
全部渡した
そして、側溝に
ゲロを放流し
テンガロンハットは
洗ったけど
ゲロ臭かったので
翌週に捨てた。

なんて臭い話なんだ。

#ゲロ
#酔っ払い

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