【SHE課題】書くことは「向き合う」こと【提出課題】
言葉は向き合うための道具
言葉は、相手と、そして、自分自身と向き合うための道具であると思う。今回紹介する、一田憲子著『暮らしを変える書く力』を読み、その思いがいっそう強くなった。この本は、長年ライター・編集者として活躍してきた著者が「誰かに伝えるために書く」ことを通して、自分の思いを届けるための書き方についてまとめた本である。
書くことで、相手と向き合う
手帳に書きつづる文章は、自分にしかわからない思いや、ちょっとした暗号のような、私的なものであるだろう。しかし、この本で紹介されているのは、たとえばブログやSNS、メールや手紙。文章の先に相手が存在しているものばかりだ。
振り返って考えてみると、応援している「推し」に対してファンレターを書くこともあれば、仕事で伝達役として、メールを送信することも多い。SHElikesで学ぶ前から、改まった形ではないとしても、普段何気なく文章を書いていたのだと思い知らされる。しかし、自分が伝えたいことを100%伝えられている文章は、どれほどあるだろうか。
という筆者の言葉に、深くうなずいた。その一文から、仕事で送信したあるメールに、思いを馳せたのであった。
あるメールとは、職場の制服購入を募るメールである。つい先日、職場の制服として、新たにMA-1タイプのブルゾンを作成することになった。現場のスタッフから「既存のウインドブレーカーは生地が薄く、真冬の屋外で作業を行う時には、何枚も重ね着をしなくてはならない」という声が上がったためである。
ブルゾン購入を募るため、さっそくスタッフ宛メールの文章を作成した。普段どおりに、さらさらと文章を書いてみたはいいものの、自分の書いた文章で、はたして相手に意図が伝わるだろうか? 申込期限までに、購入希望枚数がきちんと集まるだろうか?
そんな不安が頭をよぎり、同じ職場の先輩に、文面チェックを依頼した。
そこで返ってきた言葉は、こんな言葉であった。
「『寒さが厳しくなる前にブルゾンを届けたいから』この日を購入申込期限とした、ということを添えたらいいんじゃない?」
その言葉に、はっとした。
単純に、モノの購入を募るだけではない。メールを送信するその先に、思いを届けたい相手がいる。届いたブルゾンを着込むことで、ふるりと身を震わせるような寒い朝でも、普段のパフォーマンスを発揮できる。
少しでも寒い思いをせず、暖かくして仕事ができるように。だから、申込期限を定めて購入を募る。ただ要件を伝えるだけのメールに、相手を思うぬくもりがこもった瞬間だった。
この文章を書いている時点で、申込期限の日はまだ少し先であるものの、購入希望の返信はぞくぞくと集まり始めている。その事実こそ、文章の意図が相手に伝わっている証拠となるのではないだろうか。単純な業務連絡が、思いを込めることで、唯一無二のコミュニケーションのツールとなる。文章が秘めた力を、感じずにはいられなかった。
書くことで、自分と向き合う
「書く」ことで、相手と向き合うだけでなく、自分自身とも向き合っているのではないか。この課題に取り組みながら、否応なく自分自身と向き合っているのだと感じている。
制服購入を募るメールのエピソードをきっかけにして、自分の思いや考えを相手に伝えるには、どのように書けばいいか。キーボードで打ち込み、何度も書いては消して、の繰り返し。そうしていく中で、「言葉」というツールによって、自分の思考がより明確になっていくのがわかる。
著者の言葉を借りるならば、まさにこの言葉がしっくりくる。
「不確かなもの」を、試行錯誤しながら文章へつづることで、確かなものとなっていく。メールのエピソードから、自分が感じたことは何だったんだろう?
文章を書くことで、そして、まとめることで、自分自身の体験を掘り起こし、削り出し、整える。まだまだ荒削りなところはあるかもしれない。それでも、文章として形に残すことで、自分の中で感じたことは、確かなものに変わる。そして、自分が感じた思いを、他者にも伝えることができるようになる。自分自身を振り返ることにおいても、文章を書くことは有用なのである。文章を書くこと。そして、その文章を発信すること。
その過程において、立ち止まり、振り返って考える。立ち止まることで見えてきた思いを、「目の前にいない」相手に対して、届けることができる。
発信することで、思いを届ける
メールをひとつ書くにしても、送信する相手にどのような情報を届けたいのか。相手が知りたいと思う情報を、どれだけ要点を絞って伝えられるか。そして、できることならば、相手を気遣う思いをどれだけ込められるか。
メールよりもっと読む相手が多いであろう、ブログやSNS、メディアに掲載される文章であれば、なおのこと。自分が発信する文章によって、自己と他者それぞれの思いを理解し、お互いがより良く生きるためのヒントとなるならば、これほどの喜びはない。そんなことを思いながら、今後も「書く」ことについて学んでいきたい。
相手に伝えるとは、どのようなことなのか。『暮らしを変える書く力』は、「書く」者にそっと寄り添い、その方法を教えてくれる本である。
この課題を提出してから、そろそろ1ヶ月くらい、課題が返ってきてから2週間くらい経つでしょうか。講師のTAさんから構成は問題ないと評価をいただき、多少自信は持てたのですが……文章をまとめるって、やっぱりなかなか難しい。
自分の実績として足跡を残すために、こちらへ残しておきます。
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