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【SHE課題】書くことは「向き合う」こと【提出課題】

こちらの文章は、SHElikes ライティング入門コースDAY2の課題
好きな本をおすすめしてください」に加筆・修正したものです。
指摘されていた「中見出しをつける」ことと「改行を少なくすること」を
特に意識しています。


言葉は向き合うための道具


言葉は、相手と、そして、自分自身と向き合うための道具であると思う。今回紹介する、一田憲子著『暮らしを変える書く力』を読み、その思いがいっそう強くなった。この本は、長年ライター・編集者として活躍してきた著者が「誰かに伝えるために書く」ことを通して、自分の思いを届けるための書き方についてまとめた本である。

書くことで、相手と向き合う

手帳に書きつづる文章は、自分にしかわからない思いや、ちょっとした暗号のような、私的なものであるだろう。しかし、この本で紹介されているのは、たとえばブログやSNS、メールや手紙。文章の先に相手が存在しているものばかりだ。
振り返って考えてみると、応援している「推し」に対してファンレターを書くこともあれば、仕事で伝達役として、メールを送信することも多い。SHElikesで学ぶ前から、改まった形ではないとしても、普段何気なく文章を書いていたのだと思い知らされる。しかし、自分が伝えたいことを100%伝えられている文章は、どれほどあるだろうか。

言葉とは、見えない思いに「輪郭」をつけて、可視化してくれるもの

一田憲子『暮らしを変える書く力』(p103)

という筆者の言葉に、深くうなずいた。その一文から、仕事で送信したあるメールに、思いを馳せたのであった。

あるメールとは、職場の制服購入を募るメールである。つい先日、職場の制服として、新たにMA-1タイプのブルゾンを作成することになった。現場のスタッフから「既存のウインドブレーカーは生地が薄く、真冬の屋外で作業を行う時には、何枚も重ね着をしなくてはならない」という声が上がったためである。
ブルゾン購入を募るため、さっそくスタッフ宛メールの文章を作成した。普段どおりに、さらさらと文章を書いてみたはいいものの、自分の書いた文章で、はたして相手に意図が伝わるだろうか? 申込期限までに、購入希望枚数がきちんと集まるだろうか?
そんな不安が頭をよぎり、同じ職場の先輩に、文面チェックを依頼した。
そこで返ってきた言葉は、こんな言葉であった。

「『寒さが厳しくなる前にブルゾンを届けたいから』この日を購入申込期限とした、ということを添えたらいいんじゃない?」

その言葉に、はっとした。
単純に、モノの購入を募るだけではない。メールを送信するその先に、思いを届けたい相手がいる。届いたブルゾンを着込むことで、ふるりと身を震わせるような寒い朝でも、普段のパフォーマンスを発揮できる。
少しでも寒い思いをせず、暖かくして仕事ができるように。だから、申込期限を定めて購入を募る。ただ要件を伝えるだけのメールに、相手を思うぬくもりがこもった瞬間だった。
この文章を書いている時点で、申込期限の日はまだ少し先であるものの、購入希望の返信はぞくぞくと集まり始めている。その事実こそ、文章の意図が相手に伝わっている証拠となるのではないだろうか。単純な業務連絡が、思いを込めることで、唯一無二のコミュニケーションのツールとなる。文章が秘めた力を、感じずにはいられなかった。

書くことで、自分と向き合う

「書く」ことで、相手と向き合うだけでなく、自分自身とも向き合っているのではないか。この課題に取り組みながら、否応なく自分自身と向き合っているのだと感じている。
制服購入を募るメールのエピソードをきっかけにして、自分の思いや考えを相手に伝えるには、どのように書けばいいか。キーボードで打ち込み、何度も書いては消して、の繰り返し。そうしていく中で、「言葉」というツールによって、自分の思考がより明確になっていくのがわかる。

著者の言葉を借りるならば、まさにこの言葉がしっくりくる。

ぼんやり考えていること、かなうかかなわないか、わからない夢、こうだったらいいなあという思い……。
言葉は、そんな不確かなものを、きちんと目に見える存在に変える力を持っていることを改めて知りました。

一田憲子『暮らしを変える書く力』(p211)

「不確かなもの」を、試行錯誤しながら文章へつづることで、確かなものとなっていく。メールのエピソードから、自分が感じたことは何だったんだろう?
文章を書くことで、そして、まとめることで、自分自身の体験を掘り起こし、削り出し、整える。まだまだ荒削りなところはあるかもしれない。それでも、文章として形に残すことで、自分の中で感じたことは、確かなものに変わる。そして、自分が感じた思いを、他者にも伝えることができるようになる。自分自身を振り返ることにおいても、文章を書くことは有用なのである。文章を書くこと。そして、その文章を発信すること。
その過程において、立ち止まり、振り返って考える。立ち止まることで見えてきた思いを、「目の前にいない」相手に対して、届けることができる。

抜かりのない美しい文章を書くよりも、その人に一歩歩み寄った文章は心に染みます。

一田憲子『暮らしを変える書く力』(p117)

発信することで、思いを届ける

メールをひとつ書くにしても、送信する相手にどのような情報を届けたいのか。相手が知りたいと思う情報を、どれだけ要点を絞って伝えられるか。そして、できることならば、相手を気遣う思いをどれだけ込められるか。
メールよりもっと読む相手が多いであろう、ブログやSNS、メディアに掲載される文章であれば、なおのこと。自分が発信する文章によって、自己と他者それぞれの思いを理解し、お互いがより良く生きるためのヒントとなるならば、これほどの喜びはない。そんなことを思いながら、今後も「書く」ことについて学んでいきたい。

相手に伝えるとは、どのようなことなのか。『暮らしを変える書く力』は、「書く」者にそっと寄り添い、その方法を教えてくれる本である。


この課題を提出してから、そろそろ1ヶ月くらい、課題が返ってきてから2週間くらい経つでしょうか。講師のTAさんから構成は問題ないと評価をいただき、多少自信は持てたのですが……文章をまとめるって、やっぱりなかなか難しい。
自分の実績として足跡を残すために、こちらへ残しておきます。

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