読書記録です。
肝心な所は忘れてしまいましたが、何かの本を読んでいた中でこの著書について触れていたので気になって読んでみたのがきっかけ。
著書の紹介
タイトル:ビジョナリー・カンパニー② 飛躍の法則
著者:ジェームズ・C・コリンズ(山岡洋一 訳)
出版社:日経BP社(2001年12月21日第一版第一刷)
(今回読んだのは2008年5月23日 第一版第十八刷)
概要
1994年に出版され、経営書としてベストセラーになった『ビジョナリー・カンパニー』(Built to Last)の著者が、6年の歳月をかけて築き上げた本。
(背景には調査チームも多数おり、延べ1万五千時間にも及ぶ調査に渡ったことを言及している。)
タイトル通り飛躍への法則にフォーカスを当てた本で、長きに渡る調査の中で厳選された、偉大な企業へと飛躍を遂げた企業にみられる共通の法則を記載している。
調査対象の十一企業と、比較対象の企業を対比して飛躍と転落のストーリーが語られている。
章ごとに要約がまとまっており、基本的には要約部分の引用と少しの所感といった構成の読書感想になる点ご承知おきください。
第一章は以降の章で詳細に語られる内容の総括的な内容になるので、割愛。
第九章 ビジョナリー・カンパニーへの道についても割愛。
第二章 野心は会社のために
偉大な企業への転換を成し遂げた際のCEOが備え持つ『第五水準のリーダーシップ』をベースに直接対象企業との決定的な違いを交えつつ内容は展開される。
第五水準までの段階として第一~第四の水準は以下のように本書では記載されている。
・第一水準・・・有能な個人
→才能、知識、スキル、勤勉さによって生産的な仕事をする。
・第二水準・・・組織に寄与する個人
→組織目標の達成のために自分の能力を発揮し、組織の中でほかの人たちとうまく協力する
・第三水準・・・有能な管理者
→人と資源を組織化し、決められた目標を効率的に効果的に追及する
・第四水準・・・有能な経営者
→明確で説得力のあるビジョンへの支持と、ビジョンの実現に向けた努力を生み出し、これまでより高い水準の業績を達成するように組織に刺激を与える。
<所感>
真摯に情熱的でいてかつ熱狂的でありまっすぐに強い意志を持った謙虚で誠実な人で……と悪い表現をすればいいとこ取りの人間であるのがまさに第五水準の人間。
理想的ではありつつも、私が師として仰いだ10年上の先輩は間違いなくその素養を持った私利私欲にとらわれず真っすぐな目標に向かって我々を正しく指導してくれる人間だったが、大義名分のもと別の部署へと。。。
次の章で語られるが、適切な人材としてバスに乗せられていったのかどうかは現時点ではわからないが少なくとも私は違和感を感じたままでいる。
第三章 だれをバスに乗せるか
読めば読むほど章題の意味がわかる。私の会社の中で始まっていた悪循環に対する皮肉も鑑みて、特に好きな章だった。
<所感>
多くの企業ではこのバスに乗る人々の選別が不適切な例が多いのではないかと感じた。
思うところが色々とある章だったのでぜひ色々な方に目を通してもらいたい部分であった。
大事なことは要約にキレイにまとめられているのでそちらを読みかえしていただくほうが良い……
第四章 最後にはかならず勝つ
<所感>
大きな困難に直面したとしても、現実を受け止めたうえで、適切な人々との適切な対話を通じて理解を深めるということに重きを置く必要性について考えさせられる章だった。
第二章の鏡の話とも通ずる部分があるが、もっぱら典型的な偉大ではない大きい企業体であればあるほどこの点はまるでダメだと感じさせられる。
赤旗の仕組み・・・ただ目の前に情報があるという状態でそれを見なければ意味は無いので、しっかりと無視できない現実として受け止めるための情報に変化させなければならない。
ストックデールの逆説・・・ベトナム戦争の最盛期、「ハノイ・ヒルトン」と呼ばれた捕虜収容所で、最高位のアメリカ人だったジム・ストックデール将軍に因んだ言葉。困難にぶつかった際、現実を受け止め、そしてあきらめず楽観視せずに立ち向かうことの大切さを語っている。
第五章 単純明快な戦略
針鼠と狐をモチーフに偉大への飛躍を成し遂げた企業とそうでない企業の対比を物語る。
<所感>
本章を通じて必要だと感じた点をさらに短くまとめると大きく以下の2点と感じた。
1.複雑な世界をシンプルにとらえること
2.本質を見抜き、本質以外の点を無視する力に長けていること
私が属している企業グループでも、「世界一」の称号を頂いているものはあるのに、多角的にという建前で攻めようとしていて”狐"だなぁと感じる部分も多々あり……時代に流されやすく典型的な一貫性の無い事業体になっている気がする。
次章でも語られる"規律の文化"のポイントが欠けている所以だと感じる。
第六章 人ではなく、システムを管理する。
規律について語った章。この本の内容としてもかなりの部分は規律の文化をいかに作り上げるかに関するものである。
<所感>
しっかりと、見据えた枠の中に適切におさまり行動すべきことの重要性を説いた章だった。
文中の以下の内容がすべてを表現している。
第七章 新技術にふりまわされない
インターネットバブル期の世界の転換期をもとに偉大な企業の歩んだ道を解析。
<所感>
技術は業績の勢いの源でなく、促進剤。
技術そのものでは、汎用な企業を超優良な企業に飛躍させることはできないし、企業の没落を防ぐこともできない。
という点については特に同感であった。
昨今ではDX,AI活用といったワードでありふれている業界ですが、なんでもかんでもとりあえず流行に乗っておこうという、まさに今日によっての行動という感じが否めない。
第八章 劇的な転換はゆっくり進む
弾み車の比喩を用いて飛躍に向かう動きを捉えた章。
<所感>
偉大への道は、一貫性を持った行動の小さな努力の積み重ねによって開かれていく。
当たり前の様なことでもこれが出来ると出来ないで大きな違いが出るということを改めて示された内容だった。
<本書全体を通しての所感>
第九章 ビジョナリー・カンパニーへの道については今回の読書記録で触れていないが、筆者は前著「ビジョナリー・カンパニー」の前編に今回の著書はあたると記載している。
残念ながら筆者は前著を読んでいないため今回は割愛したが、いつか前著を読んだ際に併せて記述したいと考えている。
付録の調査方式部分もなかなかのボリュームで延べ調査時間の大きさを物語っている。今回の著書の内容に至った経緯が読み解ける資料になっているので、興味がある方はぜひこちらも見ていただきたい。
予想外の調査結果は本当に予想外の部分も多くあった。
筆者も第九章で記述していたが、これら偉大への法則を適用して大がかりな改革をせよと勧めているわけではない点に留意したうえで、ビジネスマンの一参考として頭に入れておけば良いという内容だったと感じる。