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全てが〈まぜまぜ〉になる 『角川武蔵野ミュージアム』

鳥居から角川武蔵野ミュージアムを見上げる。磐座(イワクラ)信仰の構図だ。

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そんなわきゃねえか、、という訳にはいかないのがここの不可思議なところだ。
この近くの郷土資料館に行くと、必ずみかけるのが縄文時代の石棒と盃状穴のある石台。ここは東北に劣らず縄文文化が大きく栄えた土地だ。石神(シャグジ)の伝承も多い。日本の最古層にある岩への信仰、松岡正剛さんや荒俣宏さんは、それらを当然熟知している。でも、ミュージアムをそれに見立てるなんて。


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ここには、新しく建立した神社がある。新しく神社をつくることができるなんて。しかも、由緒ある神社から分霊しており、『武蔵野坐令和神社』の名付け親は、その「令和」という元号を名付けた人と同じだ。ちゃんと神主がいて、お祓いをすることもできる。
一方で、ここはアニメ聖地巡礼の一番地になっていて、隣にはクリマスツリーまであったりする。年末年始は多くの人で賑う空間として設計されている。


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隈研吾設計のミュージアムには、松岡正剛監修の図書館があり、一方で、マンガラノベ図書館がある。荒俣宏監修の博物館には、貴重な資料の隣に、UFOの破片や鬼のガイコツなんかもあるらしい。
他にも、現代美術のギャラリー、アニメミュージアム、民俗学・地域学に因んだギャラリーもある。グランドオープンのメイン展覧会は妖怪展を予定している。


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神社とミュージアムから歩いて1分しないところにある『ところざわサクラタウン』には、カラオケやネットカフェができる。コンビニやアニメホテルまである。その奥には、KADOKAWAの本社と印刷所、倉庫がある。社員食堂もつくられた。


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隣の公園には、武蔵野を象徴する雑木林とハケが残されていて、そこにチームラボの作品があったりする。公園の歩道は神社の参道に見立てて整備されている。


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近くには江戸期から続く新田が、郊外の西松屋が、ハードオフが、ニュータウンがある。

頭がクラクラしてくる。ハイもローも、本物もにせものも、中心も周縁も、全てが〈まぜまぜ〉になる。
いったいここは何なのだろう。
他のどこにもない場所なのはきっと間違いないだろうけれど。

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