『12歳から始める人見知りしない技術』(1) ~人見知りでなやんでいるみんなへ~
書籍『12歳から始める人見知りしない技術』から、5回にわたって紙面の一部を公開いたします。第1回は、「はじめに」から著者・鳥谷朝代さんのメッセージです。
はじめに
人見知りでなやんでいるみんなへ
こんにちは、鳥谷朝代 と申します。
私は、緊張や人見知りでなやんでいる人に向けて、話し方教室の先生をしています。教室では、小学校3年生から80代のお年寄 まで、たくさんの人が学んでいます。
なぜ、私が話し方の先生をしているかというと、私自身がもともと人見知りだったからです。
私の人見知りは、赤ちゃんのころから始まっています。
おじいちゃん・おばあちゃんのおうちに泊まりに連れて行ってもらったときも、こわがって一晩中ずっと泣き止まず、仕方なく両親とともに、夜中にタクシーで帰ったこともあったそうです。
自分の実家にも泊まりに行けなかったなんて、両親には本当に申し訳なかったなぁと思います。
親戚ともまったく口をきかないので、「なつかないからかわいくない」と思われていたそうです。
遊園地や動物園、デパートやおもちゃ売り場に出かけても、母のスカートをギュッとにぎりしめ、ずっと母のうしろにかくれていたような子どもでした。
お正月、お誕生日会、クリスマス会、旅行やお祭りなど、親戚やお友だちが集まる楽しいイベントでも、笑顔の写真がまったくなくて、いつも何かにおびえている表情をしていました。
中学、高校時代も同じで、休み時間にはひとりで本を読んだり、絵を描 いたりしているような学生でした。
社会人になっても、会社の人とのランチや飲み会が苦手で、できるだけそういうお誘をことわり、にげていました。
その私が、です。
今では、多いときで1日100人以上の初対面の人と会っています。
そして、この話し方講師というお仕事が、心から好きです。
いったい、なぜでしょうか。
それは、人見知りを克服したら、見える景色ががらりと変わったからです。
人見知りの克服って、自転車に乗れるようになることと似ていると思います。
はじめはめちゃくちゃこわい。
誰だって転びたくないし、痛い思い、おそろしい思いはしたくないし。
でも、誰かに支えてもらいながら、少しずつ乗れるようになると、行動範囲が広がるし、ひとりで行ける場所が増えると、毎日が楽しくなります。
はじめはあんなにこわかったのに、すいすいペダルをこげるようになると、とても気持ちがいいですよね。
この本を読んでくれているみんなは、人に対して、こわいイメージがあるかもしれません。
心臓がドキドキしたり、うまく話せなかったり、ヘンな汗が出てきたり、顔が真っ赤になったり……。
そんなふうになると、自分だけおかしいのかなって思っちゃうよね。
でも、大丈夫 。
大事な場面であればあるほど、相手のことを大切に思えば思うほど、うまくいかなかったり、思うように身体が動かなくなるのは、とても自然なこと。
まずはそのことを知りましょう。
そのうえで、人見知りである、ありのままの自分を受け入れながらも、言いたいことを伝えられるようにトレーニングしましょう。
最初は完璧にできなくても、大丈夫。
人と比べなくてもOK!
「昨日より一歩進んだ自分」と出会うため、できることから少しずつやってみましょう。
「どんな場面でも、自分の伝えたいことを自由に話すことができる」
このことは、これからの人生でとても大切になってきます。
私と一緒に、自由に生きるためのレッスンを始めましょう!
保護者の皆様へ
本書をお手に取っていただき、ありがとうございます。
本書は、小学生のお子さんでも読める、人見知り克服のための本です。
『12歳から始める~』としているのは、私自身が自身の人見知りやあがり症を自覚したのが、中学1年生、まさに12歳だからです。
中学・高校と授業に出られず、親にも先生にも、だれにも打ち明けられず、大学進学もあきらめ、つらく苦しい思春期を送りました。
若いうちに、この人見知りを克服していれば、もっと自由に生きられたのに……。
そう思うこともありましたが、今は毎日多くのお子さん、学生さんを指導させていただくことで、人生をやりなおしている思いです。
人見知りを強く意識するのは、おおむね中学~高校生です。
思春期であり、自我が芽生える時期と一致します。
授業でまったく挙手できない、発言できない、高校受験の面接が心配で仕方ない……
そんな思いで、お子さんを連れて来校される保護者様も少なくありません。
お気持ち、とてもよくわかります。
なぜなら、私自身も、執筆時、13歳の子どもの母親だからです。
お子さん、保護者様と同じ目線で、毎日の生活で無理なくできる方法を、できる限りご紹介しております。
少しずつでも、お子さんと実践していただければ幸いです。
一般社団法人あがり症克服協会 理事長 鳥谷朝代
目次
第1章 どうして人見知りしちゃうの?
なんと7割! 日本人は人見知りが多い!
どうして日本人は「人見知りがあたり前」なの?
人見知りしちゃう原因(1) 警戒心が強い
人見知りしちゃう原因(2) 何を話せばいいかわからない
人見知りしちゃう要因(3) 相手からの評価を気にしすぎる
人見知りしちゃう原因(4) 声が小さい、スムーズにしゃべれない
人見知りしちゃう原因(5) ひとりの時間、家にいる時間が長い
そもそも内向的だったか、自信を失ったからか
「せまい生活」でマスク生活に慣れすぎちゃった?
マスクを取って話したら……まったくの別人!
「スクールカースト」が人見知りをエスカレートさせる
第2章 おどろくほど簡単に人見知りがなくなる
授業だけがすべてじゃない。部活動をやってみない?
「学校の外」に人生を変える経験が待っている
マスク生活で「表情筋」がおとろえていませんか?
鏡の前で笑顔、そしてイメージトレーニング
雑談にルールはない。まずは3分、楽しめればOK
雑談中に「シーン」となっても問題ないよ
話せない? だったら聞き役でいこう!
「おもしろいこと」なんて言えなくていい
自信を持てる「何か」を見つけよう
みんな「人見知り」の仲間、ということを忘れない
「私、人見知りなんで」と言うのもアリだけど……
第3章 すぐにだれともでも打ちとける方法がある!
初対面では、とくに人見知り発動
ルックアップ、視線を上げよう
でも、相手の目を見なくても大丈夫
猫背は人見知りにつながる。背中をのばそう
胸を張るってどのくらい?
発声も大事。あいさつは大きな声を張ろう
スマホを使ってハキハキ話す訓練
声を大きくする方法を教えます
口元が気になる? 今のうちになおそう
身体から緊張状態をなくそう
人見知りに効果のあるストレッチがある
第4章 人見知りをなおした人が意識していること
まずは相手に興味を持とう!
相手をこわがらないで。みんな仲良くしたい
質問上手になろう!
自分のことばかり話すから人見知りになる?
自己紹介は短くして、印象深いワンフレーズを加える
電話が苦手……どうすればいいの?
しゃべりの上手な人のまねをしてみよう
過去の失敗は忘れよう。大事なのは今
どうすれば相手の評価が「気にならなくなる」か?
服装や髪形を少し変えてみるのもアリ
そもそも「人見知り」は悪いことじゃない
第5章 さよなら人見知り! 今すぐはじめてほしい習慣
相手から「見返り」がなくても気にしないでいい
どんなものにも興味を持って学んでいこう
年に何回か複数人の集まりに行く
ドキドキ・オドオドしたら呼吸でなおそう
定期的な運動が心身を整える→自信にもつながる
「本当の自分の声」を知ってあげよう
ミスしても落ち込まない。むしろすぐに忘れて
あまり自分を「完璧」に見せない
自己評価は大きすぎず、小さすぎず
お父さんとお母さんから離れて、少しおとなになろう