ナビレラ 感想
2024.6.2 マチネ @シアタークリエ
三浦宏規くんの舞台の中で、過去一心掴まれた。
大粒の涙がずっと溢れて止まらなくて、
嗚咽がもれそうになるので、歯を食いしばり…
観劇でこんなに泣いたの初めて。
どうしてこんなに涙が止まらないのか、
たぶん、いろんなことが合わさってそうなった感じがする。
宏規くんのこと。
自分の人生のこと。
家族のこと。
老いること。
生きること。
夢のこと。
そこに流れるそれぞれの愛。
わたしはわたしの人生を愛してあげたい。
わたしは、わたしのやりたいことに素直でありたい。
時には、うまくいかなくて辛いかもしれないけど。
それは、もっと高く跳ぶためのプリエなんだね。
川平さんのシムさんが、素晴らしかった。
申し訳ないことに、
行きつけのドラックストアの店内放送のヘパリーゼと
楽天カードマンのイメージが強くて…
こんなに素晴らしい俳優さんだとは存じ上げず。
一曲目から感動して、涙が出た。
「体壊すかもしれない」
「夢を壊すよりいい」
とかさ、
「君はバレエが好きだ」と歌うシーン。
三浦宏規の「人生」を感じてしまって、
もうなんか、胸が苦しくなったよ。
⚠️以下、自分の話しが多めの散らかった感想です。笑⚠️
⚠️何年か経った時に読み返したら恥ずかしくなる気がするけれど、
今の私の感じたこととを、等身大の言葉で残しておきたいので書きます⚠️
◎ナビレラから見えた自分の仕事のこと
わたしは、子どもに関わる仕事をしています。
ナビレラを観劇しながら、今まで共に過ごした何人もの子どもたちが
脳裏に浮かんだ。かわいいかわいいあの子たち。
一緒にいると、心に灯が宿る。
何度、胸が熱くなり、その健気さや愛おしさに涙を流したかわからない。
あの子達が自分らしく生きれる未来は、わたしにとって夢なんだよな。
世界は今、「子ども」を「幼くて未熟なもの」として見ていない。
(調べると、海外の優れた実践などがたくさん出てくるのだが、
「子どもの権利」というものがとても重要視されているのだ。)
彼ら(シムさんたち)も、子どもと同じで、
年など関係なく、やりたいことに向かう権利があるはずだ。
少子化というのは、言葉を変えれば、大人の多大化、と言えるだろう。
小さき人たちの権利を守りながら、老いてゆく人々も
希望を持てる日々を過ごしていける社会を実現したいなぁ、とも思った。
きれいごとと捉えられるかもしれないけど、
でも、やっぱり、眩い理想って抱き続ける人でありたいね。
いつの時代、どの人にも、世代を超えた関わりはある。
わたしと子どもたち、チュロクとシムさん…
家族ではない。一生、ずっと一緒にいるわけではない。
一度しかない長い人生の中で、たまたま交わる時間があった。
保育・教育の現場において、
子どもと大人の間で、確かに、「呼応」する関係が築かれる。
形は違えど、チュロクとシムさんの時間を見ていると、重なることが多かったなぁ。
最近、自分の仕事について悩むことも多かったが、
自分のできること、心を込めてやっていきたいと思った。
◎ナビレラを通して見えた家族のこと
「まだ、ゴールは決めなくていいよ」と優しく歌う。
狩野英孝さんにこんなに泣かされる日が来るとは…。
今の仕事をするまでにあった
自分の母親との言葉と重なって、泣けた。
わたしも、夢を追いかけて、今の仕事をやっているのかも、となった。
何かを選択する時、やはり勇気と勢いは必要で。
それを近くで「見守ってるよ」「知ってるよ」と居てくれる人がいるのは心強い。
離れていても、心を寄せてくれる、祈ってくれるひとがいる。
わたしにも、
「ただ、元気だったらそれでいいよ」と、言ってくれる母がいる。
長男が「僕が必ず面倒を見ます」と言って去っていくのも、とても泣けた。
家族は大切で、唯一で、守り守られる存在。
自分の家族観みたいなものも、再確認できて、良かったな。
ちゃらんぽらんな娘でごめん…となりました。
しっかり親孝行したい。
ナビレラの世界に出てくる、夜明けのチュロク。暮れていくシムさん。
生きてきた社会にズレがある二人は、出会うことで変化していく。
シムさんは、所謂「老人」である。
失礼を承知で申し上げるが、「老人」と言われると、
「できないことが増えていく」という印象があるだろう。
世の中には「老害」という言葉が蔓延るくらいだ。
でも、少なくとも、わたしにとって、老いていく自分の家族は「害」ではない。
70歳になっても、何歳になっても、「やりたい」を叶えるために動くことができる社会、環境を構成できるように、
せめて、見守り、支えるわたしの心持ちや備えは充分で居たいものです。
◎チュロクとシムさんの間に流れる「愛」と呼べるもの
今作の何がいいって、もう「愛、愛、愛」なところです。
シムさんの認知症の発作が起きて、「俺を見て」と、雨の中で踊るシーン。
心は溶けていく。
時間をかけて、お互いを受け止めあって、溶けていく。
溶ければ溶けるほど、愛おしくなる。
大切になる。重たくなる。
シムさんにとって、チュロクがそうなように。
チュロクにとっても、シムさんがそうなる。
彼らを見ていると、恋人や夫婦とは違う愛を感じる。
友愛なのかわからないけど、形が多様な、でもたしかに愛。
雨の中で踊るシーン。
お揃いの衣装で踊るシーン。
ラストシーン。
もう、涙なしでは見れない。
宏規くん、歌はもちろんなんだけど、もともとバレエのプロを目指していただけあって、バレエで心を伝えるのがうますぎる。
随分前に伊礼さんの配信で樹里咲穂さんと話していた「バレエを見て泣く」って話で盛り上がっていたけど…
なんだか頷けちゃったよ。
その感覚を味わうことができた。
そして、それが舞台の上に立つ大好きな宏規くんであったことが、わたしの幸せです。
私はあなたに出会えて良かった。
強く思ったよ。
ありがとう。
こんな気持ちになれた。
わたしの人生の一部としての宏規くんがまた増えました。
【以下、忘れたくない記憶の箇条書き】
・序盤からクライマックスすぎた。今回の席が2列目のドセンだったこともあり、臨場感が凄まじかった。宏規くん、客席に飛んでくるんじゃないの!?という近さ。こんな近いところでバレエを見れた幸せを噛み締め、同時にシムさんの歌に泣かされ…。「え?まだ一曲目だよね?」となった。開演前にパンフを読んでいたこともあり、人生の夕暮れにいるシムさん、夜明けにいるチュロクの対比が見事だった。
・遅れてやってきて、思うようにバレエを踊れないチュロク。自分の人生の先が見えず、心から頼れる人もおらず。孤独で、窮屈な生き方をしているのが滲んでいたなぁ。
・シムさんが歩くたびに、お話しされるたびに、胸がきゅっとした。どんなことを言われても、受け止めてくれて、凪いだ心で居るその様が涙を誘う。家族の前でレオタードになって非難されるシーンとか、なにも怒らずに、ただ、そこに居るのが、もう…(泣)このシーンでプレゼントされた登山用の黄色のジャケット、のちのロッカールームのところで出てきて、家族のプレゼントを大事にするシムさんに愛を感じる。
・団長!団長!!めちゃくちゃいい。衣装天才すぎない?タートルネックの袖なしすごく似合っていたし、ヒール高めなの好きだった。あそび心のあるお芝居で、いろんな人との掛け合いがお上手でとても良かった。
・初めてのバーレッスン。シムさんとチュロクの掛け合いの歌、素敵だったぁ。夢見るシムさん。面倒だけど、しっかり教えるチュロク。パンフに書いてあったけど、韓国では、自分よりも年上の人のことを、敬うことが文化として叩き込まれているとあって、それがよく表現されていたなぁと思う。真面目に地道に〜♪ストレッチしている時のチュロクのにっこり顔、笑っちゃった。
・マネージャーになり、チュロクの一挙一動をメモするシムさん。あの、首からメモを下げているおじいちゃん感、それもなんだか泣ける。バイトのことなどを知り、徐々にチュロクの日常を目の当たりにする。
・ソンチョルに呼び出されて、いじめられるシーン、そして、身を挺して守りにくる。泣けた…(語彙力が無さすぎる)「チュロクは飛ぶんだ。すごいんだ。」と全肯定してくれる。憧憬の眼差しが、真っ直ぐすぎて、眩しい。恥ずかしいような形容し難いチュロクの気持ちもわかる。
・ぐちゃぐちゃにされたデリバリーのご飯。シムさんが「まったく」と言いながら、丁寧にひろってくれるのも泣ける。オカモチにしまう時のチュロクの所作がラップを伸ばして蓋をするなど、とっても細かくて、こういうところまでしっかり考えて居るんだろうあ、と思った。
・「君はバレエが好きだ」という、歌。タクシーを探しに行く前に二人で歌う歌。もう、三浦くんの人生と重なりすぎて嗚咽号泣…。シムさんの眼差しが優しすぎて、チュロクの心が解けて行くのを感じたよ。
・認知症のことを知って戸惑うチュロク。ロッカールームでシムさんに当たってしまう姿。相手を思うがゆえ?自分には大きすぎる責任?あの時の悲しそうなシムさんの顔や背中がまた胸を締め付ける…泣ける…
・シムさんの家での団欒。むず痒い。でも、温かい。パジャマ可愛かった。
・雨の中、認知症の症状が悪化して、よく分からなくなってしまうシムさん。そんなシムさんを見つけるのがソンチョルなの、ほんと脚本がうますぎて唸る。「俺を見て」といってバレエを踊るチュロク。頭で忘れても、体が覚えている。もう、雨の中のあのシーンは嗚咽を噛み殺してみたよ…
・チュロクとソンチョルの歌、明るく前を向く歌なのに、めちゃくちゃめちゃくちゃ泣けるのはどうして…?!あまりにも眩しい。
・「今夜は雪だ」「かけるか」のくだり。二人の間に流れる空気がとてもよかった。銭湯行って、ほかほかなふたり。タオルでふざけたのにチュロク、上手く取れなくてかわいかったな。穏やかなシーンだったからこそ、その直後の絶望感がすごかった。
・シム夫婦のシーンもびっくりするくらい泣けた。もう、愛、愛、愛だった。シムさんが病気のことを伝えようとするんだけど、「あなたが私を愛してるってこと?」と返す。分かっているよ、と言いながら寄り添ってくれる。優しい。あたたかい。泣ける。
・認知症の症状が強く現れるシムさん。小さい子どものようになっているいシムさん。(本当に、川平さんの演技、圧巻)団長が二人の演目を辞めようと言っているのに対して、チュロクが必死に止める。その時の掠れた声の「まって」が切なすぎて、いまだに耳の奥に残っている。
・ダンスシーン、もう一度見たい。あまりにも美しかった。最後、チュロクが舞って、まさにナビレラ。照明の残像が脳裏に残っている。素晴らしかった。
・ラストシーンの数年後の再会。人が老いていくこと。でも、忘れないこともある。包まれる柔らかい愛。上手く言葉にできないけど、本当に泣けた。