見出し画像

銀杏BOYZ ねえみんな大好きだよディスクレビュー②


前回の①ではアーメン・ザーメン・メリーチェインまでをレビューしました。自分のルーツとこれまでの歩み。消えない悲しみを包み込むアーメン・ザーメン・メリーチェインで1部が終わった。
個人的には2部は骨からいちごの唄までのシングルカットされたパワーチューンがとめどなく続き、胸を打つ”ラブソング地獄”となっている。
楽曲提供や様々なアーティストとのコラボやfeat.を経てPOPセンスにさらに磨きをかけてきた6年間の集大成を感じる流れとなっている。


T5.骨

この曲は2016年に安藤裕子に楽曲提供した曲をバンドアレンジでセルフカバーした”恋とロックの三部作”の2作目にあたる作品となっている。

歌詞は子供を想う親の気持ちのような世界観になっている。”抱きしめてあむあむしたい” ”夢が叶うなら 命も惜しくないわ”と目に入れても痛くないような子煩悩な歌詞がそれまでの峯田にはなかった新しい女性的視点のラブソングとなっていて、恋愛のその先の愛のカタチを表現していると感じる。

今回のアレンジではイントロが少し新訳銀河鉄道の夜を思い起こさせる弾き語りで、最大の特徴としてはウィンドチャイムを効果的に鳴らしている点だと感じる。ウィンドチャイムがより”YOU&ME、BABY”にさらに多幸感をプラスしている。君と僕ではなく、”君と僕とBABY”守るべき暖かい自分の居場所をただ思う気持ちが溢れていると感じる。
峯田の新しい表現のカタチ・世界観が反映されている楽曲。

峯田は楽曲は子供で”この子にはどんな服(アレンジ)が似合うだろうと考えながらアレンジをしていると話しているが、骨は今回の洋服が一番似合っていると思う。ウィンドチャイムがぴったりすぎる一曲である。

T6.エンジェルベイビー


個人的にこの曲はかなり思入れが強い。カラオケでも絶対歌ってしまうナンバー。音楽を聴いていると胸が高まりすぎて走り出したくなる瞬間が誰にもあると思う。そして自分にとってそんな走り出したくなる大切な一曲がこの曲なのである。

ノイズからまるでラジオのチューニングがぴったりハマったかと思ったらギターが耳を埋め尽くし、ドラムのビートと心臓の鼓動のBPMが重なっていき血が沸騰するかのような高揚感。多分これがロックの初期衝動であり、20年以上のキャリアを持つアーティストがこの初期衝動を生み出せる奇跡。

BPMが以前よりも速くなることでライブ音源のような雰囲気を纏った形になっている。シューゲイザーのようなギターも効果的に使われている。
ボーカルも少年味を帯びたような歌い方で詞がよりストレートに心に突き刺さってくる。

サポートメンバーとライブで鳴らしてきたからこそ出せるベストなアレンジとなっている。
やっぱりこの曲は何歳になっても聴きつづけるだろうと強く思った。

T7.恋は永遠 feat.YUKI

この曲は銀杏BOYZの中でもJPOPよりというか歌謡曲のようなテイストを持つ曲である。
峯田が2017年、2020年に出演したNHK BSプレミアムで放送されているThe Coversでは美空ひばりの愛燦燦、広末涼子のMajiでKoiする5秒前、RCサクセションのスローバラードをカバーしている。
特に恋は永遠はMajiでKoiする5秒前のような直球のPOPを感じる。
MajiでKoiする5秒前は竹内まりやが作詞作曲で、マージービートとJPOPが交差するようなメロディが魅力である。

峯田の持つロック以外の軸であるポップセンスが溢れた新しい銀杏BOYZの代表曲であり、この曲から銀杏BOYZを知り、ファンになった人もこの数年では増えているのではないかと思う。

冒頭の”Thrash Till I Die”がこれから始まる最高な瞬間を祝っているようにも聴こえる。峯田和伸にとっての”ミューズ”との15年ぶりの共演。ファンの間でも大きな話題になったし、このコラボを目当てで音源を購入したりDLした方も多いと思う。
正直に言うと、アルバムの雰囲気を壊さないかと聴く前までなんとなく不安ではあったがそんな不安は全く持って不要だった。

大きなアレンジの変更などはなく、YUKIがCパートから入ってくる。
構成は駆け抜けて性春に近く、ファンにはたまらないと思う。

15年経ってもお互いがシーンの最前線に立ち、名曲を生み続けている。
そんな奇跡を噛みしめながらPOPに胸が打たれる。
”恋は永遠 愛はひとつ”

T8.いちごの唄 long long cake mix

この曲は映画「いちごの唄」の為に書き下ろされた楽曲でこのアルバムのリード曲である。

インタビューでゴイステの童貞ソー・ヤングと同じコード進行で新しい曲を作ろうと思ったと楽曲作成の背景を語っている。

このインタビューを読んだ時、間違いなくゴイステ曲のライブでの演奏が峯田の中で新しい気持ちを生んだんだと思った。
だからこの曲はオリジナルメンバーだったら生まれていない曲だなと思った。(おそらくオリジナルメンバーでゴイステ曲はやる必要がないため)
”だいじょばないけどだいじょーぶだよ” "恋に堕ちてメタモルフォーゼ”
歌詞も明るくPOPさがアルバムの中でもトップクラスであり、サウンドもストレートなロックンロール。
スッキリで朝、この歌を演奏されているのを見て、今の日本に必要なのはこんなストレートないちごのような甘酸っぱい思いをストレートなロックンロールで歌っているこの曲なのかなと思った。

高校生がいつかこの曲に出会い、恋の相手を想いながら聴くのだろうか。
だいじょばないけどだいじょーぶだよ。

ここまで見ていただきましてありがとうございました。③に続きます。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?