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人間と結婚する人がいる一方で、熱烈に愛してしまった「こと」と結婚してる人もいる。


高校の同級生に誘われて、地元のナチュラルワインの閉店パーテイーへ。

二店舗を経営していた「つとやん」がもう一店だけにする、と駅前の人気店を閉店する決断をされたそうで。

私は一年前につとやんとは出会っていて、奇しくも、同い年。

ワインのことを話すその目が
あまりに無邪気にきらっらきらしていて
超絶に嬉しそうで

いくらでも出てくるその知識は
まるで乾くことを知らない
無限の泉のようで

兎にも角にも
ワインを語る彼の口調は

軽快でさっぱりしているのに
麗しくてみずみずしく
内側の豊かな饒舌さが喜びの音になって
軽やかに踊ってる、みたいで

ナチュールワイン、という世界を知らなかったとしても

飲んでみたい

味わってみたい

なんなら葡萄畑に行ってみたい、と

思わせてしまう。



ボトルを開ける手つき

振る舞い

ワインをグラスに注ぐ

その仕草の

さらりと丁寧な美しさや

眼差しからも


あ、この人はきっと・・・



ワインと結婚してしまった人だ



と、思ってしまった。

(ちなみに、独身。)


お店のセラーは
もちろんワインでぎーーっしり

今日はみんなに
世界のナチュールワイン50g売りをして

いろんなワインを
たくさん飲めるようなパーティーにしてくれて。

ワインの、量り売り。




ワイングラスに名前書いて持って、
飲みたい人は、
つとやんのところに行って、
50gずつ測って注いでもらって
その都度お支払い。

たくさん飲みたい人は倍量で。


後から後から
いろんなお客さんが
続々
続々やってきて

小さなお店は、
何十人もの人でぎゅーぎゅー。


お店のあちこちでお客さん同士が

おー!久しぶりー!
元気ー?
どもどもー!って

ハイタッチしたり

ハグしたり

グラスを傾けて乾杯してたり。


とにかく、にぎやかであったかく。


そしてみんなが
つとやんにワインを選んでもらって
美味しそうに飲んでる

木更津に、こんな風に人が集うなんて。

こんなにも

あたたかく楽しげな場所があるなんて。


「みんな、つとやんが好きでくるんだろうねー。」

と、友。

「だって、つとやんからワイン飲みたいもん。」


うん、なんか、わかる。


彼がとっても、ナチュールワインを愛しているのがわかるし

だからこそ

「つとやんが選んでくれたなら間違いなく美味しい」って思うし


銘柄によって
こんなにも味に違いがあることも

大人の饒舌な嗜みの余韻となって
楽しげに広がる


つとやんが
とても楽しそうで嬉しそうだから

やっぱり、つとやんに
「次、どれがいいかな?」って
聞きたくなるし、選んでもらいたい。


彼が愛してやまないだろう
その世界に、触れたくなる


私みたいなすごく久々の人にも
とっても気さくに声をかけては
微笑みかけ、

なんなら、ひょいと目が合うと
ウィンクとかしてくれる。笑


今日のおつまみは四種だったけど
どれも最高に美味しくって。

絶対、ものすごく手間暇かけてる。
超絶に美味しくて
ワインとめっちゃ合う。


美味しすぎておかわりしたフライドポテト


どうやって作ってるの?って聞いたら
「きぎょー秘密です!」って言いながらも
教えてくれたその手間は

フライドポテトに
まさかの
4時間かけるという
想像以上の手間がけ。

他のお店でいただいて
あまりに美味しくって
シェフに懇願して教えてもらったレシピだそうで

ジャガイモの品種も
ただ、この品種、じゃなくて

「水分量が多いタイミングがあってそれを使う」 

という、超絶なるこだわり。

あー、
やっぱりワインと結婚してて
ワインのために生きてる人やな


好きこそ、最強。

好きこそ、無敵。


大好きがある人は
人を魅了して、
伝染させてしまうね。



初めましてがほとんどの
ぎゅーぎゅーのその場所で
初めてお話しした方が


20代はアメリカで音楽して

(なんかとっても有名な人たちと音楽してたっぽい!)

帰ってきたら
大好きなジュエリーで
完全口コミのみで
クロムハーツのようなものたちを
オーダーメイドするお店を
お忍び経営して

今はもう、

「お店は人に任せてるから
 私は好きな書道で
 レストランのお品書き書いてるの。」

という人で!

お店の経営は、独自路線。

経営も学ばず、
感じたようにやってきたら、こうなってるわ、と。

すごい経歴。


どうしてそんな素敵な生き方ができるの?と聞いたら

「ただ、好きなことしかできなかったのよ。」って。


いろいろ、手当たり次第やってみたけど
できないもの続かないものいっぱいあって

でも、

この三つと、経営は
好きだし楽しかったのよね、
この三つが、残ったの、続いたの、って。

最高か。


私は、そんな彼女が
とても素敵でかっこよくて
すごいなー
クールだなーって思う一方で

彼女は

あなたみたいな
ごく普通の幸せを
自分の・・・
のーんびりしたペースで
大切に味わえる人が
いいなぁって思うのよねって


ないものねだり、してしまうわね、って
くすくす笑って。


ここまで書いたこの話に落とし所はないんだけど ←


好きなことしか
して来れなかった人たちの集まりは

とっても、楽しい場所、でした。


私は4時間かけて
50gのワインを、ゆっくり、3杯。

酔っ払って寝ちゃった。笑



「寒くなったら南半球に行って
 飽きたら戻ってきて
 フランスに葡萄作りにもいきたいんだよな」


そんな風に話してくれた
つとやんのメインのお店は
来月、再開店。


うちから、
ちょっと遠目の
お散歩感覚で行ける場所。

私もまたふらりと、
行ってしまいそうな気がする。
つとやんに美味しいワインを選んで欲しくって。

フライドポテト、食べたい、って
作ってもらいたいな。

何かを愛した分だけ愛される
そーゆーことかも、しれない。

人間と結婚するのもいい
魅了されてしまった「何か」と
結婚してしまうのも、きっといい。


たまらなく好き、がある人って
たまらなく、素敵。


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