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私基準で、ストーリーとともに、生きてゆく。〜コミュニケーション戦略アドバイザー 山本乃梨子さん〜

私が感じたあなたを切り取り綴るshutter。ご依頼者様と対談して感じたこと、その魅力やストーリーをご紹介する企画です。


私たちの日々の暮らしには、それはそれはたくさんの「ものたち」が溢れています。

毎日着る服、毎日使う財布や手帳、筆記具たち。毎日履く靴。毎日荷物を入れるバッグ。ありとあらゆるものたち。一体幾つのものを、私たちは手にして、使っているでしょうか。

そして、あなたが今使っている多くのものたち。あなたは、どんな愛着を持ってそれらを手にして、使っているでしょうか。

一つ一つのものたちについて、あなたは、あなたの言葉で、どんなストーリーを語ることができますか?


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今回ご紹介する山本乃梨子さんは、彼女だけの選択基準を持って、日々使うものたちをとても大切に愛しまれている方。

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大阪で対談して感激した、乃梨子さんのストーリーと、ものとの付き合い方を、今日はご紹介させていただきます。


Facebookを介して知り合った乃梨子さんに私が感激したのは、あるnoteの記事。

万年筆を「快楽の筆記具」と表現され、ご自身が愛用しているウォーターマン「カレン」のストーリーを綴られていた乃梨子さん。

格式あるウォーターマンのブランドに劣ることない、ブランドを讃える品格ある言葉遣い。綴られたウォーターマンのブランドストーリーは、読みやすく端的で、この万年筆を使うことが、心をどんな風に豊かにしてくれるか、想像を掻き立てられてしまう。

私も、ずっと使っている万年筆がありますが、「私がこの万年筆とともに重ねた歴史と思い」はあれども、万年筆を創っているメーカーのストーリーにまで、思いを馳せて手にしたことはなかったからこそ、乃梨子さんのこの文章に私は痛く感激して、「こんな風に、自分が手にするもの、使うもののストーリーを一つ一つ知って、選んで使うことができたなら、どんなに豊かな日常になるのだろう」そう胸が思わず高鳴ったことをはっきりと覚えています。


だからこそ、乃梨子さんと言う方は、きっと、ご自身が選ぶものの基準が確かで、きっと、大切にされているのだろうなと、そんなことを期待しながら対談の日を迎えたのでした。

奇しくも、同じ撮影会に参加してからの対談。いつもよりちょっと素敵な姿で、お話をさせていただけたことも、嬉しい思い出です。

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大阪の百貨店のおもちゃ売り場のアルバイトから始まって、社員として入社した乃梨子さん。

紳士服売り場からシステム担当、時代の切り替わりとともに、ネット時代に対応するためのWEB担当の先駆け部署、営業企画部まで、一つの会社でお勤めされ、その間には、休職されることもあったようですが、その年月は実に30年近く。

続けてこられた理由を尋ねると、人間関係がとてもよかったことと、いろんな部署で様々なことを体験することができたからだと、おっしゃいました。

プライベートでも、あらゆるご経験をされていて。幼少期のピアノに始まり、雅楽、ヴァイオリンを習ったり、ご友人とカルテットを組んで演奏を楽しんでらしたり。インターネットにハマった時代、そして旅行。海外旅行のご経験の多さは、日本を出たことがない私からすると圧倒的。ヨーロッパ各国(ベルギー、フランス、イギリス、オーストリア、オランダを複数回渡航。) そしてアメリカ、シドニー、ハワイへの一人旅も!

いろんなところへ行って、いろんな経験をして、たくさんのことを感受されてきただろう乃梨子さん。

私が感激したあのnoteの文章、その感性の素晴らしさは、こうしたたくさんのご経験から生まれたのだろうと後々プロフィールをいただいて深く納得。


楽しみながらこれまでの時間を歩まれてきたとおっしゃる乃梨子さんですが、職場では鬱病から休職されたことがあり、その時に出会ったのが、現在、百貨店でのお勤めと並行して、もう一つの乃梨子さんのお仕事としてされている溝口式分析学。

私たちは人生で様々なことを望み、それを叶えたいと生きてゆくけれど、いつでもそれがすぐに叶うわけではなくて。人それぞれに生きていく上でのリズムがあり、そのリズムに則って生きることで、生きやすくなる。

溝口式分析学は、人のバイオリズムを、1日24時間・12日間・12ヶ月・12年の周期で人生のリズムを個性に合わせて分析するほか、性格や性質分析、適職分析など、その分析は3兆9億通りになると言われるほどに細かく個々人を分析することで、自分を知り、人生の波を乗りこなすためのツール。

乃梨子さんも、この溝口式バイオリズムを知ったことが、鬱病を克服する一つのきっかけにもなり、治療も一旦終了。現在では、バイオリズムの状態が良い午前中に集中力のいる仕事を終わらせようとか、今は「空亡」で低迷しやすく、何かと無気力になりやすい時だから、気をつけようとか、今ご自身がどんな状態にいるのかを知り、揺れ動くバイオリズムを味方につけて、人生の時間の使い方を活かすことで、以前よりも生きやすくなったそう。

バイオリズムを知って使いこなすことは、人生の羅針盤を得ること。自分のバイオリズムを、もっと多くの人が知ることができたらと、昨年よりバイオリズム分析を行っています。


そんな乃梨子さんですが、今回の対談を通して、私が最も感激した魅力は、物の選び方と付き合い方。

お会いする前に見たあの万年筆の記事を見たこともあって、当日はぜひ乃梨子さんのものへの思い、愛用されている万年筆も見せて欲しいと、お願いして迎えた対談でした。

お話ししていくほどに、乃梨子さんは、ご自分の基準を、どこまでもしっかりお持ちなのだということに、私は気付かされて。


例えば、アクセサリー。

私は、今でこそ、オーダーメイドで作ってもらった二つのネックレスを心から気に入って毎日のようにつけていますが、若い頃は値段やパッと見た衝動で買っていたことがほとんど。

根拠はと聞かれたら「なんとなく。ピンときて。」そんな感じ。

でも、乃梨子さんは違う。

一つ一つに、思い入れがあって、それを全て語ってくださる。

お母様から受け継いだリングの、時を経て愛されるブランドの価値、つけることで味わえる豊かな気持ち。

お母様から学んだ「良いものを長きにわたって慈しんで使うこと」愛着を増して関わっていくことの愛しさ。そしてそれが、時代を超えて受け継がれてゆくほどに確かな品質である価値。

海外旅行に行ったときに、これなら長く使えると、意を決して自分への大切な贈り物として買ったもの。

どうして、これを今持っているのか、なぜ、これを選んだのか。どこに、この良さがあるのか。

そう言ったことを、一つ一つのものたちに対して持っていて、聞いている私がどんどん引き込まれていくほどのストーリーで伝えてくれるのです。

現在、バイオリズムを見ながら暮らす乃梨子さんの手帳カバーは、ルイ・ヴィトンのアジェンダ。


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裏表紙にはイニシャル。

ヴィトンの手帳カバーは、一見とても高いかもしれない。でも、ほつれたら修理してもらいながら、何年でも使うことができる。

そこそこの値段のものを、くたびれてほつれたら捨ててしまうのではなく、たとえ手にするときは高くとも、長く、その時間の経過を一緒に歩めるお気に入りを手にすれば、使う時間全てが愛おしい。手にするたびに感じる愛しさは、手帳を書く時間をどれほど豊かにしてくれるのか。乃梨子さんにとっては、何度も買い換えるよりうんと「コストパフォーマンスが良い、価値ある買い物」

だから、私は、これを使う。

それを堂々と語れる人、なのです。

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こちらは、私が見せて欲しいとお願いした、筆記具たち。一本一本をこうしてしまって大切に持ち歩かれていて。

そのどれもに、「私がこれを手にすることを決めた理由」がある。

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インタビューの際に録音やメモを取らない私は、その全てのストーリーを記憶していないのですが、

ブランドの歴史や、一つ一つの個性、ペン先の感触や描き具合の個性、デザインに込められた意味など、淀むことなく滑らかに教えてくる乃梨子さん。

一緒に持ってきてくださったノートは、月光壯のスケッチブック。文房具好きなら多くの人が知っている逸品。こちらも、100年以上の歴史を持つ、大正時代からの有名老舗ブランドのもの。

持ってきたバッグ一つでも、なぜこのバッグなのか、家にあるバッグたちにもどんなストーリーがあるのかを教えてくれて。

そうした選択基準は、「ブランドだから」ということに拘りません。


聞いてゆくほどに


「私にとって何が価値あるものなのか」

「どう、ものと付き合っていくことが、私を豊かにしてくれるのか」


そのブレない基準があるからこそなのだと感心して。


文具たちを入れて持ち運ぶバッグも、ヴィトンなどのブランドもののバッグを持つことが多いという乃梨子さん。でもそれは、「ブランドものを持っていたらよく見える」だけでは決してなく、

ブランドに込められたストーリーが好きで、そしてなおかつ、修理やメンテナンスを行うことで、長く愛することができる、心からの好きと大切を重ねて慈しんで行けるから。


想いを、歴史を、見逃さない。

生み出された物たちが重ねてきた歴史に敬意を抱き、受け継ぎ慈しむ。

そうして使うことにこそ「ものの価値と豊かさ」がある


乃梨子さんと話していると、そんな言葉が浮かんできます。


私はこんな風に、物たちが生まれた背景に想いを馳せ、それを手にして大切に愛しみたいと思ったこと・・・・

こんな風に、時を経て受け継がれ、磨かれてきただろう意匠あるものたちを、その価値を深々と汲み取って、手にしたいと思ったことは、あったのだろうか。

感覚一辺倒で、「私の心がこれが好きというならこれがいい」

その一択でいつもものを選んできたけれど。でもその「感覚だよりの好きで選んだものたち」をずっと時を経て愛しんでいるかと聞かれると、うーん・・・

使い込みすぎてクタクタになって、メンテも修理もできなくてサヨウナラ。そんなものも、少なくない。

むしろ、ものは、心の移り変わりとともに、巡らせてこそと思っている節がかなりあります。ずっと使い続けることは、どこかで、古いものに埋もれていくようなそんな「衰退」さえ実は感じていたのかもしれません。

でも、そうじゃない、もっと豊かな捉え方や考え方があるのだと、私はこの対談で乃梨子さんから教えてもらいました。

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ブランドものを持つ、ということに、ほとんど価値を見出してこなかった、私の半生。乃梨子さんの話を聞いてわかったことは、

「社会や世間、雑誌で持ち上げられている、そのうわべのイメージだけで、ブランドものを華美で人の格を決めつけてしまうもの」

そんな、とんでもなくひねくれた私の先入観。もう、大変にお恥ずかしい。

一つ一つのブランドやものたちに秘められたストーリーがあるということを、その背景を、そもそも知ろうとさえしてこなかった。


ご自分の生きた歴史も、持ち物のストーリーも、実に淀みなく、確かに、ご自分の言葉で語って伝えてくださった乃梨子さん。その語り口に、迷いは全くなくて。時系列に丁寧に並べられ、そこにいた人たちの、その場の景色まで想像してしまうような、物語のようなお話時間。


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私は、私が生きた時間を、知っている

私は私がどう生きてきたかを、忘れない


私は私の人生の、そのストーリーを、こんな風に・・・・乃梨子さんが、私に伝えてくれたように、語れるかなぁ。


こんな風に、自分の基準を信じ抜いて、ものも生き方も、選んできただろうか。


いやぁ・・・・

なんとなく、雰囲気で、きちゃったかも、しれないな。と。


自分の基準で、自分の選択で、自分の言葉で。

私は私の生き方を選び抜く。


つい、誰かや何かの視線や基準を、伺ってしまいがち。

でもそうじゃなくていい。

私が乃梨子さんから受け取った、最大の魅力は、そんなこと。


溢れるように伝えてくださる、さまざまのストーリー。もっと聞きたい。そんな気持ちになる時間でした。


人生には様々な波があり、私たち一人一人には、確かにバイオリズムはある。そんなことを体感しています。

その波を理解して乗りこなしながら、その中で「自分の基準で、意思で、確かに選びとっていくものは何なのか」

自分で選べない、コントロールできない波と、自分で決めて、選べること。この二つを、理解して選べないことには身を委ね、選べることに最大の自分の意思と覚悟を重ねることができたなら。

私たちの人生は、とっておきの、最高のサーフィンになるのかもしれない。そんなことを、思います。

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乃梨子さん、この度はありがとうございました!

また、たくさんのストーリーをぜひ聞かせてください。




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