私は私、あなたはあなたと言える、子育てを。〜不登校・引きこもり専門コーチ C'sラボ 林智恵さん〜
私が感じたあなたの魅力、素敵なところや個性、そして歩んだ道のりのストーリーなど、ご依頼者様と対談してご希望のスタイルで綴るshutter。
現在45歳の私が小学生中学生時代は、先生が頂点に君臨し、生徒は先生のいうことを聞くのが「当然」
学校に行くのも「当然」
授業中じっとしているのも、みんなで一緒のことをするのも「当然」
そんな時代でした。
あれから時代は変わった今、その当然はどんどん崩れ、むしろそれが「非常識」と言われてもおかしくない時代の方が近づいています。
学校に行くのは「当然」????
数十年前なら、数奇の存在として扱われただろう「学校に行けない子どもたち」は、今では「どこにでもいる子どもの一人」になりつつあるし、大人も子どもも、学校にちゃんと通い通すことだけが、人生における「優」ではないことを知っています。
世の中のニート、いわゆる引きこもりだって、こもっているその部屋から世界に向けて自分を表現し、発信し、自立するに十分な仕事を生み出し、稼いでいる人だって、たくさんいて。
何をしているからいい、大丈夫、良い子
そんな基準はもうこの世界には、ありません。
それでも。
もし、我が子が、ある日、不登校や引きこもりになってしまったら??
学校に行くことが当然として生まれ育って大人になった私たちは、その事実の前に、何を思い、どう、対処するのでしょうか。
今回ご紹介するのは、福岡の地で我が子の高校不登校から始まる7年間を見守り超えて、現在は不登校引きこもり専門のコーチとしてご活躍の C'sラボ林智恵さんをご紹介します。
私が智恵さんと出会ったのは、もう4年ほど前になるのでしょうか。コミュニケーションを学ぶコーチングスクールの、同じ認定コーチとして、出会いました。
当時の智恵さんは、コーチングを学び高めもっと生かすためにと、福岡から度々上京してトレーニングを受けていて、法人研修のためのトレーニングでご一緒した時には、そのふんわりとした柔らかな笑顔とは裏腹の、行動力と熱意に自分のコーチング熱なんて生ぬるいものだと感じたことを、覚えています。
銀行員という、手堅いお仕事に就かれていたのに、フリーでコーチとなるなんて、なんて大きな決断をされるのだろう。お子さんの不登校がきっかけでコーチングに出会って、コーチングにものすごく可能性を感じてる、親子関係が変化している、だからこそ、不登校にコーチングを活かしたい、そう思っていることを、ふんわりと聞かせていただいてから、あっという間に経った数年。
今回、shutterのご依頼をいただくと同時に、新たに始められる不登校や引きこもりに悩む親御さんへの継続サポートのWEBページ制作や、その告知文作成、写真撮影などもご依頼くださり、まるっとまとめて、ちえさんの不登校とコーチング、そこから生まれたストーリーについて、担当させていただけることになりました。
空港でご友人とともに撮影させていただいた一枚。福岡で出会う人はみなさんとてもあたたかく、二日の滞在はあっという間でした。
銀行にお勤めしながら、シングルマザーとしてお子さんとの毎日を暮らしてきた智恵さん。その日々は順調だと思っていたそうです。
お子さんもすくすく、困らせるようなこともないし、とても素直。うん、私、シングルなりに、結構いい子育て、してるよね、できてるよね。そんな風に思っていたそう。
だからこそ、高校2年のGW明けにお子さんの学校への行きしぶりが始まった時には、一体どうしたの?と思ったそうです。そしてそこから学校に行けない日々が次第に増えて、とうとう不登校に。
どうして?何がいけなかったの?
ご自身では順調だと、私だって頑張ってると思ってきたからこその、驚きと葛藤がここから始まったそうです。
毎日、スマホをいじったり、漫画をひたすら読んでいたり、昼夜逆転したり、ゴロゴロしている我が子を前に
なんで学校に行けないんだろう、行かせるにはどうしたらいいんだろう、私が甘やかしているんじゃないか・・・・・
当時の智恵さんは、「娘をもう一度学校に行けるようにするには」という、智恵さんが描く「解決」を得るにはどうしたらいいかばかり、考え、そうするほどに、うまく行かない。娘さんとの関係はぎくしゃくし続け、何度となく大喧嘩も、取っ組み合いも、壁やドアを蹴散らし壊したりたりも(親子双方で)、数え切れないほどの「葛藤と苦しみ」の時間を重ねたと言います。
でも、そうした時間の中で、少しずつ、気づいて行ったこと。
それは
私の子育てが順調だったのではなく、
私が順調であるように、娘が、自分を殺して我慢してきてくれていたのだ
ということ、
そして
私が、娘の心の声を、ずっと聴けずにきたのだ
ということだった。
もう、頑張れない
娘さんの不登校は、やっと出せたSOSであり、初めて出せた「本音」だったのかもしれない
そんなことを、思います。
順調だと疑うことないくらいスムーズだったその裏に溜め込められた、我慢や葛藤が、不登校をきっかけに噴出。それは時に壮絶で、絶望を感じる日々だったと、おっしゃいました。
生きていることさえ、もう辛いと言う我が子を前に、そんなつもりで育ててきたわけじゃないのに、どうしていいか分からず、途方に暮れる・・・・
どうしてなの?何がいけなかったの?どうしたらいいの?
我が子の話を聞こうとしても
お母さんには話さない。
お母さんは私の話を最後まで聴いてくれた事なんてなかったよね?
そんな返事が返ってくることの、絶望。
その度に、「私の子育ては間違ってたのか?」そんな問いが突きつけられ、苦しい。なのに、解決の糸口は見えない。どうしたら学校に行ってくれるの?解決するの?!すぎていく日々。それでも、心の中は絶望なのに、笑って仕事をしなくてはいけない日々のしんどさ。
学校に行かせようとすればするほど、悪化していく関係。
行くところまで行った、と、おっしゃったご様子から、どれほどの壮絶な日々だったのかが想像されます。
そんな時に出会ったのが、コーチングでした。
きっと、このコーチングとの出会いで、智恵さんは気づかれたのではないでしょうか。
子どものために良かれと思って重ねてきた関わり・・・コミュニケーションは「自分のため」もっと言うと、「自分の不安をなんとかするため」だった、と言うことに。
そして
本当の意味での我が子のための関わり、コミュニケーションが失われていたことに。
不登校を許せないのも、解決したいのも、学校に行って欲しいのも「私」だった。
私が、娘に学校に行って欲しくて、その期待から関わっていた。
世間や周りの目、評価を気にして自分も我が子のこともジャッジしながら
学校に行って欲しい、どうして行けないの、何がダメなの?と。
そして、そんな自分を、ずっと責め続けていた。
本当は、私も、助けて欲しかった。
目の前の、娘の気持ちは・・・・・???
学校に行きたくない、行けない、もう、頑張れない、苦しい、助けて欲しい
それが、娘さんの心の声で、叫びで、SOSだった。
娘の心の声を、私は全然、聞いてきてなかったんだ。
私には私の気持ちが、感情が、あって。
娘には娘の気持ちが、感情が、あって。
私は、私の心の声を、聞き届け、認め、受け入れてただろうか。
娘の心の声を、聞き届け、認め、受け入れてただろうか。
私は私を、大切に扱ってきただろうか。
私は娘を、大切に扱ってきただろうか。
それは、どう言うことだろうか。
私は、どうしたいのだろう。
娘は、どうしたいのだろう。
私は、わかってなかった。
やっと、自分と、我が子を、切り離して
互いには互いの気持ちがあり望みがあると言うことに
それは、同じ時もあれば違う時もあると言うことに
私と我が子は違う存在なのだと言うことに
気づくことが、できた。
コーチングが、教えてくれた。
そこから、お子さんへの声がけが、変わり始めます。
毎日のように
どうするの?!と押し付けるようにかけていた言葉を変えた智恵さん。
「あなたは、どうしたい?」
コーチングを学んで、初めて我が子にコーチング的な声かけをした一言に、これまで無視を続けていた娘さんが初めて
考える・・・・。
と返事をしてくれた。
この言葉を聞いた時、智恵さんは娘さんの未来に光を感じたそうです。
自分のためにしていた声がけを
たった一言、「あなたはどうしたい?」と 娘さんの心の声を聞く一言が、娘の返事も表情も変えてくれた。そこに未来を感じた。
だから、誓ったそうです。
娘の未来を明るくするために、私は関わろう
そのためにコーチングを学び続けよう、高めよう、実践し続けよう、と。
それが、2015年の夏のこと。
お互いのその気持ちや思い、考えを、押し付け合うのではなく
あなたは、どうしたい?
その一言とともに、一緒に考えよう。
考えた先の未来が、明るく楽しくなるために、どうしたいのかを、娘の気持ちを聴きながら、ともに進んでいこう。
迷ったら、また立ち止まって一緒に考えたらいい。何度でも止まって、何度でもまた一緒に考えて、諦めず、進み続ければいい。
私とあなたが、その日々が、人生が、楽しく笑っている時間が増えていくように。
そのための声がけを、関わりを、一つ一つ、諦めることなく、続けていこう、と。
この時から智恵さんが心がけられたのが、ご自分の気持ちはご自分の気持ちとして、大切にすること。
何が嬉しいのか、悲しいのか、苦しいのか。どうして欲しいのか。どんな気持ちなのか。
どこに、私の本心が、あるのか。
カウンセラーやコーチの力を借りながら、ご自分の気持ちをまずは整えながら、
娘さんの状態に左右されることなく、「私は私として」自身を整え、笑顔でいる時間を増やすことを大切にされるように。
我が子の不登校があったとしても、私は、私。
私の幸せは、私のもの。私にしか、叶えられないもの。
私が私の毎日を、楽しく過ごすために何ができる?ご自分を笑顔に、幸せにするための小さな選択を重ねてゆかれ、
智恵さんご自身の心にゆとりが増え、笑顔が増えるほどに、娘さんの状態にも変化が現れます。
そして
不登校についても学び、変化していく状態の中で、どんな関わりをする必要があるのか、しない方がいい関わりなどを学び取り入れながら、コミュニケーションも変えてゆかれます。
それまでは、学校行くの?どうするの?と智恵さんが望むことをするかしないかでかけていた言葉たちを
娘さんが選択できる言葉に切り替えながら、娘さんがどうしたいかを大事にする、コーチング的関わりを意識的にするように。
「答えはあなたの中にある」
私の中にある「期待」ではなく、我が子の中にある「こうしたい」を聞き届け大切にする
何より
「我が子の中にある、生きる力、動き出す力を信じて待つ、見守ること」を
大切にするように。
そして、それは・・・・
智恵さんご自身に、とっても同じこと。
私がどうしたいかは私の中に答えがある。
私にも生きる力がある、動き出す力がある。そして、人生を楽しむ力もある。私が私を信じて、その力で生きていくことを、私が私に誓おう。
と。
行きつ戻りつ、時にはまた上手くいかない時がありながらも、それでも「この関わりの先に、明るい未来・・・我が子が自分で動き出していく日はきっとくる。」と信じて重ね続けた、その先で。
不登校から2年経って、娘さんは通信制の高校を卒業し、大学入学。京都で一人暮らしをすることを叶えました。
大学入学後、一時は通学できなくなる時期がありながらも、その時もコーチング的な関わりを続けられ、2020年春、娘さんは大学を無事卒業。
この時のブログで、智恵さんはこんなことを書かれています。
私は私、あなたはあなた、やっとそれを堂々と言える私になった。
学校に行けなくなり、なんとか行かせようと、絶望と葛藤の壮絶で始まった不登校から7年。
智恵さんが、私に言いました。
今が一番、親子なんです。やっと、本当の親子になれた。そう感じるんです。ここからだな、って。
こんなにも、柔らかなお顔で。
この言葉を聞かせてくださった、その瞬間にいれたことを、私はとても嬉しく、そしてまた、幸せに感じています。
母親と子ども。
親子であると言うこと。
子育て、とは。
ここに、正解はありません。
人の数だけの、その人らしさがあり、子育てがあり、
親子一人一人に、性格や価値観、
好きなこと嫌いなこと、
望むこと望まないことがあり
一人一人にとっての「幸せ」があります。
そう、私たちは、たとえ家族であっても、親子であっても
別々の存在で、その「幸せ」はそれぞれのもの。
だからこそ、その互いの幸せは
どちらか一方の幸せの基準によって
抑え込まれたり、虐げられるものでは全くなく
きっと、私たちにとっての本当の幸せは
「互いにとっての喜びや幸せを知り、それを大切にし合える日々の関わり」
そこにこそ、あるのではないか
そんなことを、私は思います。
一発で互いの喜びや幸せの折り合い地点を見つけられたら、こんなに楽なことはありません。
でも、それが叶わないから、その時に、どんな風に関わったらいいかを知らないから、幸せになるためのコミュニケーションを学ぶ機会がないまま大人になってしまったから、私たちの世界には、時として諍いが起きてしまう。
気づかない間に誰かの喜びや幸せが、我慢の後ろで閉じ込められたり、知らぬ間に誰かを傷つけたりも。
それが、親子の間でも、起こりうるのです。
人間は感情の生き物。
時には私の幸せとあなたの幸せが相反することもあるからこそ、そこにはさまざまな感情が生まれ、心が焼かれてしまうような時も、きっとある。
でも、それでも
「私の幸せと、あなたの幸せを、それぞれに大切にして、生きていく」
そのための選択をするのだと、必要なコミュニケーションは何かを知り、重ねながらその道を進むことができたなら。
その道こそが、互いの心をあたため、心と心の絆を結び、お互いの存在を信頼で繋ぐためのかけがえのないギフトになるのかもしれない。
智恵さんは、娘さんの不登校の日々、そこで出会ったコーチング的関わりを重ねた日々の中で、まさにそれを、実感された方。
そして今でも、その道を進まれている方です。
だからこそ今、不登校を超えた7年の日々全てを糧にして、
コーチングという、互いの未来を明るくするための、かけがえのないツールとともに、
同じように我が子の不登校や引きこもりに悩む親御さんの力になれるようにと、コーチとしての道を歩まれています。
あの絶望と孤独を感じた壮絶な不登校の日々に、ご自身が求めていたサポートを、形にして。
我が子の未来を明るくする
そう誓ったあの日から、諦めずに進んだ道が、今日の「今が一番親子」そう感じられる日々を作ってくれたように
不登校や引きこもりに悩む親御さんが、そう言える日を迎えられるように、誰より「私はあなたとお子さんの明るい未来を信じ続けます」という気持ちを抱いて、RE:Trusut Session はじめ、さまざまなコーチングメニューを提供されています。
今日も、これからも、一歩一歩、智恵さんと娘さんの
私とあなたのそれぞれの幸せのための選択を、重ねながら。
対談の日にはこんなこともおっしゃっていました。
子どもが不登校や引きこもりだからって、お母さんが不幸に沈んでてもいいことなくて、やっぱり、まずはお母さんが自分の人生を楽しんで笑って生きるのが一番。だから、もっとお母さんは楽しく生きていい。そんなことを伝えていくこともしていきたいし、私ももっと楽しくやっていきたい。
うんうん。
元来、明るい性格だろう、智恵さん。過去の葛藤ど真ん中の日々はもちろん絶望や孤独感のどん底の時もあっただろうけれど、この対談の日はとっても楽しげで。
写真を撮られることも、楽しんでくださり、終始笑顔。福岡で一緒に活動しているご友人、吉永美香さんとの2ショット撮影も、楽しんでくださいました。
美香さんもお子さんの不登校を経験された方。
智恵さんと美香さんはこれからお二人で、我が子の不登校や引きこもりに直面している親御さんをサポートしていくため、「不登校親子サロンHAKATA colorful」を立ち上げ運営していく予定。現在その準備中です。
私は私。
私を楽しませてこそ。
娘さんの不登校を超えて、こらからはますますと
私も楽しく、あなたも楽しく。
つながる人たちと、もっと、楽しく。
この笑顔のままに、ニコニコ、ワクワクと進まれてゆかれるのではと
ファインダー越しにニヤつきながら、思ったのでした。
智恵さん、この度はありがとうございました!
智恵さんのコーチングセッションはこちらからご覧いただけます。