夏休みを廃止して週休3日制にしたらいいんじゃない?
オンライン家庭教師業を行う私も含め、教育に携わるものにとって大きなイベント「夏休み」について、頭を抱える保護者の方も多いようだ。
ここ最近の企業で導入がされている「週休3日制」というシステム。生産性が高まる効果が期待されるとかなんとか。
「こども未来戦略方針」の中に「選択的週休3日制度の普及」が含めれていることが話題になっているとか。
そこで、教育機関も同じように、週休3日制を導入すれば、学力向上に向かうのでは?と疑問を抱いた私が、思考実験をしてみる。
夏休みの歴史
夏休みの歴史を調べてみた。1881年に欧米諸国を参考に導入された制度で、欧米は9月から新学期が始まるため、学年の切り替わりの準備期間としても、都合が良かったらしい。
日本でも、先生の休業や研修のため、子供の安全のため、夏休みの目的は様々言われているが、はっきりとした導入目的はないそうだ。
導入から140年が経ち、「夏休みはあるもの」となんの疑いもなく、常識として馴染んだ文化であるが、現代にあった制度であるか、今一度考える必要がありそうだ。
夏休み制度の課題
2020年時点で、共働き世帯が1240万世帯で、専業主婦世帯が571万世帯と、共働きが主流になっている現代において、夏休み期間は両親が不在の中、自宅で過ごす子供が増加している傾向にある。
また、40日の長期休みが、それまでの学習習慣や生活習慣を崩すきっかけになり、現代病の発端となっている節もあるようだ。
「夏休みになっても、普段と変わらない生活を送ること。朝は早起きして、夜更かしをしないように。宿題は計画的に、毎日コツコツ行うこと」と定型文のように毎年言われているが、それが実現できていない家庭が多く存在する。
学習塾や夏のイベントなど、夏休みにしかない学びもあるが、それは経済的な余裕があってこそ。貧困層にとっては、夏休みというイベントはなんとか乗り切る試練のようなものになっているのかもしれない。
週休3日制の思考実験
夏休みを廃止して、その分の休みを年間に充てることが、そもそも現実的かを考えてみる。
夏休みは全国の平均日数が40日程度になっている。年間は52週あるため、12週ほど足りないが、春休み、冬休み、GW、盆休みなど、既存の休日を考慮すれば、残りは9週程度確保すれば良さそう。
ここで、冬休み期間を、年末年始のみの5日間に限定すれば(冬休みも無くなった!?)9日間は確保ができ、実現はできそうだ。
子供にとってのメリット
例えば、水曜日を定休日とすれば、2日学校にいけば休みというサイクルができるため、常に「休み明け」と「休日前」の状態が実現できる。これは精神面でも良い効果が得られそうだ。
また、中高生の部活動を行っている人は、水曜日を丸1日練習に使うことができる。・・・ここは賛否がありそう。そうでない人も年間を通して、生活習慣が固定されることは、日々の予定や計画も立てやすそうだ。
先生にとってのメリット
長期休みがないことは、その期間の宿題を提示することもなくなる。休み明けのチェックなど、業務の負担も軽減できそうだ。
また、水曜日に授業がないと、その日は教務のことを気にすることなく、そのほかの業務に専念できる。授業の合間に行っていた業務の効率が向上するかもしれない。
親にとってのメリット
家族でのイベントや旅行など、まとまった休みを使って何かをする場合、夏休みやGW、休日は人が混んで、思うような1日を過ごすことが出来ないこともあるだろう。
水曜日を定休日にしているため、例えば月曜日が祝日の3連休があれば、火曜日を休めば5連休を確保することができる。家庭ごとに連休を調整できるメリットは、大きいだろう。
実施している国はない!?
日本の年間の学校日数は、世界的にみると多い。欧米に比べると1.5倍程度ある。仕事においても、有給を使って長期休暇をとり、バカンスを楽しむ風潮がある中では、夏期休暇の制度が理にかなっているのだろう。
しかし、日本においては、有給を使うのは有事の際に、基本的に自由に取れるものではないことが一般的であろう。その社会背景と学校の長期休暇がマッチしているのか、今一度議論する余地があるのかもしれない。
ただ、実施しているところがないため、実績やデータもなく、導入に至るにはかなり険しい道のりだと感じる。
まずは、企業からその実績が得られ、私学の教育機関が取り入れ、実績やデータが蓄積されれば、全国的に広まるかもしれない。
夏休みはすでに廃止されている!?
夏休みの40日間は、中高生にとっては部活動の期間、受験生にとっては勉強の期間と、一部の人たちにとっては、休みであってないようなものなのかもしれない。
日本では、夏休みの宿題の文化はあるが、他の国では宿題がなく、完全な休暇として位置付けているところもあるそうだ。
宿題を提示し、勉学に励ませる文化は、すでに「夏季休暇」というシステムが海外と比べ、ほぼ廃止されているようにも感じる。
この文化が、長期休暇による学力低下を緩和していることにも、影響しているのだろう。
まとめ
ここまでの思考実験で、夏休みを廃止して、週休3日制にすることは、現状のメリットとデメリットと同等のメリットとデメリットがあるように感じた。
であれば、社会的な問題として夏休みが議題になり、この天秤が大きく傾かない限りは、その提案すらないなされないだろう。
これらの話は、私の中の妄想として、楽しんでおくことにしよう。