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【詩】十一月は、

トリックオアトリートの喧騒がされば
はやくも聖夜の飾りつけ
幻惑の星々にひとびとは手を伸ばす
十一月は はんぱな月
そこにいたって いない月
この月を飾るのは
もみじでもなく 雪でもなく
赤や黄色をしぼりつくしたあとの枯葉
そんな色の服ばかり着て
怒るってどんなことか忘れてしまった
十一月に生まれた子どもは
かくれんぼうが上手

十一月に生まれた大人は
かくれんぼうが下手
鏡の中のモノトーンにやっと飽きた頃
まわりはとっくにぼくに飽きていた
十一月は うらがわの月
言わないでいたほんとの声が聴こえるから
かくれんぼうの樹のうしろから出てしまう
遠ざかるのは 遊びの約束をしたひとの声
ぼくが上手にかくれ過ぎるから
さがすのをつい忘れたのだろう、愉しいね
十一月に生まれた大人は
じぶんに少し 嘘をつく

話し相手は 踏んでは割れる枯葉の音
ひとりだけどひとりじゃない月 十一月


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つけたし。
ぼくの書いた「9月になったら」という詩が、『ココア共和国』の11月号に掲載されました。
noteで 9/21に掲載した「9月になったら」と同じ題名だけど、別の詩です。

『ココア共和国』に投稿用の詩は、8月に書いて、9月に送って、そしたら掲載は11月だったのです。あー9月号じゃないんだー、そりゃそっかーと思いました。
ちょっと時期はずれになっちゃった。ということで、今回「十一月は、」という詩を書いたのでした。

ちなみに『ココア共和国』10月号では、「100カラットの情事」という詩を掲載していただいています。


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