善を為す～星新一NHK～
タイトル:善良な市民同盟
初出 :「別冊小説新潮」1970年夏号
不思議なことに
人間は秘密に弱い
秘密を抱えても
秘密の中身を知ってしまっても
そもそも秘密の存在を知ってしまってから既に
気が気がじゃない気分を味わうことになる
私もご多分に漏れず秘密には弱い
秘密を隠しているのは
かなり気合いがいる
そして疲れる
なので、
秘密は普通に嫌いである
何でもないことがとんでもないことに変わる
それが秘密
善良な市民同盟では
今どき珍しい頑固爺さんの審判を仰ぐ
この爺さんは頑固な上にめちゃ元気
こんな爺さんは今の令和の時代には
なぜか見ることがほとんどない
善良な市民同盟は果たして
善なのか
しかしつまりそれが善ということなのか
善を為すということは簡単なことでないことは
いつの世でも変わることはない様だ
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