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編集者の「キャッチコピー」の作り方
こんにちは、高橋ピクトです。
書籍の編集者をしています。
今日は短い言葉で、本や記事の魅力を伝える
キャッチコピーの作り方をご紹介します。
私たち書籍編集者は、カバーや帯に入るキャッチコピーを作るときに、頭を悩ませます。今だに慣れませんし、得意とは言えませんが、悩んできた中でコツのようなものはつかんできたような気がします。今日はそのコツをいくつかご紹介します。
読んでいただくと、noteのタイトルを考えるときに役立つかもしれません。また、今はAIに記事の要約をしてもらう人もいると思います。そういう方にとっては、AIへの指示の仕方や、アイディアの取捨選択の判断基準になるかもしれません。
たとえば、この本。
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『マンガでわかる 1日1回の腹筋でお腹を凹ませる方法』
この本は、
「細いのに、お腹はぽっこり出ている人」
「忙しくて働き続けていたら、いつの間にかお腹が…」
という人向けの、腹筋の本です。
どうすれば、お腹が凹ませることができるのか?
メカニズムとやり方をマンガで紹介しています。
「これだけフッキン」という、
1日1回、1回2分でOKのメソッドが最大の特徴。
え?1日1回? 2分? ほんとに?と、
例にしてはツッコミどころが多いかもしれませんが、、、ここからどんなふうに要約していくかが問題です。
私は、こんなふうにまとめていきました。
★要約1
いつもの腹筋100回→つらいし続かない。
新しい腹筋1回→ほどよくつらい。けど、続く!
★要約2
カラダのメカニズムが正しくわかっていれば、
「腹筋は1回でOK!」
どちらも帯のキャッチコピーにするには長いですし、デザイン的にどこを強調していいかわからない。2案は惜しいような気もしますが、もっと短くした方が伝わります。
で、実際に採用になった帯がこちら。
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2分で完了!
超効率“腹筋”!
10文字になりました。
ポイントはいくつかあります。
①文字数を決める
短くしようと思っているだけでは、なかなか短くできません。
この本では、10文字程度で伝えることを決めて短くする方法を考えていきました。
書籍には、著者さんや、編集者の苦労がつまっていますので、伝えたいことが多く、要素が多くなったり、文章が多くなったりしがちです。
でも、強引にでも文字数を決めて、文字のビジュアルを意識することで短くすることができるようになります。
②漢字を効果的に使って短くする
この文章では、「完了」「超」「効率」など、見ただけで意味が伝わる漢字を使うことで短い文章にしています。
実は、ひらがなが多い文章は、読まなければ意味が伝わりません。
ちょっと細かいですが、私は「2分でできる」よりも、「2分で完了」と漢字にした方が伝わる速度が速いと考えています。
たとえば、すでに紹介した以下の文章であれば、
★要約2
カラダのメカニズムが正しくわかっていれば、
「腹筋は1回でOK!」
の「正しくわかっていれば」のような部分。
目で文章を追わなければ、意味をとらえることができません。
もし、帯キャッチにするなら「正しく理解すれば」というように漢字を入れて、パッと見た目で伝わるようにします。
たとえば、「最高」「最強」といった「上の字が下の字を修飾している」熟語は重宝します。文章が短くなりますし、見ただけで意味が伝わりますから。
よく使われる表現だから、と使うのを避ける人がいるかもしれません。もちろんこういった言葉は陳腐になる可能性もあります。
しかし、実用書はリアル書店でも、ネット書店でも、多くの類書の中に置かれます。いかに目にとめてもらって、すぐに意味を消化してもらうことが大事です。
③伝える要素に優先順位をつける
この本では、
★要約1
いつもの腹筋100回→つらいし続かない。
新しい腹筋1回→ほどよくつらい。けど、続く!
の「ほどよくつらい。けど、続く!」のニュアンスをどうにか伝えたいと考えていました。でも、これを伝えるどうしてもメインキャッチが短くならない。そこで、サブキャッチとして「正直キツイ。だけど……」と入れることにしました。
「2分」「1日1回」という言葉が一見するだけだと、“都合がよすぎて”信じ難いからです。「1回だけど、キツイよ」と正直に弱みを伝えることで「そういうことか…」と納得して本を開いてもらえるような工夫をしています。
ポイントは伝えたい要素に優先順位をつけること。
この本では、「①本の内容→大きく」>「②感想(本音)→小さく」することで、効果的な帯コピーをつくることができました。
この本の発売後は、駅中の書店や、書店の話題書のコーナーで大きな展開をしていただきました。多くの方が衝動買いしてくださったそうです。ある書店チェーンでは、購入者の4割近くが女性だったことにも驚きました。
ちなみにお恥ずかしいのですが「2週間で下腹-4㎝」というキャッチは、私の実践例です。効果があっただけでなく、この腹筋と出合ったおかげで、食や運動など、体と向き合うことが習慣になりました。
文 高橋ピクト
生活実用書の編集者。『背骨の実学』『新しい腸の教科書』『コリと痛みの地図帳』などの健康書、スポーツや囲碁、麻雀、競馬、アウトドア、料理など、趣味実用書を担当することが多いです。
キャッチコピーは、本の要約だけでなく、本のメッセージであったり、読者の感想であったり、さまざまな種類があります。この本でも、資料をたどってみると「取り戻せ!あの日のカラダ」という別案があったようです。30代後半で、いろいろとカラダに悩んでいた時期に担当した本だということを思い出しました。
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