20230503_ロックおじさんの答え合わせ『もうがまんできない』(2023.5.2)
私、90年代と00年代のサブカルの空気吸ってきて、さらにはサブカル通り越してアングラまで両足突っ込んだ尖った方々を横目で見てきた人間なんでね、王道ど真ん中のサブカルを追いかけることに引け目というか“照れ”があるんですね。
ましてや、クドカン、大人計画というと……サブカルにおいてはど真ん中のど真ん中だし、mixiの時代だと、はっきりと「あんなもん!」って反応する人がチラホラいたような記憶があります。もっとも、そんなおっかない人とマイミクにはなりませんでしたけどね。
自分の周りの状況がそんな感じだったので、『タイガー&ドラゴン』(2005年)はリアタイではスルーしてました。
で、月日は経ちまして2023年にして、Netflixで初めて観たんです、タイガー&ドラゴン。
いや〜、めちゃくちゃ面白い!
何が面白かったか一つひとつ説明するのは、本題ではないのでここでは割愛するけど、特に刺さったのが阿部サダヲ。どん太ですね。
それにしても若き日のサダヲちゃんの、ギラギラした殺気立った才覚はヤバい。セリフ回しの圧倒的なスピード感とグルーヴ、露出の多い衣装でリアクション芸やってる時のキレッキレの肉体性も、若き日々にしか表現し得ない刹那に満ちていてたまらなく魅力的。こりゃ売れるの当然だわ。
王道とか真ん中とかアングラとかね、狭い美意識(?)に縛られて食わず嫌いするとか、本当にもったいないと思いましたわ。いいモノはいいんだから、遠慮せずにガンガン観りゃいいじゃん!
そのように思いを新たにした矢先、妻がまたしても鬼のチケ運を発揮して、本多劇場の大人計画のチケットを取ってくれたので、最新の舞台『もうがまんできない』に行ってきました!
今や大センセイのはずのクドカンが、舞台では今でも好き勝手暴れ放題にやりまくってるのを楽しむことができました。あ〜元気出た!
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一番のお目当ての阿部サダヲは、『タイガー&ドラゴン』のどん太のような溌剌キレッキレの肉体性が50過ぎても健在で嬉しくなるし、荒川良々と皆川猿時は本当に気持ち悪くて、その気持ち悪さはまさにゼニの取れるレベルだし、そこも期待以上だったので、実に楽しめました。
それに、何より印象的だったのが音楽。劇のタイトルそのままに、劇中で全編にわたって「もうがまんできない」(向井秀徳&こだま和文のカヴァーver.)がかかるんだけど、それがじゃがたら聴いて育ったロックおじさん&おばさん達の「青春の同窓会」の趣がありましたね。客席の年齢層高めで、皆じゃがたらリアルタイムで聴いてた方々にも見えたし。
じゃがたらリアルタイムというと、僕より一回り上の世代と思われるけどそれはさて置き、ロックで育ったおじさんおばさん達が観てて「俺たち(私たち)今まで頑張ったよね」「これからもしぶとく諦めずに楽しんで生きていいよね」って気分に浸れるような、そんな楽しくて優しい舞台だと思いました。
(まったく蛇足なんだけど、思い出した話をついでにもう一つ。「もうがまんできない」というと、僕は大槻ケンヂのソロアルバム『ONLY YOU』でのカヴァーが好きなんだけど、あれを聴いたのも「1995年」だったなぁと遠い目になってみたり)
それと最後に。すべてのロックおじさん&おばさん達の来し方行く末をまるっと包み込んでくれるような楽しくて優しい舞台を、「5月2日」に観られたことは意義深かったですね。