空海の謎解き
空海の謎が解きたくて、宮島の弥山に来た。
806年、唐から帰国するとすぐに、この山に、日本で唯一
鬼を神として祀った、という。
人の心は、宇宙の果てまでも行ける。
君はその心の秘密を解くために、大学を蒸発して修業僧となった。
答えもなく、死と隣り合わせの命懸けの旅路。
役行者は空を飛んだ。
しかし、君はひたすら地を這い続けた。
七年目、入唐というチャンスを掴んだ君は燃えていた。
しかしそこには、想像を絶する執念があったろう!
それは、一種の鬼だったのだ!
そして帰国後、君はそっと、その鬼を神としてこの山に置く。
それから、君は、どこに行ったのだろう?
時には、ボロボロになって足を引摺り
時には、軽やかに鹿のように草原を走り抜け
人によかれという閃きを実践に移したのだ!
鬼と闘うのではなく、ただ、走り抜き、動き続けることで
旅の途中に、そっと、置いたのだった。
闇 〈鬼、不幸、失敗、病気、不運〉を克服する道は
それと闘うのではなく、先へ先へと進むことで
旅の途中にそっと、置く。
2018年1月4日 五島秀一
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