「生活都市さいたま」を舞台にした『さいたま国際芸術祭2023』の目的と構成についての愉しみかたガイド
追記(2023/12/11)
【御礼】
「さいたま国際芸術祭2020」から、生活都市さいたまを舞台に様々な表現者と共に、「ライフスタイルにアートを。」を合言葉に「誰もがアートに参加する習慣をつくりたい」と持続的な表現の時間と場所をつくる活動を続けてきました。
2019年8/10-2023年12/10の1,584日間、さいたまの地で共にこのようなプロジェクトが存在できた奇跡を今はじっくり振り返りたいと思います。 プロジェクトを続ける中で、様々な困難な場面もありましたが、その状況に諦める事なく進む事ができた事、これまで感じたことのないこころが震える場面がたくさん生まれた事は、関わっていただいた皆さんの情熱が創造した賜物だと強く実感しています。心より御礼申し上げます。
「ライフスタイルにアートを。これからも。」
本プロジェクトに参加していただいた皆様、運営スタッフの皆様、 本当にありがとうございました!
2023/12/11
さいたま国際芸術祭2023
市民プロジェクトキュレーター:浅見俊哉
以降、本記事になります。
『さいたま国際芸術祭2023』が10/7に開幕しました。
さいたま市で開催される3回目(1回目:さいたまトリエンナーレ2016・2回目:さいたま国際芸術祭2020)の芸術祭です。
筆者は、1回目の芸術祭から関わり、今回は市民プロジェクトキュレーターとして芸術祭をつくるひとりです。
「生活都市さいたま」で展開される芸術祭は、主に3つのカテゴリで構成され、メイン会場だけでなく市内全域で展開されています。これまで長きに渡り、市内で芸術活動、表現活動をしてきた人たちの現場も芸術祭に欠かせない要素となっていますが、少し複雑で分かりにくいという声も多数あります。今回のnoteでは、さいたまでの芸術祭の目的、構成を整理してみます。
すでに訪れた方も、これから行ってみよう!と思っている方にも、メイン会場だけでなく、市内に広がるアートの現場に立ち会う1つのガイドとなれば嬉しいです。そして、もう一度、来てもらえる動機が生まれたら幸いです。
入場料金がかかるのはメイン会場(旧市民会館おおみや)のみで、ガイドマップ中面の緑色の範囲です。他の場所のプログラム参加無料です。(一部施設入場料は有料)
広大に展開するさいたまのアートフィールドに足を運んでもらうことで、3回の芸術祭を開催してきたこれまでの蓄積を体感してもらえると幸いです。
2023年、区制施行20周年の節目を迎えるさいたま市は日本を代表する「生活都市」として歩みを進める中、2012年にさいたま市文化芸術都市創造条例を施行しました。その理念を具現化するため、2014年に「さいたま市文化芸術都市創造計画」を策定し、「総合的かつ持続的な文化芸術の振興を図り、もって市民等が生き生きと心豊かに暮らせる文化芸術都市を創造する」取り組みを行っています。
その中で、「さいたま国際芸術祭」は、この計画の重点プロジェクト一つであり、文化芸術都市創造の象徴的・中核的な事業として位置づけられ、以下の3つの目的
(1)「さいたま文化」の創造・発信
(2)さいたま文化を支える「人材」の育成
(3)さいたま文化を生かした「まち」の活性化
を定めています。
その目的を受け、「さいたま国際芸術祭」は以下の3つの柱で事業展開を行っています。
(1)アートプロジェクト
(2)市民プロジェクト
(3)連携プロジェクト
以下詳しく見ていきます。
(1)アートプロジェクト
主にディレクター:現代アートチーム 目 [mé ]が展開するメイン会場「旧市民会館おおみや」の展開
メイン会場(旧市民会館おおみや)で展開される「アートプロジェクト」は「さいたま国際芸術祭2023」の柱の1つです。
現代アートチーム 目 [mé ]が「わたしたち」をテーマに実施するメイン会場(旧市民会館おおみや)は、「いつ来場しても同じ体験がキープされているのではなく、あえて観客が〝見逃す〞機会を多くつくることによって、そこで出会った体験の固有性を裏付ける。」場所として65日間開催されています。
(2)市民プロジェクト
もう1つの柱は、「市民プロジェクト」。
市民活動が盛んなさいたま市。芸術祭の開催年だけでなく、日常からユニークでエネルギッシュな創造活動が様々な場所で行われています。
芸術祭を契機に様々な活動が出会い、活発に連携したり、それぞれの活動の特徴を再認識する機会となっています。
市民プロジェクトは主に以下3つの事業
(1)3人の市民 プロジェクト・キュレーターによるプログラム
(2)公募 プログラム
(3)市民 サポーター
を展開し、芸術祭の掲げる理念である「共につくる参加する」を受け、
市内全域で多彩なプログラムを展開しています。
以下詳しく見ていきます。
(1)3人の市民 プロジェクト・キュレーターによるプログラム
①「さいたまアーツセンタープロジェクト2023*(SACP2023*)」
キュレーター:浅見俊哉
本会期前の8月からプロジェクトをランニングさせ、12/10までの期間。ークショップやレクチャー、パフォーミングアーツのプログラム等、様々なプログラムを展開しています。また市内5つの小学校の小学生とプロジェクト参加作家が出会い制作する「アウトリーチプログラム」を行うなど地域に根ざした活動も充実しています。
②「アーツさいたま・きたまち」
キュレーター:飯島浩二
http://c-art-japan.com/ask-kokusai2023/
③「創発 inさいたま」
キュレーター:松永 康
私、松永さんは「さいたま国際芸術祭2020」でも市民プロジェクトを担当し、プログラムをつくってきました。今回、飯島さんも加わり、3人のキュレーターチームの体制で、プログラムを展開しています。長くさいたまの人、土地と関わってきたことで生まれる等身大でリアルな現場にぜひ足を運んでいただければ幸いです。
● 公募 プログラム
市民参加型の国際芸術際として、市内で展開される文化芸術活動と実行委員会が芸術祭をともにつくりあげるための7つプログラムが展開されています。
https://artsaitama.jp/civic-projects/open-offers/
●市民 サポーター
さいたま国際芸術祭市民サポーターは、2016年の第1回開催から継続的に活動しています。月例で行う情報交換・交流の場のサポーターミーティングをはじめ、アーティストへの協力、市内文化芸術に関する調査などの自主的な活動を通じて、自由な発想でコミュティを拡大・継続させる機会として、芸術祭をサポートしています。
(3)連携プロジェクト
最後の3つめの柱は、さいたま市の魅力ある文化芸術資源(美術館や博物館、市民団体等)と連携して展開するプロジェクト。
さいたま市内の多彩な文化施設で行われる文化芸術事業や、開催エリア周辺の商店街や企業等と連携し、さいたま文化の発信やまちの活性化を実現するプロジェクトが以下の3つのカテゴリで展開されています。
(1)文化施設連携事業
(2)まちなか 活性化事業
(3)庁内連携事業
いかがだったでしょうか?
「さいたま国際芸術祭2023」は、3つの事業展開の柱からなる、関係人口も多彩で階層が豊かな芸術祭です。ぜひ、メイン会場、さいたま市内に広がる現場にもお立ち寄りください。
素敵な発見やわくわく、驚きと出会えること間違いなしです。
https://www.city.saitama.jp/004/005/001/004/001/001/p088877_d/fil/kaisaigaiyou2023.pdf
このnoteは、「さいたま国際芸術祭2023」開催概要を読んでいただくことでさらに理解が深まると思いますのでぜひご一読ください。
現場で皆様とお会いできるのを楽しみにしております。
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⚫︎写真作家・造形ワークショップデザイナー ・キュレーター・「時間」と「記憶」をテーマに制作。2012年〜ヒロシマの被爆樹木をフォトグラムで作品制作 ●中之条ビエンナーレ2019参加アーティスト ●さいたま国際芸術祭2020 市民プロジェクトコーディネーター