GRⅢとGRⅢxで過ごす、超軽快スナップライフ
半年間、主にGRⅢを使ってストリートスナップを撮ってきました。そしてつい最近、新たに発売されたGRⅢを購入し、これからは2台を使って日々写真を撮っていきたいと思っています。「なぜ2台のGRを買い揃えたのか」「どのように使い分けしていくのか」「そもそもGRは何がいいのか」……自分なりの視点で紹介していきたいと思います。
■GRⅢとの出会い
まずはGRとの出会いから。もともとはミラーレス一眼で写真を撮っていたのですが、ボディにレンズ数本……というと、それなりの重量になります。"カメラを持って街に繰り出す"というアクションのハードルをもっと下げたいと思い、小型軽量のカメラを求めたのがGRⅢを購入したきっかけでした。
●GRⅢの魅力
半年の間、GRⅢを使ってみて思うのは、月並みな表現で恐縮ですが"とてもいい"です。細かなスペックのお話は知識豊富な方々にお任せするとして、自分のフィーリングの観点からお話します。
"私は〇〇だからGRとは相性が悪い"という人の〇〇に入る意見としてよく聞かれるのが、「28mmの焦点距離が性に合わない」「やっぱりカメラはフルサイズがいい」「ミニマルなデザインが好きじゃない」あたりです。自分はこれらの意見とは真逆だったので、GRと相性が良いのかもしれないと思っています。
「28mmの焦点距離が性に合わない」
→標準や中望遠に比べると、28mmという焦点距離は情報量が格段に多いので、要素の引き算には苦労します。私もそうでした(いえ今なお、そうです)。気を抜くと主題と副題が不透明な"オチのない写真"になってしまいがちです。でも、多数の要素を巧く束ねることができたり、要素の引き算が適度にできたり、うまく画角を活かすことさえできれば、実にドラマティックな画が撮れるのも28mmの魅力だと思います。そういった意味でも28mmの単焦点は騙しがきかないので、構図の訓練にも効果的です。
「やっぱりカメラはフルサイズがいい」
→フルサイズの魅力は、主に「画質」「ボケ具合」「階調の豊かさ」の3点が挙げられると思います。まず「画質」については、私は主にTwitterやInstagramなどのSNSに作品を投稿しており、ポスターサイズなどに写真を印刷することはほぼありませんので、APS-Cでも十分でした。「ボケ具合」と「階調の豊かさ」は、もちろん劣る部分がありますが、その中でもGRも美しい描写をしてくれます。風景や人物の写真を撮られている方はシビアだと思いますが、スナップしか撮っていない私としては、これも十分こと足ります。
「ミニマルなデザインが好きじゃない」
→これは好みが分かれるところだと思います。私はFujifilmのようなトラディショナルなデザインのカメラも大好きです。ですが、冒頭でも述べたように"カメラを持って街に繰り出す"というアクションのハードルをもっと下げたいという考えが念頭にありましたので、ミニマルで小型軽量なGRⅢがもっとも理にかなっていました。
このほかにも、「電源オンオフのスピードが早い」のでシャッターチャンスを逃さないこと。「クロップ機能で28mmを35mm、50mmに変えられる」こと。「NDフィルター内蔵」「手振れ補正搭載」……などもGRが気に入っているポイントです。
●GRⅢの問題点
もちろん、悪い部分もあります。一番気になるのは「AFが遅く、不安定」なこと。オートにしていると「ピントそこじゃないんだけどなぁ…」と思うことが多々あります。改善策としてはスナップモードで被写体深度を高めておくこと。またはタッチAFの機能をオンにし、親指でパネルをささっとタッチするのがおすすめです。
もうひとつは「バッテリーの持ちが悪い」こと。「今日は朝から夜まで写真を撮ろう」という日でも、飛ばしすぎると昼過ぎにはバッテリーが切れます。これに関しては、替えのバッテリーを用意する、もしくはモバイルバッテリーを活用すれば改善できます。
■GRⅢxを購入したきっかけ
前述の通り、半年間はGRⅢでストリートスナップを撮っていたのですが、中望遠の写真を撮りたいと思ったときだけ、ミラーレス一眼に85mmのレンズを付けて撮影に出かけていました。GRⅢxが発売されると知ったとき、40mmも魅力的だとは思いましたが、一番の決め手はテレコンバージョンレンズ(GT-2)の存在でした。
このテレコンレンズをつければ、自動的に50mmクロップの状態となり、75㎜相当の焦点距離で撮影ができるのです。つまり「重いミラーレスを持っていかなくてもいい」=「もっと気軽に中望遠の撮影ができる」という発想から、GRⅢx+テレコンバージョンレンズ(GT-2)の購入を決めました。
こうしてGRⅢとGRⅢxの2台がそろったわけですが、私の主軸となるのはGRⅢの28mmとGRⅢx+GA-2の75mmであるものの、実は2台持ちになるともっと画角の活用幅が広いのです。下にまとめてみました。
●GRⅢとGRⅢxの焦点距離と画素数
21、28、35、40、50、71、75、104mmという8つの焦点距離で撮影ができるのです。これが、あのコンパクトなボディとレンズで実現できるというのは、身軽さ重視の私にとってはこの上ない魅力でした。
クロップして約700万画素と聞くと、高画素化が進んでいる今では不安に思う人もいるのではないでしょうか? ポスターサイズに写真を印刷して個展をひらく予定があるようなプロの方であれば不十分かもしれませんが、A3サイズにプリントする程度ならば問題ありませんし、SNSに投稿するのがメインであれば、なおさら問題はありません。
●GRⅢとGRⅢxの重量
ちなみに、それぞれの重量もまとめてみました。
合計 約1,088g !
一眼レフのカメラと8つの単焦点レンズを持ち歩くのは現実的ではありませんが、GRならばペットボトル2本分で済みます。機種にもよりますがカメラとズームレンズ1本だけでも、このGRセットのほうが軽い場合が多いと思います。もちろん、全部持ち歩く必要もありませんので、セレクトすればもっと軽くなります。
重量もそうですが、サイズ感も私にとっては重要でした。休日は主にサコッシュで出歩いているのですが、そこに上記の全てが収納できるのは大きかったです。平日も仕事用のPCや資料などを常にリュックで持ち運んでいるので、小型軽量なGRであればそこにプラスしても苦にはなりません。
●フィルターも装着可能
テレコンとワイコンを装着するにはGRⅢ、GRⅢxそれぞれに専用のアダプターが必要なのですが、その用途はレンズの装着だけではありません。49mmのフィルターも装着できるのです。
私は複数のNDフィルターを所有しており、それを活用して昼間でもスローシャッターの写真を撮っています。夜には最近ブームのソフトフィルター「ブラックミスト」でふんわりとした照明の写真を撮ることも可能です。
■GRⅢとGRⅢxで過ごす、私のスナップライフ
実際、私がどのように2台のGRを活用しているのかというと、
がっつり写真を撮る場合
GRⅢはハンドストラップでポケットに入れ、GRⅢxはテレコンを装着してネックストラップで首にぶら下げています。先ほども書きましたが、28mmと中望遠(75mm)のスタイルです。
ひとりで近所を散歩する場合
近所を散策するときにでも小さくて軽いGRは携帯しやすいです。GRⅢもしくはGRⅢxどちらかをハンドストラップでポケットに。
人と一緒に出掛ける場合
人を撮ることがあることを想定して、40mmのGRⅢxをハンドストラップに、テレコンをバッグに。
風景を撮る場合
自然or都市の風景をちゃんと綺麗に撮りたいと思ったならミラーレスを持っていきますが(ほぼありませんが)、もっとライトに「今日は風景でも撮ってみようかな」と思う日もあります。そんなときはGRⅢをハンドストラップに、ワイコンをバッグに。
■【終わりに】私とGR
ここまでGRの魅力についてつらつらと筆を走らせておいて言うのもなんなのですが、"GRでは撮れない写真"があるのは事実です。でも、"GRでしか撮れない写真"があるのもまた事実です。
「今日は気がのらないから写真を撮りたくないな」と思った仕事帰りの一枚が物悲しくてよかったり、街中でふと美しいなと思った後ろ姿を見たまんま美しく写してくれたり、嬉しいことがあった日のスナップがやたら陽気だったり……撮りたいときも撮りたくないときも、気分がのっているときも沈んでいるときも、いつも撮り手の気持ちに直結した写真が撮れる稀有なカメラだと思っています。
私は写真好きではありますが、GR党ではありません。GRだったらなんでも買おう、みたいなファンではありません。ただ自分の理想やライフスタイルにもっともマッチしているGRを選んでいるだけです。そんなファンでもない自分でも、2台買い揃えるほどなので、やはりGRはとても優れたカメラだと断言できます。
私はGRの回し者でも何でもありませんが、この記事が少しでもカメラ選びの参考になればうれしく思います。
※下はGRⅢで撮ったストリートスナップです
※さらに下はGRⅢxで撮ったストリートスナップです
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