ちびっこうべ ワークショップ④
9月8日(土)、ちびっこうべワークショップの折返し。およそ1ヶ月ぶりに子どもたちが一堂に会する節目の日です。
この記事はぼくが参加する子どものためのワークショッププログラム
「ちびっこうべ」の連載記事です。
http://kiito.jp/chibikkobe/
自分が子どもの頃にあったらどんなによかったか!という、この素晴らしいプログラムのことをもっとたくさんの人に知ってもらいたいと思い、そのワークショップのスタートからゴールまでを書いています。
シェフ・建築家・デザイナーの各チームがそれぞれ、これまでに行った2回のワークショップを経てつくったものや学んできたことを共有します。
デザイナーチームからはロゴマーク完成の報告と、この日のために準備された缶バッジを全員に配りました。共通のものを身につけることで、一体感が高まります。やっぱりこうしてカタチになるって嬉しいですね。
さて、本日の課題はお店全体で考える事を中心に
・プロから接客の方法を学ぶ
・お店をよくするためにできることを考える
・提供するメニューの値段を決める
・店長、副店長、キッチンリーダーを決める
となっております。盛り盛りの内容。
プロから接客の方法を学ぶ
子どもたちはちびっこうべ本番には自らお店のスタッフとなって働きますので、接客の知識も必要となります。大丸神戸店より講師にお越しいただき、挨拶やお辞儀の仕方、ふさわしい言葉遣いなどを学びます。
お辞儀の角度や手の添え方などは、さすがは百貨店仕込みの美しさで、大人のぼくが見ても学びがあります…!
美味しいメニューを、素敵なデザインのお店で、最高の接客をもって提供する。ものはつくるだけではなく届けるところまでがたいせつですよね。
皆、笑顔で丁寧に、大きな声で挨拶ができるようになりました!
お店をよくするためにできることを考える
続いてお店をよくするためにはどんな事をすればいいかということを、まずは建築チームが作った1/10の模型をもとに意見を出し合いました。
テーブルやレジの場所、お客さんやスタッフが動きやすい導線が確保できているか。限られたスペースを最大限に活かす方法を考えます。
実際に建物が建つ敷地の上へ移動しスケール感を確かめながら、営業したときをシュミレーションしてみると、新たに見えてくることや気づきがたくさんあり、「ここはこうした方がいいんじゃない?」「こういう方法もあるよね!」とその場でどんどんアイデアが生まれてきます。
机の上で頭だけを使って考えるのではなく、こうして体を動かして感じてみる。ものづくりには欠かせないこと。まさに答えは現場にあり、ですね。
それから、どうすればお客さんに足を運んでもらえるか、このお店を好きだと感じてもらえるかについてそれぞれが思ったこと、意見や要望を付箋に書き出していきます。
みるみる壁をうめていく付箋、アイデア。
・味付けや量に選択肢があるといいかも
・お店へ誘導する看板や案内板を設置したい
・店先にメニューの見本(食玩?)を置く
・ポイントカードを導入する
・くじ引きであたりが出たらプレゼント
・くす玉をつくる(←完売したら割るらしい)
・いいにおいを出す
などなど、大人顔負けの手堅い策からバラエティに富んだものまで、たくさんのアイデアが集まりました。ポイントカードなどは、普段お父さんやお母さんがお会計の時に利用しているのをよく観察しているんだろうなと^^。
このアイデアは各職業チームで分担して持ち帰り、次回からのワークショップでできる限り多く実現させていきます。
提供するメニューの値段を決める
次に、メニューの値段を決めます。ちびっこうべでは「キート」という通貨が使われます。来場者(お客さん)ははじめに6キート渡され、食べ物や飲み物を買ったり、ゲームやイベントに参加し、なくなれば働いて稼ぐというわけです。
値段の設定は「3キート」「4キート」「5キート」の中で、各店舗が自由に選択していいことになっています。自分たちのお店のことなので、子どもたちがお互い納得が行くように話し合いをしてもらいました。
もちろん3キートと安くすれば売れ行きは良いでしょうが、お店に残るお金は少なくなり、その分自分たちの給料が少なくなってしまいます。では5キートにすれば給料は上がりますが、売れなかったら元も子もない。じゃあ間をとって4キートにすべきだろうか?なかなか決め手がないまま続く議論。
・近隣の店より高かったら売れないんじゃないか
・あとで値引きすればいいんじゃない?
・やっぱりちょっとでも安いほうがうれしいかなぁ
と、だんだん守りに入る流れになってきました。大人としては、(最初から弱気でいる必要はないよ!絶対売り切れるから!)と言いたいところをぐっと我慢。あくまで子どもたちが自分で決めることをたいせつにします。
途中の調査では12人中9人が「4キート」、3人が「5キート」が良いと考え、圧倒的に4キート派が優勢。数だけ見ればこれで決まりそうなのですが、5キート派の意見も尊重したいので単純に多数決の結果だけでは決めたくなかったので、子どもたちにある提案をしました。
それは「メニューの金額設定は店長が決めることができる」という権限を与えるので、ぜひ自分の主張を掲げて立候補してください。ということ。
そしてはじまった店長選挙
店長になりたい!という立候補者は2人でました。ちょうど4キート派、5キート派の中から1人ずつ手を挙げてくれたので、一騎打ちの構図に。民主主義の根幹、選挙です。
4キート派:建築家チームの男の子
計算が得意なので会計はまかせてほしい、
4キートにしたいならみんなぼくに力を貸してください。
5キート派:デザイナーチームの女の子
5キートという値段は宣伝やサービスできっとカバーできる。
なので私についてきてください。
という、あらためてなぜその値段設定にしたいかという主張と、自分が店長になった暁には…という公約を掲げ、メンバー全員がそれを聞いて判断をします。
匿名制(目を伏せて手を挙げる)で投票をした結果、5キート派の勝利となりました!民意というのはわかないもので、前回の調査から一転したこの決定にはとても興味深いものがあります。多いか少ないかという"数"だけではなく、思いを持った"人"のちからが重要なのだなと。これって実際の社会や政治にも通づるところがあるな〜と感じました。
うーん、やっぱりあらためて思う、ちびっこうべは深い!
惜しくも店長選挙に破れた男の子でしたが、副店長として活躍してもらう事に。シェフチームのキッチンリーダーも話し合いをもって決まり、お店の人事体制が整いました。
ワークショップもいよいよ後半に突入、これから再び各職業チームにわかれてどんどんお店をカタチにしていきます。デザイナーチームがつくるべきものがたくさんあるので忙しくなりそう…!
いつも会場では神戸芸術工科大学の先生や学生さんたちがワークショップの様子を撮影してくださっていて、その場ですぐに編集し見せてくれるというすごい技を披露してくれています。これもカタチにするたいせつさ。子どもたちもすごいが大人たちもすごい!ありがとうございます!
最後はバッジを掲げて集合写真!では皆、また来週がんばろう!
ご覧いただきありがとうございます。
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