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「主体性」を生み出すきっかけは?・全国高校生マイプロジェクト長野 summit 回顧録②

前回はこちら。
「主体性」はなぜ育まれないのか? というそもそもで、相手の個性が良く分かっていないのに、自分だけの価値観や常識を押し付けてもうまくいくわけがないというお話でした。

これはマイプロだけではなくて、例えば前例事例やこうしたコレクションのhow-toに頼りきりな業界全般に言える話です。つまり「正解があって、それを模倣すれば正解になるという自分だけの常識で失敗し続けているわけです。

先日、友人のコーチがアップしていた日記の記事を引用しておきましょう。

<自主的> は『やるべき事が明確』で言われなくても自ら行動すること。
<主体的>は、何をやるか決まっていない状況でも『目的を考え』自ら判断し行動すること。

☆自主性と主体性の混同と脱却

今回、県知事大賞を受賞した松本工業高校の4人は、たまたま僕がホームグループでお預かりしたチームでした。

そして、彼らが「自主」から「主体」に切り替わった瞬間のキーワードは、「感謝」と「貢献」

そして、その体験を経験に変え、自信に変えて行動を開始した、彼ら自身の急速な成長。その軌跡が今につながっていたと感じています。

もともと、彼ら自身は長野県の企画でもある《コロナ渦の中で消耗品の欠乏に悩む医療機関へ、工業高校の子達がマスクやフェイスシールドを作って届ける》という受け身のアクションから出発しています。
そして、3Dプリンター等を駆使して各アイテムを作り上げ、見事にMissionを達成したわけです。

そんな「やりきった!」という感覚もまだ冷めていない彼らに、医療関係者の皆さんからメッセージが送られてきました。多忙な合間を縫って、高校生達に1人の個人として向き合い、暖かい、まっすぐな感謝の言葉がそこに並んでいたのです。

「その時、どんな風に感じました?」という僕の問いに、

「メッセージをもらった時、なんか工業高校の自分達でも出来る事があるんだ、やれることがあるんだと思いました。それで、僕ら他にも何か出来るんじゃないかって」

彼らは少しはにかみながらも、とてもうれしそうに、よい表情を見せて答えてくれました。

☆「何か出来るのでは?」

はい。この瞬間に彼らは「自主」から「主体」に切り替わりましたよね。
僕らは自己効力感って呼んでるんですけれど、この「出来る(I can )」感覚がないと怖さが先に立ち、なかなか主体的にはなれません。

なので、こうした経験を積むことは、主体性を育むうえでとても重要なポイントになるでしょう。

その意味でも、相手の個性や力を理解し、楽ではないが乗り越えられる適切な目標設定は、育む側の力量が問われる所です。

しかも、ここから松本工業高校の先生方が素晴らしいなと思うのは、その先の進行を彼らの「主体性」に委ねたところです。

往々にしてあるんですけど、子供や部下、生徒が「功績」を上げるとそれを「わが物」にしようとする品のない大人、上司は少なくありません。
こうした人は「良かれ」という大義名分で次の何に取り組むかをその人の「利益によるものさし」で決めて、権力を使い、指示します。

これだと主体性なんて生まれないわけです。

その後、彼らはわずか数カ月の間にマウスガードや新型のフェイスシールドを逆に先生方をサンプルにして開発し、ついにはIOTとのコラボにも挑戦。
センサーでセーフティーディスタンスを計り続け(近くなると警告してくれる)、自分自身の体温を計測し続けるマスクの開発に着手(計測データを確認するSmartwatchも自分達で開発)し、

「なんかダースベーダーのマスクみたいになっちゃいました」

といいながらもそのプロトを作り上げています。



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