さいさんの地方創生 note【東京一極集中問題のおさらいとその本質を考える③】
人口の動態は「経済」に大きく左右される。
人として自分を家族を幸せにしたい。
その為の土台となる「稼ぎ」が必要。
だから、その機会がより多く得られる可能性のある場所に向かう。
「多極分散」を実行し、日本の持続性、未来を少しでも良い方向へ変えていこうとするならば、地方、地域の経済を再構築した新しいモデルを可視化しなければいけません。地方でも幸せになれる「人」の姿を実証、実行し、とにかく積み重ねること以外にはありません。
政策の意味では中央集権を緩め、地方に予算と権限を自ら渡すことが一丁目一番地でもあるのではないかと思います。予算や権限を手放さないままで、駒のように人だけを都合よく動かすことはできません。引っ越したら100万あげるみたいな話を国レベルでやるのは愚策でしかないのです。
とした前回は上記リンクから。
☆ひとまとめ
さて、まずは「一極集中とは?」の課題を整理しておきましょう。
この現象は、東京に官公庁、日本を支える大会社の本社機能やスタートアップ、大学、大学院を集中させた環境政策によって生じたものです。例えるならば、国家レベルでコンパクトシティをやっているとも言えるでしょう。
そして、今になってこの状態が課題とされている理由は、国民の貧困化。特に若い世代の貧困化を加速させてしまい、少子化に大きな影響を与えるからです。いわゆるデフレに伴う悪影響の表出。
東京(人口集積地)が年1%しか経済成長しない
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働く人の給与所得が上がらない
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高齢化で税負担と社会保障が毎年増大し、手取り所得は大幅低下
【国民負担率・1970年 24.3%→2000年 37.2%→2020年 47.9%】
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安価な国際都市として海外からの投資が入り続け、不動産価値は上昇一途。結果、家賃も高騰を続け、暮らす人々の所得をさらに圧迫。
【この10年で単身者向け家賃相場は月7万→月9万に】
こうした状況に加え、エネルギーコストの高騰やギャラップ社の調査や各研究からも指摘される過密ストレス(通勤・通学など)によるメンタル面での大きな不利益も発生。手取りカツカツでメンタルもやられ、生産性の低下や自殺、引きこもりの要因にも。それが少数ではなくむしろ多数派というのが今の東京の課題であり、この状態が続くことは【人口減少社会のデザイン】でAIが指摘した「幸福」になれない都市・東京の未来を決定づけるものになる・・ということです。
☆よって東京での対策とは
こうした「経済」要因の視点からはおそらくですが、東京が4%程度の経済成長を実現し、東京エリアの労働所得が同様に毎年4%程度の上昇を繰り返し、その所得増から生まれた歳入増を行政が再投資する。そんな循環が生まれれば、未来は変わってくると思います。
良し悪しは別として、この点では、先の都知事選で石丸候補が指摘した「多摩格差」や「再開発」の政策視点は理に適っていたと思います。
人口増時代の流入を吸収する為に同時期に一斉に人口を入れ、今、その人々が寿命を迎えつつある多摩エリアの再定義と再開発。そんな再投資によって、多摩格差を解消し、国際的な投機エリアになっている23区から都民の居住エリアを移す環境政策が行われるのは、政策の方向性として適切でしょう。
その為には、プロジェクションマッピングに数十億の予算をつけて代理店に丸投げし、その事務所住所は都庁の中で、実際には公務員がやっているの?なんて状態はやめた方が良いです。はい。
☆鉄道会社の導いた答えからも
で、もうかなり前のことですが、東京の大手私鉄会社のまちづくり戦略を担当する方々とご一緒する機会がありました。
そして、その時のお話通りに小田急や東急といったグループが厚木や海老名、南町田といった新宿・渋谷から一時間近くかかる神奈川のエリアを再開発し、成功しています。その波及もあり、相鉄によって一本で行ける横浜の価値も浮上してきました。
当時、これら鉄道会社の方々が話されていたのは、沿線住民人口をもつ小さな国のようなイメージとして捉えているということでした。この住民にどんなインフラ、どんなサービス、どんな暮らし方を提案していくのかを実現していく。
まさに「提案」の勝利だったわけです。
家賃を大きく下げ、居住空間は倍増し、23区内の職場に向かうときは私鉄特急の指定席でWi-Fiも使えて悠々と。タワーマンションありきではなく、こうした暮らしを選ぶ方もまた合理的でもあるのです。
家の価格や大きさが出生率と相関する研究もあり、その意味でもこうした可処分所得を上昇させながら広い家に暮らすという政策的誘導は、むしろ必須な現状ではないかと思います。
本来、人口とは国にとってイコールで顧客な筈です。なので、顧客がよく稼ぎ、よく消費し、幸せになる。そんな状態をいかにつくるかはとても大切です。職住近接も確かに楽で良いですが、リモートでの選択肢も出てきた今、この東京というエリアを改めて見つめなおす。そんな「再定義」も実はまったなし・なのが現実と言えるでしょう。
偉い人にはそれがわからんのです。
*というところでキリも良く次回に続きます!