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さいさんの地方創生 note 番外編【選挙から見えた現在地②「103万の壁・考察」】

自分たち身内で決めさえすれば(与党審査会)、あとは力で通せる(国会の形骸化、儀式化)。そんな世界にあった為か、政治を前に進める政治家として必要十分なコミュニケーション力が身につかなかった、磨かれてこなかったとも見えます。
 
今回の選挙によって、私たち国民は、誠実で丁寧な対話を「公開」で行うことでようやく前に進めるという政治的環境を勝ち得たと言えるかもしれません。そして、こうした状況の中で伸びてくる本当の政治家が生まれてくるのであれば、この選挙はとても意義のあったものと言える日も来るのではないでしょうか。
 
来年には参議院選もあり、各党各政治家が国民にどんな姿を見せるのか?
本当の意味でのPR(public relation)を積み上げていけるのか?
 
とした前回はこちら。

☆背景にある国民の貧困化

厚生労働省・所得の分布状況

上図は平成21年のものですが、この段階で日本人の 46.5%が年収400万以下というのがこの国のリアルでもあります。
 
幸福学の研究でみる「お金より社会貢献、つながりが幸福感をもたらす」といわれる700万以上の収入を得ている国民は日本の中に27.6%。この中間に25.9%という状況になっています。

真ん中が薄く、少なくない割合が自分が生きるための「お金」に事欠いているという状況は、先進国の経済としてはいかにも歪(いびつ)です。単純に政策として真ん中に厚みを持たせようとするときに、今話題になっている国民民主党の政策が理にかなっている。その方向性に関しては、疑う余地がないと言えます。

実際、上図下でわかるように1990年代のボリュームゾーン・ピークは400万辺りにあったのが、今は200~300万にまで後退しています。最低賃金は上昇しているわけですから、ここの税制や社会保険などの規制をはじめとした政策上障害が要因であれば修正する、取り除くのはやはり「筋」と言えるのではないでしょうか。

様々な「論」がありますが、その「論」の先に国民全体が700万に近づいていく未来があるのかどうかは、重要な基準(目的論)になるはずです。
 
社保の壁もまたその通りではありますが、こっちがあるからやらなくてよいではなく、先の目的(国民の収入ボリュームゾーンの上昇)に対して社保の壁もあわせていこうという議論に進んでいくように国民としても応援していきたいですね。
 
まあ、至極単純にですけど、令和5年度の税収が72兆。そのうちの所得と消費で46兆。国民の税負担率は現状で約5割だから、現在約90兆ある国民の収入が110兆に増加すると55兆の税収に。今回の控除変更で7兆だしても、それで国内経済の上昇が20%でも加速するならお釣りが来るんじゃないですかね? その上昇で法人税も伸びるでしょうから、現実的には国民の収入が100兆のラインにのるくらいのところ(10%増)あたりで達成しそうにも見えますがどうなんでしょうか? このあたりは今後、数字で出てくることを期待したいところ。経済成長がない前提での予算編成は、そもそもおかしい(成長した税収の剰余分が既得権化する)と思います。

☆その「論」は国民を幸せにするのか?

という大前提から、今日は選挙後から未だに話題の尽きない「103万の壁」に関して改めて見ていきたいと思います。躍進した国民民主党は寵児のようになってきていて、政治の現場、マスメディア、ネットメディアとその姿やその主張を見ない日がないというような状況が続いています。

特に大手マスコミとその記者たち(デスク)においては、問題課題の矮小化、重箱の隅をつつく論や他の課題と混ぜて誘導しようとするような手法が目立ちます。これが巷間で言う財務省の影のご活動なのかどうかは知る由はありませんが、状況をシンプルにまとめられているのはこちらかと思います。

*103万円超で、学生やフリーターの親の税金が増える

学生やフリーターは、年間のバイト代が103万円を超えると、自分の所得税のみでなく、親など扶養者の所得税・住民税が増えます。103万円を超えると、税制上の扶養から外れるため、扶養控除額に対する所得税と住民税が扶養者に課税されます。扶養控除額は、特に19歳~22歳は他の年齢よりも控除額が大きく、所得税63万円、住民税45万円が控除されます。仮に、扶養者の所得税の税率が10%なら、単純計算で63,000円、住民税は税率一律で10%なので45,000円と、合計108,000円の税負担が増えることになります。

例えばこの部分とかは、自分も経験したことがあります。
諸事情から大学進学をあきらめて家を飛び出して働き始めた翌年。母から電話がかかってきてすごい税金の請求が来たと。それがこれだったんですね。
 
シングルで子供三人育てていた母がネットもない時代にこうした扶養の仕組みを知る由もなく、もちろんまだ20歳そこそこの自分も「扶養??」というレベルでしたから、こうした社会的弱者にとっておよそ半月分の収入がいきなり出ていくってとても大きいわけです。

国の説明では高額所得者ほど「金額」の恩恵があるということですが、

年収200万円→8万6000円(4.3%)
年収800万円→22万8000円(2.85%)

という割合でみると明らかにうまく出来ているんですよね。いわゆるこの国の多数派である低所得者の方がありがたみが大きい。こうしたお金の「額」でこの件を持ち出してくる方々は1000万、2000万の年収の方なので、こうした日々の1円の重みという感覚がずれてしまっているのかもしれませんね(足りないならまさにそこだけマイナンバー使って給付でもしたらいいのです)。
*専門家の詳細は下記リンクからどうぞ。

ですので、国民民主党が巻き起こしている今回の議論は、こうした400万以下の所得者(シングルや介護による時間的な制約を受けるような社会的不利な状況にある人々のほとんどが含まれる)、未来を担う若者やその上にある責任世代(就職氷河期による不利益を未だに置き去りにされている)を中心とした層に支持を受けて、ネットメディアから今の世の中に波及し始めていると言えそうです。

こうした社会的弱者を含む多数層の声に対し、どのように相対していくかが与党や野党第一党においても取り扱いをより難解にさせているようにも感じます。加えて、なによりも次の参議院選挙が来夏にあるということで、暴力的対応を慎み、より慎重にならざるをえないという点でも、日本のここからの半年間は未来の大きな分岐点となるように見えます。

*続きます


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