さいさんの地方創生 note【多極分散へ。間違いだらけの政策とこれからを本気で考える④「総理の愛はどこへ行く?」】
この状態が課題とされている理由は、国民の貧困化。特に若い世代の貧困化を加速させてしまい、少子化に大きな影響を与えるからです。いわゆるデフレに伴う悪影響の表出。
東京(人口集積地)が年1%しか経済成長しない
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働く人の給与所得が上がらない
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高齢化で税負担と社会保障が毎年増大し、手取り所得は大幅低下
【国民負担率・1970年 24.3%→2000年 37.2%→2020年 47.9%】
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安価な国際都市として海外からの投資が入り続け、不動産価値は上昇一途。結果、家賃も高騰を続け、暮らす人々の所得をさらに圧迫。
【この10年で単身者向け家賃相場は月7万→月9万に】
こうした状況に加え、エネルギーコストの高騰やギャラップ社の調査や各研究からも指摘される過密ストレス(通勤・通学など)によるメンタル面での大きな不利益も発生。手取りカツカツでメンタルもやられ、生産性の低下や自殺、引きこもりの要因にも。それが少数ではなくむしろ多数派というのが今の東京の課題・・として【可処分所得を上昇させながら広い家に暮らすという政策的誘導】に触れた9月の当コラム「一極集中③」をよりわかりやすく木下斉さんが解説されています。
今回はまずそのリンクをシェアするところから始めて、こちらもぜひ購読して頂ければと思います。東京こそが日本の貧困化に対してトリガーになっていることが数字で見えてくるはずです。
そして今回の「総理の愛はどこへ行く?」。
多様性を尊び、教条的でないこと。
ただし、まとまらなければならないことがある。
コミュニティとしての魅力があること。
ただし、人と交流する人も、一人で過ごしたい人も共存している。
という風の谷憲章に始まり、まだ存在しない未来を思い描き、それを現実化する人間の素晴らしい力(創造力)を発揮するソース(sauce・源)の存在。こうした個々の「最大幸福度に近づくバランス」というマインドセットとその模索。こうした小さなソースへの投資といったキーワードを示してきました。
☆総選挙とその後を控えて
これまでに触れてきたように、総論として「経済成長」と「若者の手取り」を増やすことがこの国に最優先で求められていることは間違いありませんし、地方も都会もなく、国としてそこを共通の大前提にしなければいけません。
長きにわたったデフレで削れるものはもうほぼないレベルまで、民間レベルでの工夫は行きついてしまっていると思います。ですので、逆サプライズになった物価上昇0%!!という「デフレよもう一度!」としか説明できない某党の方針に従えば、この国はまさに滅んでも仕方ないくらいの打撃を受けてしまうことになるでしょう。
国民の手取りを考えれば、物価上昇抑制ではなく、消費税減税!と言えないところが、財務省という部分最適に染まって消費税を導入し、全体を歪めた人々の限界としかいいようがありません。
この点で上記、木下さんが引用しているデータからも手取り課題は都会、そして地方から都会に出した子供たちの置かれている緊急火急の課題なわけです。人口増の時代に都会に出た子供たちが田舎の親に仕送る姿はもうないのです。人口減にもかかわらず、田舎の親が都会に出た子供たちに仕送りを余儀なくされている。その今をまず受容するということです。
この点で政治、政策として選挙を見るならば、本来的には30年据え置かれている基礎控除額をインフレ率に伴って修正したり、高齢者の医療負担率を見直すことで現役世代の社保から補填に回されている額をなくすことで(現役世代が負担する社保支払額の2割以上が高齢者医療の穴埋めに転用されている)手取りを増やすといった、若者の手取りにおけるマイナスを減らし、即効性あり、実行出来る政策がとても重要になるはずです。
この点で高齢者や既得権者への目配りが必要な政権与党がはっきりとものを言いにくいのは世の常なので、きちんとこうした論を張るまともな野党を比例で選択し、その政策が必要なんだと与党に伝えるような投票行動は必要かな・と有権者として思います。
☆地方の本当の課題
さて、前半の手取りという客観的な数字とは真逆の主観的意識に基づいたコラムがダイヤモンド社から発表されています。
この手の調査ではいつも沖縄県が1位になるのですが、先の手取りという経済指標で考えると東京都並んで常に最下位争いをする自治体でもあるということになります。
日本人はついつい二項対立で考えてしまい、お金がなくても幸せならいい派とお金がないと不幸派に分かれて戦ってしまいます。特に前者に近いと対案がない反資本主義のようになってしまいますし、後者は成功者でなければ生き残れないかのようなポジションを取りやすく、同じ属性の人以外とは全く対話にならないのも日常的にすら見えます。
実際、株式会社刀がジャングリアのオープンをきっかけに沖縄をハワイを超える世界最高のリゾートへというヴィジョンを示しています。10年後、20年後にその夢が実現していき、沖縄が経済面でも日本の最上位に位置するようなポジションになっていった時、この国にはどのような変化が起こるでしょうか?
手取り経済も、幸福度も、子を産み育てる環境としても、日本で最高のエリアになり、国際的にもハワイに比肩する高いバランスを沖縄が獲得するのであれば、そこで暮らし、働きたい!という人口移動が起こるのは疑いない。僕はそう確信しています(沖縄は日本のほぼすべての飛行場に空路がありますので、移動インフラにおいても実は相応のアドバンテージもあります。また上記状況になれば空港拡張や港湾再編も必要とされてくるでしょう)。
近年の Well-being 研究でも「バランス」というテーマで物心両面のバランスに注目が集まっています。年収が700万~800万を超えてくると幸福度が上がらなくなり、むしろ社会的貢献に代表される「つながり」が幸福度のカギとなること等はその代表格とも言えるでしょう。
総理の愛を正しい方向へ導くためには、こうした正しい数字、エビデンスにのっとった政策議論が欠かせません。地方はいつも不幸という感情的かつ一方的で古い思い込みによる誤ったインプットで政策を進めてしまえば、当然、誤ったアウトプットにならざるをえないわけです。
単純な半導体誘致とかそれっぽい流行産業の後追いみたいな話ではない、本質的な新本部を期待したいところです。
*続きます!