見出し画像

知らないうちに犯している!無意識の偏見がもたらす犯罪捜査のミスとその克服

もし、あなたの無意識の偏見が、無実の人を罪に陥れているとしたらどう思いますか。

最新の脳科学や心理学の研究によると、私たちの無意識のバイアス(偏り)は、犯罪捜査や司法の判断に大きな影響を与えることがあると言われています。

2022年の犯罪データをもとに、無意識の偏見がどのように捜査に影響を与えているのか、そしてそれをどう克服すればよいのか一緒に考えてみましょう。

1. 無意識の偏見とは?脳が作り出す危険な思い込み

無意識の偏見とは、私たちが気づかないうちに形成される思い込みのことです。

脳は、過去の経験や周囲の情報を使って素早く判断を下すために、こうしたショートカット(簡単な判断基準)を作ります。

しかし、このショートカットが間違った判断につながることもあります。

確証バイアスと呼ばれるものがその一例で、自分が最初に立てた仮説を支持する証拠を重視し、それに反する証拠を無視する傾向です。

2022年の警察データでは、刑法犯(法律に違反する行為)の認知件数が393,692件に達し、前年より6.2%増加しました。

一方で、検挙(犯人を逮捕すること)件数も7.8%増えたものの、検挙率は37.7%に留まっています。

特に重大な犯罪や窃盗事件ではこの傾向が顕著です 。

この数字は、逮捕はしたものの、誤認逮捕だった可能性が示唆されます。

無意識の偏見が捜査の正確さに悪影響を与えているかもしれません。

2. 無意識の偏見が犯罪行動に与える深刻な影響

無意識の偏見は、捜査や裁判に悪影響を与えるだけでなく、犯罪行動そのものを歪める可能性もあります。

特定のグループが厳しく取り締まられ、一方で他のグループは軽視されることがあるのです。

確証バイアスによって、捜査官は自分の最初の仮説に合う証拠を重視し、それに反する証拠を見逃してしまうことがあります。

実例: 性犯罪の捜査における偏見

2022年には、性犯罪、特に不同意性交(無理やり性行為を行うこと)などの認知件数が約90%も増加しています。

これは、性犯罪に対する社会の意識が高まり、被害者の通報が増えたことが要因です。

しかし、捜査の過程で、無意識の偏見が被害者の証言の信憑性に影響を与え、容疑者が無実だったとしても、その重要な証拠が見逃されるリスクがあります。

3. 脳神経科学が解明する無意識の偏見の仕組み

無意識の偏見は、脳の特定の回路に深く刻み込まれています。

脳の「海馬」や「扁桃体」という部分が、過去の経験や周囲の環境から得た情報を使って、無意識に判断に影響を与えます。

また、ストレスや疲労がたまると、脳の「前頭前皮質」という部分がうまく働かなくなり、偏見による簡単な判断に頼りやすくなります。

実例: 警察官の射撃判断に見る無意識の偏見

研究によれば、欧米の警察官は無意識に黒人の被疑者に対して白人の被疑者よりも素早く射撃判断を下す傾向があります。

これは、無意識の偏見が瞬時の判断に強く影響を与えていることを示しています。

4. 無意識の偏見を克服するための具体的な対策

無意識の偏見をなくすためには、個人の努力だけでなく、組織全体での取り組みが必要です。以下に、具体的な対策を紹介します。

1. バイアス認識トレーニングの導入

警察や法執行機関では、無意識の偏見に気づき、それを修正するための「バイアス認識トレーニング」が行われています。

ただし短期間の効果しか得られないことが多いため、継続的なトレーニングが必要です。

2. 複数の視点を取り入れる

捜査や裁判の過程では、複数の視点を取り入れることが重要です。

特に、反対意見や反証的な証拠を積極的に検討することで、無意識の偏見を減らし、公平な判断を下すことができます。

5. 法執行機関における無意識の偏見対策の急務

無意識の偏見は、法執行機関における捜査や判断に大きな影響を与え、誤った結果につながることがあります。

例えば、黒人やその他の少数派が白人に比べて厳しく取り締まられる傾向がありますが、これが司法制度における不平等を助長しています。

まとめ: 偏見による歪みのない社会を目指して

無意識の偏見は、私たちが気づかないうちに判断に影響を与えています。

これを放置すれば、社会全体の公平さが失われ、誤った逮捕や判決が増える危険があります。

しかし、私たちは無意識に偏見を持ってしまうものだと自覚し、それを改善する努力をすれば、より公正な社会を実現することができるでしょう。

例えば、以下の行動が有効です。

1. 自分の判断を振り返り、無意識の偏見が働いていないか確認する。

2. 異なる視点を積極的に取り入れ、多様性を尊重した判断をする。

3. バイアス認識トレーニングや、無意識の偏見について学べる書籍を読み、知識を深める。

こうした取り組みを通じて、私たちはより公正で公平な社会を築いていくことができるのではないでしょうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?