【第一場…遠い今の話】 《E氏→遠い今って意味わかりません。》
広い海に、ぽちんと小さなロウソク島は、ありました。この島には、十三人の子どもしかおりません。子どもたちは、島に流れてくるゴミを頼りに生きていました。島には砂浜の入り江があって、毎日毎日たくさんのゴミが流れてくるのです。
浜辺にアッピィくんとヒイロちゃんが、やって来ました。きょうは、ふたりが、ゴハンのしたくをする日です。昔、頭のいい人がお米や麦などをペットボトルに保存していて、それが時々、島に打ち上げられていました。アッピィとヒイロは、食べられそうなものや、使えそうなものを集めます。今日はラッキーなことに、お米やジュースの入ったペットボトルとお菓子の入った袋がありました。
「じゃ、何かオカズを見つけよう」
と、言ってアッピィは、海にもぐりに行きました。浅い海の底に何本も太い筒が置いてあって、運がいいと中におさかなが入っています。
ヒイロは浜辺で貝とりです。砂をほっていると指さきに何かさわりました。大きな貝だと思って取りだしてみると穴ぼこだらけの黄色い石でした。ザンネン、石では食べられません。ヒイロは捨てようと思いましたが、ふと、なつかしい気持ちが、わいてきました。海で石を洗って穴に息を吹きこんでみますと、
「ピーッ!」
なんだか、石が喜んでいるみたいです。ヒイロは、うれしくなって夢中で吹きました。
〈ピーーーーーーーー! ピピーーーーーー! ピッピッピピーーーーー!〉
「おいっ!」
目の前に、お魚を持ったアッピィが立っています。
「みんな、おなかすかして待ってんのに、なに遊んでんだ!」
アッピィは、そう言うと、さっと石を取りあげて吹きはじめました。
〈プッフーーーー… フーーーーー…〉
ところが、いくら吹いても鳴りません。顔を真っ赤にして吹いてもダメです。
「なんだい こんなもん!」
頭にきたアッピィは、その石を海に投げてしまいました。
「トッポーン」
すると今度は、ヒイロの顔が、本物のリンゴみたいに真っ赤っか。目には見る見る涙がたまってきました。
「バッシャーン!」
波しぶきが上がって、アッピィが飛び込みました。何度も何度も潜って探しましたが、どうしても、石は見つかりません。暗くなったので、アッピィとヒイロは、とぼとぼとみんなが待っているほら穴に帰りました。ヒイロの元気がないので、みんな集まってきて、
「大丈夫か? ヒイロ」
と声をかけます。
「心配かけて、ごめんなさい」
それだけ言うとヒイロは、奥まで行って横になりました。おでこがとても熱くなっています。それから、ずっと眠り続けました。そして、こんな夢を見たのです。
《E氏→劇的なシーンが、いきなり欲しいところ。最後のお洒落な終わり方への伏線になっていたのは驚きではあったが》
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遠い今の話→遠いようで、すぐそこにある未来の話
《→劇的なシーンが、いきなり欲しいところ。最後のお洒落な終わり方への伏線になっていたのは驚きではあったが》
この未来の話を活かすか、なくしてしまうかで、ずっと悩んでおりました。劇的なシーンとは、言い難いですね。ヒイロの拾った石といいますのは、何年も前のこと、急に石笛(いわぶえ)を欲しくなったぼくが、隣町の浜辺に行って、一番最初に見つけた石をモデルにしています。不思議なことにこの石は、ぼくにしか音を出せません。今でも神棚にあります。
当然、なくなってしまうと、ラストは変わってきます。紙芝居で表現した際は、こことラストシーンだけ、人形劇になりました。(上の写真の首なし人形を自分の顔の下につけて、黒幕の前で黒服を着て演じました)
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《訂正稿》【第一場 すぐそこにある未来 アッピィとヒイロ】
広い海に、ぽちんと小さなロウソク島は、ありました。この島には、十三人の子どもしかおりません。子どもたちは、島に流れてくるゴミを頼りに暮らしていました。島には砂浜の入り江があって、毎日毎日たくさんのゴミが流れてくるのです。
浜辺にアッピィくんとヒイロちゃんが、やって来ました。きょうは、ふたりが、ゴハンのしたくをする日です。昔、頭のいい人がお米や麦などをペットボトルに保存していて、それが時々、島に打ち上げられていました。アッピィとヒイロは、食べられそうなものや、使えそうなものを集めます。今日は運よく、お米やジュースの入ったペットボトルとお菓子の入った袋が見つかりました。
「ご飯ができるから、何かオカズを見つけよう」
と、言ってアッピィは、海にもぐりに行きました。浅い海の底に何本も太い筒が置いてあって、運がいいと中におさかなが入っています。
ヒイロは浜辺で貝とりです。砂をほっていると指さきに何かさわりました。大きな貝だと思って取りだしてみると穴ぼこだらけの黄色い石でした。ザンネン、石では食べられません。ヒイロは捨てようと思いましたが、ふと、なつかしい気持ちが、こみあげてきました。海で石を洗って穴に息を吹きこんでみますと、
『ピーッ!』
なんだか、石が喜んでいるみたいです。ヒイロは、うれしくなって夢中で吹きました。
『ピーーーーーーーー! ピピーーーーーー! ピッピッピピーーーーー!』
「おいっ!」
目の前に、お魚を持ったアッピィが立っています。
「みんな、おなかすかして待ってんのに、なに遊んでんだ!」
アッピィは、そう言うと、さっと石を取りあげて吹きはじめました。
『プッフーーーー… フーーーーー…』
ところが、いくら吹いても鳴りません。顔を真っ赤にして吹いてもダメです。
「なんだい こんなもん!」
頭にきたアッピィは、その石を海に投げてしまいました。
『トッポーン』
すると今度は、ヒイロの顔が、リンゴみたいに真っ赤っかです。目には見る見る涙がたまってきました。
『バッシャーン!』
波しぶきが上がって、アッピィが飛び込みました。何度も何度も潜って探しましたが、どうしても石は見つかりません。
暗くなったので、アッピィとヒイロは、とぼとぼとみんなが待っているほら穴に帰りました。ヒイロの元気がないので、みんな集まってきて、
「大丈夫か? ヒイロ」
と声をかけます。
「心配かけて、ごめんなさい」
それだけ言うとヒイロは、奥まで行って横になりました。おでこがとても熱くなっています。それから、ずっと眠り続けました。そして、こんな夢を見たのです。