【予習】第76回カンヌ映画祭-コンペティション部門編
みなさんこんにちは。
先日カンヌ映画祭のラインナップ発表があったということでいつも通り予習ブログを書いていきます。
三大映画祭の出品歴を書いています。
『Kuru Otlar Üstüne(About Dry Grasses)』ヌリ・ビルゲ・ジェイラン(トルコ)
ベルリン :
『Kasaba』(1997 / ?)
『Mayis Sikintisi』(1999 / コンペ)
カンヌ :
『Koza』(1995 / 短編コンペ)
『冬の街』(2002 / コンペ / 審査員大賞)
『Iklimler』(2006 / コンペ / FIPRESCI賞)
『スリー・モンキーズ』(2008 / コンペ / 監督賞)
『昔々、アナトリアで』(2011 / コンペ / 審査員大賞)
『冬の轍』(2014 / コンペ / パルムドール)
『読まれなかった小説』(2018 / コンペ)
ヴェネツィア :
なし
トルコの巨匠ジェイラン、『読まれなかった小説』以来5年ぶりのコンペ入りです。そして上映時間はまたしても3時間を超えてくるよう。
小さな村に赴任した教師が都心への移動を希望するが叶わず絶望するという物語。小説家や教師といった文系インテリが主人公なことが多い気がします。厳しい雪が舞い散るポスタービジュアルが美しい。
『冬の轍』以来二度目のパルムドールとなるでしょうか。
『Anatomie d’Une Chute(Anatomy of a Fall)』ジュスティーヌ・トリエ(フランス)
ベルリン :
『Vilaine fille mauvais garçon』(2012 / 短編コンペ / ヨーロッパ短編賞)
カンヌ :
『愛欲のセラピー』(2019 / コンペ)
ヴェネツィア :
なし
聞いたことないと思ったのですが『愛欲のセラピー』は観ていました。
夫を殺した容疑で逮捕された女性、そして裁判に証人として盲目の息子が召喚されるという物語。前作に引き続きサスペンスフルな人間ドラマといったところでしょうか。
『愛欲のセラピー』はあまりいいとは思わなかったので期待はしていませんが、主演が『希望の灯り』『ありがとう、トニ・エルドマン』のサンドラ・フラーというのが惹かれます。
『Asteroid City』ウェス・アンダーソン(アメリカ)
ベルリン :
『ロイヤル・テネンバウムズ』(2002 / コンペ)
『ライフ・アクアティック』(2005 / コンペ)
『グランド・ブダペスト・ホテル』(2014 / コンペ / 審査員大賞)
『犬ヶ島』(2018 / コンペ / 監督賞)
カンヌ :
『ムーンライズ・キングダム』(2012 / コンペ)
『フレンチ・ディスパッチ』(2021 / コンペ)
ヴェネツィア :
『ダージリン急行』(2007 / コンペ)
三大映画祭全てでコンペ入り、アカデミー賞ノミネートもされているビジュアル派監督ウェス・アンダーソンの新作です。
天文学コンクールに集まった子どもと親たちを描く作品のようです。相変わらずウェス・アンダーソンの世界観全開な予告編も公開されていますね。日本公開も9月1日に決まっています。キャストはティルダ・スウィントンやエイドリアン・ブロディら常連に加えトム・ハンクスとスカーレット・ヨハンソンが参加しています。
アカデミー賞常連になるかと思いきや『フレンチ・ディスパッチ』では完全無視されました。今度はどうか、その意味でも楽しみです。
『Banel et Adama(Banel & Adama)』ラマタ・トレイ・シー(セネガル)
ベルリン : なし
カンヌ : なし
ヴェネツィア : なし
読み方が合っているのか全く自信がありません。セネガルの女性監督で、初監督の短編『Astel』(2021)はトロント映画祭で受賞するなど高く評価されたようです。
初の長編映画となる本作は、セネガルの若いカップルが地元の慣習に苦しめられる、というような話のようです。
長編デビュー作がいきなりカンヌのコンペという抜擢を受けたラマタ監督の手腕はいかに。
『Club Zero』ジェシカ・ハウスナー(オーストリア)
ベルリン :
なし
カンヌ :
『Inter-View』(1999 / シネフォンダシオン / スペシャル・メンション)『Lovely Rita ラブリー・リタ』(2001 / ある視点)
『Hotel ホテル』(2004 / ある視点)
『Amour fou』(2014 / ある視点)
『リトル・ジョー』(2019 / コンペ)
ヴェネツィア :
『ルルドの泉で』(2009 / コンペ / FIPRESCI賞)
来ました!『ルルドの泉で』『リトル・ジョー』とどちらも好きな作品だったので新作を楽しみにしていました。リアリズムの中にスピリチュアル的要素を盛り込む不思議な作品をつくる監督です。
『クリムゾン・ピーク』ミア・ワシコウスカがエリート校に就職した若い教師を演じます。そこで5人の生徒と強い絆を築くという物語。いわゆる「教室もの」のように聞こえますが作風的にそんな生暖かいものではないはず。『スクールズ・アウト』のような不気味な学校スリラーでしょうか。楽しみです。
『Kuolleet lehdet(Fallen Leaves)』アキ・カウリスマキ(フィンランド)
ベルリン :
『マッチ工場の少女』(1990 / フォーラム / Interfilm賞)
『ラヴィ・ド・ボエーム』(1992 / フォーラム / FIPRESCI賞)
『白い花びら』(1999 / フォーラム / C.I.C.A.E.賞)
『希望のかなた』(2017 / コンペ / 監督賞)
カンヌ :
『浮き雲』(1996 / コンペ / エキュメニカル審査員賞)
『過去のない男』(2002 / コンペ / 審査員大賞)
『街のあかり』(2006 / コンペ)
『ル・アーヴルの靴みがき』(2011 / コンペ / FIPRESCI賞)
ヴェネツィア :
『コントラクト・キラー』(1990 / コンペ)
フィンランドの個性派カウリスマキ6年ぶりの新作です。僕としては『希望のかなた』のみ観ていて、イマイチぴんとこなかったんですよね。でもU-NEXTにたくさん入ってきたので観てみようとは思っています。
新作の情報がほとんどなく、IMDBでも製作中となっているだけでどんな物語なのかが分かりませんでした。
『Firebrand』カリム・アイノズ(アメリカ)
ベルリン :
『フトゥーロ・ビーチ』(2014 / コンペ)
『Zentralflughafen THF』(2018 / ドキュメンタリー / アムネスティ・インターナショナル映画賞)
カンヌ :
『Madame Satã』(2002 / ある視点)
『O Abismo Prateado』(2011 / 監督週間)
『見えざる人生』(2019 / ある視点 / 作品賞)
ヴェネツィア :
『O Céu de Suely』(2006 / オリゾンテ)
『Viajo Porque Preciso, Volto Porque te Amo』(2009 / オリゾンテ / 作品賞)
『見えざる人生』(日本では劇場未公開)がある視点部門作品賞を受賞したブラジルのカリム・アイノズ新作です。初のカンヌコンペ入りとなる本作はキャサリン・パーとヘンリー8世の結婚を描く歴史ドラマ。演じるのはジュード・ロウとアリシア・ヴィキャンデルという大スター、もしかするとアカデミー賞狙っていたりするのでしょうか。
二大スターと中世イギリスの美術や衣装に注目ですね。
『Les Filles D'olfa(Four Daughters)』カウテール・ベン・ハニア(チュニジア)
ベルリン :
なし
カンヌ :
『Aala Kaf Ifrit』(2017 / ある視点)
ヴェネツィア :
『皮膚を売った男』(2020 / オリゾンテ / Edipo Re賞)
『皮膚を売った男』がアカデミー賞国際長編映画賞にノミネートされるなど評判になったチュニジアのカウテール・ベン・ハニア新作です。彼女は期待の新人・・・ではなく本作が6作目の中堅です。
プロットがまだ出ておらずどのような話なのかは分かりません。『皮膚を売った男』は展開は面白いが雑な部分が多いという印象です。しかし鮮烈なビジュアルには目を惹かれるものがあるので期待ですね。
『Il sol dell'avvenire』ナンニ・モレッティ(イタリア)
ベルリン :
『ジュリオの当惑』(1986 / コンペ / 特別審査員賞)
カンヌ :
『Ecce bombo』(1978 / コンペ)
『親愛なる日記』(1993 / コンペ / 監督賞)
『ナンニ・モレッティのエイプリル』(1998 / コンペ)
『息子の部屋』(2001 / コンペ / パルムドール)
『夫婦の危機』(2006 / コンペ / ローマ市賞)
『ローマ法王の休日』(2011 / コンペ)
『母よ、』(2015 / コンペ / エキュメニカル審査員賞)
『3つの鍵』(2021 / コンペ)
ヴェネツィア :
『監督ミケーレの黄金の夢』(1981 / コンペ / 特別審査員賞)
『赤いシュート』(1989 / ? / Filmcritica "Bastone Bianco"賞)
カンヌの常連、ナンニ・モレッティ新作です。『息子の部屋』だけ観ていますが、あまり惹かれるところのない映画だったなという印象です。イタリア映画が苦手な僕には一番辛いタイプの作家かもしれません。
本作は1950年代の映画、そしてサーカスを描く物語ということです。主演はフランスの俳優、監督マチュー・アマルリック。イタリアの話だよね?
『jeunesse』ワン・ビン(フランス)
ベルリン :
なし
カンヌ :
『O Estado do Mundo』(2007 / 監督週間)
『死霊魂』(2018 / ドキュメンタリー)
ヴェネツィア :
『無言歌』(2010 / コンペ)
『三姉妹~雲南の子』(2012 / オリゾンテ / 作品賞)
『苦い銭』(2016 / オリゾンテ / 脚本賞)
世界を代表するドキュメンタリー作家と言っても過言ではないワン・ビン監督の新作です。『Shanghai Qingnian』も特別上映されることが決まっており、二作がカンヌでプレミアされることになります。カンヌでは初のコンペ入りとなりました。
ドキュメンタリー映画が最高賞を受賞することも近年増えてきたことから大いにパルムドールの可能性がある一作ではないでしょうか。
『La Chimera』アリーチェ・ロルヴァケル(イタリア)
ベルリン : なし
カンヌ :
『天空のからだ』(2011 / 監督週間)
『夏をゆく人々』(2014 / コンペ / 審査員大賞)
『幸福なラザロ』(2018 / コンペ / 脚本賞)
ヴェネツィア : なし
あっと驚かされた傑作『幸福なラザロ』のアリーチェ・ロルヴァケル監督新作です。短編『無垢の瞳』もアカデミー賞にノミネートされるなど話題を呼びました。
新作は考古学者とブラック・マーケットを描く作品のようです。イザベラ・ロッセリーニ、ジョシュ・オコナー、アルバ・ロルヴァケルら名優が揃いまたしても期待大です。
『L'été dernier(Last Summer)』カトリーヌ・ブレイヤ(フランス)
ベルリン :
『処女』(2001 / コンペ / マンフレッド・ザルツゲーバー賞)
カンヌ :
『処女』(2001 / ? / フランス文化賞)
『Sex Is Comedy』(2002 / 監督週間)
『最後の愛人』(2007 / コンペ)
ヴェネツィア :
『Brève traversée』(2001 / ? / エルバイラ・ノタリ賞)
『禁断メルヘン 眠れる森の美女』(2010 / オリゾンテ / C.I.C.A.E.賞)
カトリーヌ・ブレイヤはそこまで知名度があるわけではないですが、1970年代から監督作を発表しているベテランです。『青髭』『最後の愛人』などエロティックな作風のようです。
本作も弁護士のアンヌが夫の連れ子と危うい関係になっていくという話のようです。官能サスペンスという感じでしょうか。監督作を全く観たことがないので予習したいと思います。
『May December』トッド・ヘインズ(アメリカ)
ベルリン :
『ポイズン』(1991 / ? / テディ賞)
カンヌ :
『ベルベット・ゴールドマイン』(1998 / コンペ / 芸術貢献賞)
『キャロル』(2015 / コンペ / クィア・パルム)
『ワンダーストラック』(2017 / コンペ)
『ヴェルヴェット・アンダーグラウンド』(2021 / ドキュメンタリー)
ヴェネツィア :
『エデンより彼方に』(2002 / コンペ / SIGNIS賞)
『アイム・ノット・ゼア』(2007 / コンペ / 審査員特別賞)
アメリカ映画界で最も信頼している作り手と言っても過言ではないトッド・ヘインズ新作!世紀の傑作『キャロル』にエレガントなメロドラマ『エデンより彼方に』、実験的作風の『アイム・ノット・ゼア』と多彩な色を見せるヘインズはどのような語り口でしょうか。
タブロイド紙によるスキャンダルに見舞われた女優が、その20年後に彼女の夫とともに過去と向き合うことになるという物語のようです。『エデンより彼方に』でも組んだジュリアン・ムーア、そしてナタリー・ポートマンを迎えた人間ドラマに期待が高まります。
『怪物』是枝裕和(日本)
ベルリン :
なし
カンヌ :
『DISTANCE』(2001 / コンペ)
『誰も知らない』(2004 / コンペ / 男優賞)
『空気人形』(2009 / ある視点)
『そして父になる』(2013 / コンペ / 審査員賞)
『海街diary』(2015 / コンペ)
『海よりもまだ深く』(2016 / ある視点)
『万引き家族』(2018 / コンペ / パルムドール)
『ベイビー・ブローカー』(2022 / コンペ / 男優賞)
ヴェネツィア :
『幻の光』(1995 / コンペ / OCIC賞)
『三度目の殺人』(2017 / コンペ)
『真実』(2019 / コンペ)
やはり来ました、現代日本映画を代表する是枝裕和最新作。初カンヌで初コンペを成し遂げた『DISTANCE』から7作目のコンペ入りです。
子ども同士の喧嘩から波紋が広がっていき大事件になっていくという物語。子ども演出には定評のある是枝作品らしいあらすじです。脚本にはドラマ『カルテット』や映画『花束みたいな恋をした』などの売れっ子坂元裕二、音楽は先日亡くなった坂本龍一(遺作?)が担当しています。
主演には『万引き家族』でも組んだ安藤サクラを迎え、今の日本映画の最高レベルを揃えた布陣と言っていいでしょう。なんだかんだ是枝作品にはいつも参りましたという感じなので楽しみにしています。
『The Old Oak』ケン・ローチ(イギリス)
ベルリン :
『家庭生活』(1971 / フォーラム / FIPRESCI賞)
『Which Side Are You On?』(1984 / ? / OCIC賞)
『レディバード・レディバード』(1994 / コンペ / エキュメニカル審査員賞)
『やさしくキスをして』(2004 / コンペ / エキュメニカル審査員賞)
カンヌ :
『Black Jack』(1979 / 監督週間 / FIPRESCI賞)
『まなざしと微笑み』(1981 / コンペ / エキュメニカル審査員賞)
『ブラック・アジェンダ/隠された真相』(1990 / コンペ / 審査員賞)
『リフ・ラフ』(1991 / 監督週間 / FIPRESCI賞)
『レイニング・ストーンズ』(1993 / コンペ / 審査員賞)
『大地と自由』(1995 / コンペ / FIPRESCI賞)
『マイ・ネーム・イズ・ジョー』(1998 / コンペ)
『ブレッド&ローズ』(2000 / コンペ)
『SWEET SIXTEEN』(2002 / コンペ)
『麦の穂をゆらす風』(2006 / コンペ / パルムドール)
『エリックを探して』(2009 / コンペ / エキュメニカル審査員賞)
『ルート・アイリッシュ』(2010 / コンペ)
『天使の分け前』(2012 / コンペ / 審査員賞)
『ジミー、野を駆ける伝説』(2014 / コンペ)
『わたしは、ダニエル・ブレイク』(2016 / コンペ / パルムドール)
『家族を想うとき』(2019 / コンペ)
ヴェネツィア :
『ファザーランド』(1986 / コンペ / UNICEF賞)
『カルラの歌』(1996 / コンペ / The President of the Italian Senate's Gold Medal)
『ナビゲーター ある鉄道員の物語』(2001 / コンペ / チルドレン・アンド・シネマ賞)
『11'09''01/セプテンバー11』(2002 / ? / FIPRESCI賞)
『この自由な世界で』(2007 / コンペ / SIGNIS賞)
説明不要でしょう。イギリスの社会派監督にして二度のパルムドールを果たしたケン・ローチ監督新作。新作を撮っているなんて知りませんでした。何度も引退宣言をしては撤回しているイギリスの宮崎駿(?)ですが、本当にズシンと重い傑作を毎回つくってくるので一生作り続けてほしいですね。
イングランド北東部のパブ「The Old Oak」を舞台に、去りゆく人々と新しくやってくるシリア難民を描くとのこと。ヨーロッパで問題になっている難民問題を扱うというのがさすがケン・ローチ。観るのにはなかなか覚悟がいりそうですね。
余談ですが『家族を想うとき』って何も受賞しなかったのが信じられない傑作だと思うのです。病院で妻が泣きながら電話するシーンは一生忘れない気がします。
『Perfect Days』ヴィム・ヴェンダース(ドイツ)
ベルリン :
『ミリオンダラー・ホテル』(2000 / コンペ / 審査員賞)
カンヌ :
『さすらい』(1976 / コンペ / FIPRESCI賞)
『アメリカの友人』(1977 / コンペ)
『ハメット』(1982 / コンペ)
『パリ、テキサス』(1984 / コンペ / パルムドール)
『ベルリン・天使の詩』(1987 / コンペ / 監督賞)
『時の翼にのって/ファラウェイ・ソー・クロース!』(1993 / コンペ / 審査員大賞)
『エンド・オブ・バイオレンス』(1997 / コンペ)
『10ミニッツ・オールダー 人生のメビウス』(2002 / ある視点)
『アメリカ、家族のいる風景』(2005 / コンペ)
『パレルモ・シューティング』(2008 / コンペ)
『セバスチャン・サルガド 地球へのラブレター』(2014 / ある視点 / 特別審査員賞)
『ローマ法王フランシスコ』(2018 / ドキュメンタリー)
ヴェネツィア :
『ゴールキーパーの不安』(1972 / ? / FIPRESCI賞)
『ことの次第』(1982 / コンペ / 金獅子賞)
『愛のめぐりあい』(1995 / ? / FIPRESCI賞)
『ランド・オブ・プレンティ』(2004 / コンペ / UNESCO賞)
『アランフエスの麗しき日々』(2016 / コンペ)
こちらも世界的巨匠、カンヌとヴェネツィアで最高賞を受賞しているヴィム・ヴェンダース監督新作です。本作はなんと東京・渋谷が舞台。「THE TOKYO TOILETプロジェクト」の一環として制作されたものらしく、そのプロジェクトで回収された渋谷のトイレが舞台になるそう。
ヴェンダースは作品によってムラがある印象で、しかも外国人監督が扱う日本にいいのがあった試しがないので心配ではありますね。傑作か珍作か、楽しみにします。
『The Pot au Feu(La Passion de Dodin Bouffant)』トラン・アン・ユン(フランス)
ベルリン :
なし
カンヌ :
『青いパパイヤの香り』(1993 / ある視点 / カメラドール)
『夏至』(2000 / ある視点)
ヴェネツィア :
『シクロ』(1995 / コンペ / 金獅子賞)
『ノルウェイの森』(2010 / コンペ)
アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされた『青いパパイヤの香り』などで知られるベトナムの作家トラン・アン・ユンの新作です。『エタニティ 永遠の花たちへ』(2016)以来7年ぶり、三大映画祭の出品は13年ぶりとなります。
本作はフランスのスター、ジュリエット・ビノシュとブノワ・マジメルを主演にした歴史ドラマのようです。料理人とその客を主役にしたグルメものとのこと。久しぶりに表舞台に帰ってきた感があるトラン・アン・ユン、どのようなカムバックをみせてくれるでしょうか。
『Rapito』マルコ・ベロッキオ(イタリア)
ベルリン :
『愛と怒り』(1969 / コンペ)
『Matti da slegare』(1975 / フォーラム / FIPRESCI賞)
『La macchina cinema』(1978 / フォーラム / FIPRESCI賞)
『La condanna』(1991 / コンペ / 審査員特別賞)
カンヌ :
『Le Saut dans le vide』(1980 / コンペ)
『エンリコ四世』(1984 / コンペ)
『Il Principe Di Homburg』(1997 / コンペ)
『乳母』(1999 / コンペ)
『母の微笑』(2002 / エキュメニカル審査員賞)
『結婚演出家』(2006 / ある視点)
『愛の勝利を ムッソリーニを愛した女』(2009 / コンペ)
『シチリアーノ 裏切りの美学』(2019 / コンペ)
『マルクスは待ってくれる』(2021 / ドキュメンタリー)
ヴェネツィア :
『ポケットの中の握り拳』(1965 / ? / イーモラ市賞)
『中国は近い』(1967 / コンペ / 審査員特別賞)
『Gli occhi, la bocca』(1982 / コンペ)
『夜よ、こんにちは』(2003 / コンペ / 脚本賞)
『眠れる美女』(2012 / ブライアン賞)
『私の血に流れる血』(2015 / コンペ / FIPRESCI賞)
こちらもカンヌ常連、イタリアの巨匠マルコ・ベロッキオ新作。正統派の硬質ドラマから実験的な作品まで幅広い作風の監督という印象です。『私の血に流れる血』は変な映画すぎて訳分からなかったですが好きです。
本作は1858年、ボローニャに住むユダヤ人の少年が兵によって誘拐され、ローマ法王のもとで育てられるという物語のようです。実話なのかは分かりませんが、ビジュアルを見た感じ重厚な歴史ドラマのようですね。ほとんど観ていないのでそろそろ観なければ。
『The Zone of Interest』ジョナサン・グレイザー(ポーランド)
ベルリン :
なし
カンヌ :
なし
ヴェネツィア :
『記憶の棘』(2004 / コンペ)
『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』(2013 / コンペ)
カルト的人気を誇るようになったスカーレット・ヨハンソン主演『アンダー・ザ・スキン』のジョナサン・グレイザーのカムバック作です。テレビやMV、短編をつくってはいましたが長編映画は『アンダー・ザ・スキン』以来10年ぶりとなります。
『アンダー・ザ・スキン』は人気なのに配信にもないですしレンタルにもあまりない。ソフトも廃盤になっているらしく高騰しているんですよね。予習のためにもなんとかして観ます!
ということで今回はコンペ作を紹介しました。
次回はある視点!