【総評】第87回アカデミー賞
前のアメブロでやっていたシリーズを復活させようと思います。
アカデミー賞ノミネート作品から10作品を選び、個人的ランキングをつけ、総評を行うという企画です。
今回は2014年の映画が対象の第87回アカデミー賞についてです!
総評
この回は宮崎駿が名誉賞を受賞した一方、主要6部門が全て白人で占められているとして批判が巻き起こりました。
作品賞が10枠に拡大されて以降、初めて作品賞ノミネート作品全てが1部門以上受賞するという結果でした。作品賞は『バードマン』で、監督のアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥは前年の『ゼロ・グラビティ』アルフォンソ・キュアロンに続き二年連続のメキシコ人監督による監督賞受賞となりました。ちなみに翌年の88回は二年連続で『レヴェナント: 蘇えりし者』イニャリトゥ、90回は『シェイプ・オブ・ウォーター』ギレルモ・デル・トロ(メキシコ)、91回は『ROMA/ローマ』キュアロン(メキシコ)、92回は『パラサイト 半地下の家族』ポン・ジュノ(韓国)、93回は『ノマドランド』クロエ・ジャオ(中国)と、89回の『ラ・ラ・ランド』デイミアン・チャゼル以外はほとんど外国人監督の受賞が続いています。ちなみに今年も最有力とされる『パワー・オブ・ザ・ドッグ』のジェーン・カンピオンもニュージーランドの監督で、まだまだ外国人監督の受賞は続きそうです。
最多ノミネートは『バードマン』と『グランド・ブダペスト・ホテル』の9部門、最多受賞も両作品の4部門でした。
ベネット・ミラーの『フォックスキャッチャー』は作品賞にノミネートされていないのにも関わらず監督賞にノミネートされました。これは作品賞が10作品に拡大されてからは珍しいことです。
日本関係だと長編アニメーション映画賞に高畑勲監督の『かぐや姫の物語』がノミネートされましたが、ディズニーの『ベイマックス』に阻まれ受賞はできませんでした。高畑勲監督の遺作にして集大成的な、アニメ史上に残る傑作だと思っているので、受賞させてあげたかったですね。
この年のノミネート作で個人的に好きなのは主演女優賞にノミネートされたデヴィット・フィンチャーの『ゴーン・ガール』、外国語映画賞にノミネートされたアンドレイ・ズビャギンツェフの『裁かれるは善人のみ』ですかね。
個人的ランキング
ここでのルールとしては、作品賞ノミネート作品は必然的にランキングに加える。そして①作品賞には入っていないが監督賞にノミネートされた作品②ノミネート数の多い作品という条件で10作品を決めます。
まずこの回の作品賞ノミネートは8作品なので無条件にランキングに加えます。残り2作品は作品賞には入っていないが監督賞に入った『フォックスキャッチャー』、そして5部門ノミネートの『インターステラー』とします。
『バードマン』
『グランド・ブダペスト・ホテル』
『イミテーション・ゲーム / エニグマと天才数学者の秘密』
『アメリカン・スナイパー』
『6才のボクが、大人になるまで。』
『博士と彼女のセオリー』
『セッション』
『グローリー / 明日への行進』
『フォックスキャッチャー』
『インターステラー』
以上10作品を対象にランキングをつけていきたいと思います。
第10位
『博士と彼女のセオリー』
全く面白みに欠ける作品だと思いました。ホーキング博士を演じたエディ・レッドメインやその妻を演じたフェリシティ・ジョーンズは素晴らしいですが、その業績を分かりやすく伝えているとは言い難く、陳腐なメロドラマになってしまっていると感じました。
第9位
『インターステラー』
嫌いじゃないです。ただ、僕どうしてもノーラン映画を好きになれなくて…
ビジュアル構築や特殊効果など凝っていると思いますし、つまらなくはないです。
ただ、ガチガチの理論武装のオタク映画のような気がして、好きとは言えないんですよね。
第8位
『フォックスキャッチャー』
ベネット・ミラー監督の腕前には眼を見張るものがあります。静かなトーンで語られる狂気にはカンヌで監督賞とるだけあるなと感じました。
とてもよく出来ているし、文句のつけようがないけれども、自分にはあまり刺さらなかったというのが正直なところです。
第7位
『アメリカン・スナイパー』
アメリカで大ヒット、愛国的な映画だとして擁護派と否定派の間で大論争が巻き起こりました。ただ、ちゃんとみると全く愛国的な映画ではないことが分かります。
愛国的な思想を持った人物が戦争によって心を壊されていく物語であり、イーストウッド苦手な僕としてもそれなりに楽しめた一作です。
第6位
『バードマンあるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』
技術的にスゴい映画であることは認めざるを得ません。またマイケル・キートンという俳優自身に重なるキャラクターとしてこれ以上ないほどハマった作品ではあるでしょう。売れなくなった俳優の話ということで支持を受けたのは分かります。
ただ、僕にとっては技術的にスゴい以外の感想がありません。もしかしたらもう少し歳を重ねれば刺さる一本になるかもしれませんね。
第5位
『グローリー / 明日への行進』
キング牧師に関する初めての映画ということで社会的意義があり、肉厚でとても素晴らしい作品でした。少々長い気もしますが、美術や衣装など技術的にも素晴らしく、観てよかったと思える作品でした。
第4位
『グランド・ブダペスト・ホテル』
オシャレでカワイイ、天才肌の作家ウェス・アンダーソンの代表作と言えるでしょう。
とにかく美術、衣装は凝りに凝っていて観ていて飽きないですし、豪華キャストの共演も楽しい作品です。
ウェス・アンダーソンにしてはなかなか大きな話で、ここまで評価されたのも分かるなと。ただ個人的には話の内容をあまり覚えていなくて、まあこのくらいかなと。完成度は高いと思います。
第3位
『イミテーション・ゲーム / エニグマと天才数学者の秘密』
これは比較的最近みたということもあるのですが、ネタバレになるのであまり言えませんが、副題にもなっている「秘密」に泣き、そして共感し切なくなりました。
緊迫感のある展開でとても魅せますし、実話だと言うのが信じられないくらい記憶に残っている作品です。
第2位
『セッション』
これはもう衝撃でしかなかったですね。音楽という名の格闘技!デイミアン・チャゼルの天才性を轟かせた衝撃作ですよね。
もちろん主演のマイルズ・テラーも凄いですが、鬼教師を演じたJ・K・シモンズはそりゃ助演男優賞も納得だわという異次元の入り込みっぷり。
デイミアン・チャゼル作品の中で一番好きですね。
第1位
『6才のボクが、大人になるまで。』
僕はこれこそ作品賞をとるべきだったと思います。こんな映画、もう二度と作られないでしょう。
リアルな時間経過があるからこそ、家族の姿が変容していくのが切なくなり、映画という枠を超えてリアルな成長物語として心から感動できる作品だと思います。
あのパトリシア・アークエットの涙は本物だったと思います。人生において本当に大切なもの、家族というものをリアルに、大切に感じることのできる傑作です。
ということで今回はここまでです!
異論はあると思いますが、あくまで個人的ランキングです!笑
読んでいただきありがとうございました!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?