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アカデミー作品賞、個人的ランキング⑨(95~91位)

みなさんこんにちは。
残すところトップ10ですが、ここでワースト5を見ていきましょう。

前回の記事はこちら↓

91位 『わが命つきるとも』(第39回・1966年)

8ノミネート・6受賞
受賞
: 作品賞、監督賞、主演男優賞(ポール・スコフィールド)、脚色賞、撮影賞(カラー)、衣装デザイン賞(カラー)
ノミネート : 助演男優賞(ロバート・ショウ)、助演女優賞(ウェンディ・ヒラー)

他のノミネート作品
『ヴァージニア・ウルフなんかこわくない』(13ノミネート・5受賞)
『アルフィー』(5ノミネート・0受賞)
『アメリカ上陸作戦』(4ノミネート・0受賞)
『砲艦サンパブロ』(8ノミネート・0受賞)

 この回は作品賞と監督賞ノミネートがかなり不一致です。作品賞と監督賞のどちらもノミネートされたのが本作と『ヴァージニア・ウルフなんかこわくない』マイク・ニコルズのみです。あとは『プロフェッショナル』リチャード・ブルックス、そしてイタリア映画『欲望』ミケランジェロ・アントニオーニ、フランス映画『男と女』クロード・ルルーシュと外国勢が強かったですね。他にもパゾリーニ『奇跡の丘』やフェリーニ『魂のジュリエッタ』が複数ノミネートを達成、総じてイタリア映画が強い年でした。
 さて本作は16世紀、イングランド国王に仕えるトマス・モアを描いた作品です。監督は『真昼の決闘』『地上より永遠に』のフレッド・ジンネマン、骨太な演出が特徴の名匠です。
 美術、衣装の豪華さに関しては言うことありません。しかし、このトマス・モアという人物にどうも肩入れできないのです。よく言えば「自分の理念を守り通した人」なのでしょうが、無神論者の私から見ると「凝り固まった考えの頑固な人」としか思えませんでした。

92位 『恋の手ほどき』(第31回・1958年)

9ノミネート・9受賞
受賞
: 作品賞、監督賞、脚色賞、撮影賞(カラー)、ミュージカル映画音楽賞、歌曲賞、美術賞、衣装デザイン賞、編集賞

他のノミネート作品
『熱いトタン屋根の猫』(6ノミネート・0受賞)
『メイム叔母さん』(6ノミネート・0受賞)
『旅路』(7ノミネート・2受賞)
『手錠のまゝの脱獄』(8ノミネート・2受賞)

 この回は授賞式の時間が余ってしまい、スターたちがそれぞれ特技を披露したところ、続々と退場者が出てしまったという脱力エピソードがあります。長くなるばかりの最近のアカデミー賞からすると時間が余るなんて考えられないですよね。
 本作は演技賞に一人もノミネートされずに作品賞をとった珍しい作品です。最近では『パラサイト』がそうでした。
 『巴里のアメリカ人』『若草の頃』などのヴィンセント・ミネリ監督のミュージカル映画ですが、正直ストーリーは『マイ・フェア・レディ』の劣化版のようです。鮮やかな色彩は美しいですが、9部門も受賞するほどの作品の厚みはないです。単なるラブコメミュージカルです。何も覚えていないんですよね。

93位 『炎のランナー』(第54回・1981年)

7ノミネート・4受賞
受賞
: 作品賞、脚本賞、作曲賞、衣装デザイン賞
ノミネート : 監督賞、助演男優賞(イアン・ホルム)、編集賞

他のノミネート作品
『アトランティック・シティ』(5ノミネート・0受賞)
『黄昏』(10ノミネート・3受賞)
『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』(8ノミネート・5受賞)
『レッズ』(12ノミネート・3受賞)

 この回では外国語映画賞に小栗康平『泥の河』がノミネートされました。また『黄昏』で無冠の名優ヘンリー・フォンダが76歳にして悲願の主演男優賞を受賞しました。そして同じく『黄昏』でキャサリン・ヘプバーンが前人未踏の4度目の主演女優賞を受賞しました。この記録は未だに破られていません。
 本作が作品賞をとるとはあまり予想されていませんでした。最多ノミネートの『レッズ』が最有力とされていた中、イギリス映画の本作がサプライズ受賞という意外な結果になったようです。
 覚えているのは有名な音楽だけ。あとはありきたりなスポーツ実話ものに留まっています。誰一人印象に残るキャラクターがいなく、簡素な画面も実に退屈です。駄作というわけではないですが、よく言って凡作かなという感じです。あらゆる意味で普通です。

94位 『愛と哀しみの果て』(第58回・1985年)

10ノミネート・7受賞
受賞
: 作品賞、監督賞、脚本賞、撮影賞、美術賞、作曲賞、録音賞
ノミネート : 主演女優賞(メリル・ストリープ)、助演男優賞(クラウス・マリア・ブランダウアー)、編集賞

他のノミネート作品
『カラーパープル』(11ノミネート・0受賞)
『蜘蛛女のキス』(4ノミネート・1受賞)
『刑事ジョン・ブック 目撃者』(8ノミネート・2受賞)
『女と男の名誉』(8ノミネート・1受賞)

 この回は日本の存在感、というか黒澤明の存在感が大きかったですね。『乱』が監督賞をはじめ4部門にノミネート、そのうちワダエミが衣装デザイン賞を受賞しました。また、スピルバーグ『カラーパープル』は最多11部門でノミネートされながら無冠に終わりました。これは『愛と喝采の日々』と並ぶ無冠の最多ノミネート作品という不名誉な記録です。昨年の『パワー・オブ・ザ・ドッグ』も12部門にノミネートされながら1部門のみの受賞でしたね。哀しい…
 『トッツィー』『ひとりぼっちの青春』などで知られるシドニー・ポラック監督の作品ですが、なんでこんなものが受賞してしまった?と戸惑うばかりの作品です。アフリカで繰り広げられるロマンスに何一つ魅力を感じませんでした。先住民が都合良く扱われ、白人たちが恋にドタバタする。こんな話に心動かされますか?壮大なロマンスにすればいい作品っぽくなるの典型だと思います。

95位 『イングリッシュ・ペイシェント』(第69回・1996年)

12ノミネート・9受賞
受賞
: 作品賞、監督賞、助演女優賞(ジュリエット・ビノシュ)、編集賞、作曲賞、撮影賞、美術賞、衣装デザイン賞、録音賞
ノミネート : 主演男優賞(レイフ・ファインズ)、主演女優賞(クリスティン・スコット・トーマス)、脚色賞

他のノミネート作品
『ファーゴ』(7ノミネート・2受賞)
『秘密と嘘』(5ノミネート・0受賞)
『シャイン』(7ノミネート・1受賞)
『ザ・エージェント』(5ノミネート・1受賞)

 この年は助演女優賞のサプライズが有名です。『三つ数えろ』『百万長者と結婚する方法』などの無冠の名優ローレン・バコールの受賞が有力視されていました。ゴールデングローブ賞は受賞していて、おそらく本人もとる気で来ていたのにも関わらず、『イングリッシュ・ペイシェント』のフランス人女優ジュリエット・ビノシュにさらわれてしまいました。ピーター・オトゥール、アネット・ベニング、チャドウィック・ボースマンなど無冠の名優と呼ばれるのは辛いですよね…
 さて本作ですが、心底どーでもいい!『愛と哀しみの果て』と同じく壮大なロマンス風の空っぽ映画です。異国の地でのロマンスに全く魅力を感じませんでした。2部門に終わった『ファーゴ』と本作のどちらが後世に残るか、考えるほどでもありませんよね。他の候補作が『ザ・エージェント』以外はインディペンデントな作品のため、ワインスタインがごり押しした本作が勝ったと言われています。しかも162分もあるんですよこれ。こんなどうでもいい162分はじめてというくらいつまらなかったです。


ということでワースト5作品の紹介でした。
まあ映画は個人の好みですので。お気に障ったら申し訳ありません。
いよいよ次はベスト10です!

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